SSブログ

チャタレイ夫人の恋人 [20世紀イギリス文学]

 「チャタレイ夫人の恋人」 ロレンス作 伊藤整訳 (新潮文庫)


 炭坑王の妻チャタレイ夫人と森番メラーズとの、階級を超えた情熱的恋の物語です。
 ロレンス晩年の傑作であり、大胆な性描写が問題になって、発禁処分を受けました。

 私は12年ほど前に新潮文庫版で読みました。チャタレイ事件で有名な伊藤整訳です。
 現在は完訳版が出ています。文章はやや硬質ですが美しく、読みごたえがあります。


チャタレイ夫人の恋人 (新潮文庫)

チャタレイ夫人の恋人 (新潮文庫)

  • 作者: D.H. ロレンス
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1996/11/22
  • メディア: 文庫



 ちくま文庫版や、光文社古典新訳版は、訳が比較的新しいため読みやすいです。
 ただし、どちらも1836円。ちょっとお高い。私の許容範囲は1200円なので。


チャタレー夫人の恋人 (ちくま文庫)

チャタレー夫人の恋人 (ちくま文庫)

  • 作者: D・H ロレンス
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2004/12/09
  • メディア: 文庫



チャタレー夫人の恋人 (光文社古典新訳文庫)

チャタレー夫人の恋人 (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: D.H. ロレンス
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2014/09/11
  • メディア: 文庫



 炭坑経営者のクリフォード卿は、第一次大戦に従軍して、下半身不随になりました。
 妻のコンスタンスは、性的関係が無くなってから、虚無感を抱くようになりました。

 あるときコンスタンスは、同じ階級の男と関係して跡継ぎを作るよう言われました。
 そこで、劇作家のマイクリスと恋仲になりましたが、なかなか心が満たされません。

 そんな折、夫と森を散歩していて森番メラーズに会い、気にかかるようになり・・・
 コンスタンスは、しだいに森の美しさや生命力に魅了されるようになり・・・

 下半身不随の夫クリフォードは、炭坑経営に熱中するあまり、性を軽蔑しています。
 たくましい肉体を持ったメラーズは、自然の中で生活していて、性を礼賛します。

 このように二人の男の役割ははっきりしていて、作者の主張も明確に表れています。
 機械文明は人間性を殺してしまう、自然と一体になって生活しよう・・・

 さて、この作品の冒頭「現代は本質的に悲劇の時代である。」の一文は有名です。
 そして、全編が名文の宝庫。ページを繰るたびに、すばらしい文章に出会います。

 しかしながら、なんといっても印象的なのは、メラーズの会話文です。
 特に、コンスタンスを相手に言った言葉は、ハチャメチャでサイコーです。

 「おめえがここから糞をしたり小便をしたりするのがいいんだ。
 糞も小便も出来ないような女に用はない」(P410)

 「こいつが好きだ! だからたった十分間しか生きていないとしても、おめえ
 のけつを撫でて、おめえのけつを知れば、一生生きたも同然だ! 産業社会だ
 ろうがなんだろうが同じことだ。ここにおれの人生があるんだ」(P411)

 こんなバカげた言葉を連発するメラーズを、笑いながら愛さずにはいられません。
 こんなバカげた言葉を発しながらも、二人の行為には神々しさがあります。

 コンスタンスはメラーズに会い、自然の美しさと生命の力強さを知りました。
 コンスタンスにとってのメラーズは、まるで宗教的達人のようです。

 ところで、ロレンスの代表作は、「息子と恋人」です。
 待ちに待ったこの作品が、2月にちくま文庫から出ました。価値ある新訳です。

 ところが、私は買うのを躊躇しています。1944円という値段は想定外でした。
 この値段だとなかなか買えないし、他人に薦めることもできません。


息子と恋人 (ちくま文庫)

息子と恋人 (ちくま文庫)

  • 作者: D.H. ロレンス
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2016/02/09
  • メディア: 文庫



 さいごに。(パノラマパーク)

 GWに行った伊豆の国パノラマパークは、楽しかったです。
 雄大な景色を見ながら足湯につかったり、おだんごを食べたりしました。

 ただし、富士山が霞んでいました。次は、富士山が見える時に行きたい。
 下の写真は、見晴茶屋から。本当は右の方に富士山が見えるはずです。

DSCF2135-2.jpg

nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 4

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。