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大使たち [19世紀アメリカ文学]

 「大使たち」 ヘンリー・ジェイムズ作 青木次生(つぎお)訳 (岩波文庫)


 婚約者の息子を連れ帰るため、パリにやってきた五十五歳のストレザーの物語です。
 ジェイムズ後期の傑作であり、「最も優れた作品」と自賛しています。

 現在、岩波文庫から出ていますが、上巻が品切れの状態です。
 私は、仕事帰りに立ち寄った書店で、偶然に見つけました。訳は分かりにくいです。


大使たち〈上〉 (岩波文庫)

大使たち〈上〉 (岩波文庫)

  • 作者: ヘンリー ジェイムズ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2007/10/16
  • メディア: 文庫



大使たち (下) (岩波文庫 赤)

大使たち (下) (岩波文庫 赤)

  • 作者: ヘンリー ジェイムズ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2007/11/16
  • メディア: 文庫



 五十五歳の男ストレザーは、ある使命を持って、アメリカからパリにやってきました。
 その使命は、ある夫人の息子を、パリから連れ帰ること。その報酬は、夫人との結婚。

 しかし、パリに入る直前にゴストリー嬢と知り合い、彼の心境は少しずつ変化します。
 ひょっとしたら、過ぎ去った青春を、取り戻せるのではないだろうか?

 パリに入り、立派になったチャドから歓待されて、ストレザーはさらに迷います。
 果たして自分が使命を果たすことは、正しいことだろうか?

 知らず知らずのうちに、美しく楽しいパリの社会に染まっていくストレザー。
 彼が、最終的に決断したことは・・・

 「人の一生にはいやしくも来るならば然るべき時期に来なければならないものが
 ある。然るべき時期に来なければ永遠に失われてしまうのだ。」(上巻P287)

 この言葉の中に、この作品のテーマがあるように思いました。
 この喪失感は、「ギャツビー」を思い出させます。

 さて、本書の訳について。正直に言って、読みにくかったです。
 2007年の改訳ですが、旧訳は1968年に出ている「世界文学全集」のものらしい。

 しかし、読みにくさは訳のせいばかりではない。ジェイムズは難解な作家です。
 追記に書かれてあるとおり、場面がとても緻密で、注意深く読む必要があります。

 私が苦労したのは会話の場面。多くのほのめかしがあって、解釈に迷いました。
 また、どうでもいいような会話を少し読み飛ばすと、後が分からなくなります。

 フランスのフローベールの小説に、似たところがあるように感じました。
 ちょっとした言葉の意味を正確に見抜かないと、全体の意味が分からなくなります。

 ところで、私がこの小説で最も興味深く感じたのが、ゴストリー嬢の存在です。
 ストレザーに寄り添い、彼の身を案じるゴストリーも、もともとはゆきずりの縁。

 彼女はなぜ、それほどストレザーに協力するのか。五十五の男のどこに惹かれたのか。
 二人の場面は、何度か読み返したのですが、そこがちっとも分からないのです。
 (どなたか御教示を!)

 余談ですが、今年中に「ある婦人の肖像」(岩波文庫)を読みたいです。
 ところが、上・中・下の全てが品切れ。ぜひ重版を。ぜひぜひ重版を。


ある婦人の肖像 (上) (岩波文庫)

ある婦人の肖像 (上) (岩波文庫)

  • 作者: ヘンリー・ジェイムズ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1996/12/16
  • メディア: 文庫



 さいごに。(バリカン購入)

 床屋代節約のため、バリカンを購入しました。さっそく使ってみました。
 後ろの方は見えないため、難しかったです。仕上げは妻に頼みました。


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