チャタレイ夫人の恋人 [20世紀イギリス文学]
「チャタレイ夫人の恋人」 ロレンス作 伊藤整訳 (新潮文庫)
炭坑王の妻チャタレイ夫人と森番メラーズとの、階級を超えた情熱的恋の物語です。
ロレンス晩年の傑作であり、大胆な性描写が問題になって、発禁処分を受けました。
私は12年ほど前に新潮文庫版で読みました。チャタレイ事件で有名な伊藤整訳です。
現在は完訳版が出ています。文章はやや硬質ですが美しく、読みごたえがあります。
ちくま文庫版や、光文社古典新訳版は、訳が比較的新しいため読みやすいです。
ただし、どちらも1836円。ちょっとお高い。私の許容範囲は1200円なので。
炭坑経営者のクリフォード卿は、第一次大戦に従軍して、下半身不随になりました。
妻のコンスタンスは、性的関係が無くなってから、虚無感を抱くようになりました。
あるときコンスタンスは、同じ階級の男と関係して跡継ぎを作るよう言われました。
そこで、劇作家のマイクリスと恋仲になりましたが、なかなか心が満たされません。
そんな折、夫と森を散歩していて森番メラーズに会い、気にかかるようになり・・・
コンスタンスは、しだいに森の美しさや生命力に魅了されるようになり・・・
下半身不随の夫クリフォードは、炭坑経営に熱中するあまり、性を軽蔑しています。
たくましい肉体を持ったメラーズは、自然の中で生活していて、性を礼賛します。
このように二人の男の役割ははっきりしていて、作者の主張も明確に表れています。
機械文明は人間性を殺してしまう、自然と一体になって生活しよう・・・
さて、この作品の冒頭「現代は本質的に悲劇の時代である。」の一文は有名です。
そして、全編が名文の宝庫。ページを繰るたびに、すばらしい文章に出会います。
しかしながら、なんといっても印象的なのは、メラーズの会話文です。
特に、コンスタンスを相手に言った言葉は、ハチャメチャでサイコーです。
「おめえがここから糞をしたり小便をしたりするのがいいんだ。
糞も小便も出来ないような女に用はない」(P410)
「こいつが好きだ! だからたった十分間しか生きていないとしても、おめえ
のけつを撫でて、おめえのけつを知れば、一生生きたも同然だ! 産業社会だ
ろうがなんだろうが同じことだ。ここにおれの人生があるんだ」(P411)
こんなバカげた言葉を連発するメラーズを、笑いながら愛さずにはいられません。
こんなバカげた言葉を発しながらも、二人の行為には神々しさがあります。
コンスタンスはメラーズに会い、自然の美しさと生命の力強さを知りました。
コンスタンスにとってのメラーズは、まるで宗教的達人のようです。
ところで、ロレンスの代表作は、「息子と恋人」です。
待ちに待ったこの作品が、2月にちくま文庫から出ました。価値ある新訳です。
ところが、私は買うのを躊躇しています。1944円という値段は想定外でした。
この値段だとなかなか買えないし、他人に薦めることもできません。
さいごに。(パノラマパーク)
GWに行った伊豆の国パノラマパークは、楽しかったです。
雄大な景色を見ながら足湯につかったり、おだんごを食べたりしました。
ただし、富士山が霞んでいました。次は、富士山が見える時に行きたい。
下の写真は、見晴茶屋から。本当は右の方に富士山が見えるはずです。
炭坑王の妻チャタレイ夫人と森番メラーズとの、階級を超えた情熱的恋の物語です。
ロレンス晩年の傑作であり、大胆な性描写が問題になって、発禁処分を受けました。
私は12年ほど前に新潮文庫版で読みました。チャタレイ事件で有名な伊藤整訳です。
現在は完訳版が出ています。文章はやや硬質ですが美しく、読みごたえがあります。
ちくま文庫版や、光文社古典新訳版は、訳が比較的新しいため読みやすいです。
ただし、どちらも1836円。ちょっとお高い。私の許容範囲は1200円なので。
炭坑経営者のクリフォード卿は、第一次大戦に従軍して、下半身不随になりました。
妻のコンスタンスは、性的関係が無くなってから、虚無感を抱くようになりました。
あるときコンスタンスは、同じ階級の男と関係して跡継ぎを作るよう言われました。
そこで、劇作家のマイクリスと恋仲になりましたが、なかなか心が満たされません。
そんな折、夫と森を散歩していて森番メラーズに会い、気にかかるようになり・・・
コンスタンスは、しだいに森の美しさや生命力に魅了されるようになり・・・
下半身不随の夫クリフォードは、炭坑経営に熱中するあまり、性を軽蔑しています。
たくましい肉体を持ったメラーズは、自然の中で生活していて、性を礼賛します。
このように二人の男の役割ははっきりしていて、作者の主張も明確に表れています。
機械文明は人間性を殺してしまう、自然と一体になって生活しよう・・・
さて、この作品の冒頭「現代は本質的に悲劇の時代である。」の一文は有名です。
そして、全編が名文の宝庫。ページを繰るたびに、すばらしい文章に出会います。
しかしながら、なんといっても印象的なのは、メラーズの会話文です。
特に、コンスタンスを相手に言った言葉は、ハチャメチャでサイコーです。
「おめえがここから糞をしたり小便をしたりするのがいいんだ。
糞も小便も出来ないような女に用はない」(P410)
「こいつが好きだ! だからたった十分間しか生きていないとしても、おめえ
のけつを撫でて、おめえのけつを知れば、一生生きたも同然だ! 産業社会だ
ろうがなんだろうが同じことだ。ここにおれの人生があるんだ」(P411)
こんなバカげた言葉を連発するメラーズを、笑いながら愛さずにはいられません。
こんなバカげた言葉を発しながらも、二人の行為には神々しさがあります。
コンスタンスはメラーズに会い、自然の美しさと生命の力強さを知りました。
コンスタンスにとってのメラーズは、まるで宗教的達人のようです。
ところで、ロレンスの代表作は、「息子と恋人」です。
待ちに待ったこの作品が、2月にちくま文庫から出ました。価値ある新訳です。
ところが、私は買うのを躊躇しています。1944円という値段は想定外でした。
この値段だとなかなか買えないし、他人に薦めることもできません。
さいごに。(パノラマパーク)
GWに行った伊豆の国パノラマパークは、楽しかったです。
雄大な景色を見ながら足湯につかったり、おだんごを食べたりしました。
ただし、富士山が霞んでいました。次は、富士山が見える時に行きたい。
下の写真は、見晴茶屋から。本当は右の方に富士山が見えるはずです。
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