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アラビアン・ナイト [中世文学]

 「アラビアン・ナイト 上下」 ディクソン編 中野好夫訳 (岩波少年文庫)


 「船乗りシンドバッド」など、千夜一夜物語の代表的な作品を集めた本です。
 ディクソン編集の英訳版からの重々訳です。所々に挿し絵が入っています。


アラビアン・ナイト〈上〉 (岩波少年文庫)

アラビアン・ナイト〈上〉 (岩波少年文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2001/09/18
  • メディア: 単行本



 「アラビアンナイト」といえば、「シンドバッドの冒険」でしょう。
 シンドバッドの七回の航海無くして、アラビアンナイトは語られません。

 親の遺産を使い果たしたシンドバッドは、船に乗り込み出発しました。
 緑の牧場のような島があったので、上陸してみると、実はその島は・・・

 2回目の航海では、島で眠っているうちに、取り残されてしまいました。
 島で見た大きな白い玉は・・・にわかに空を覆った厚い雲は・・・

 3回目の航海では、嵐で船が流され、蛮人がいる島に上陸しました。
 その島の奥へ行ってみると、とても巨大な建物があって・・・

 4回目の航海では、突風で船が乗り上げ、黒い人々に囲まれました。
 彼らはある草をよこして、「食え」と身振りで伝えてきましたが・・・

 5回目の航海では、ある島に上陸した時に、一人の老人に会いました。
 その老人を背負って川を渡してやると・・・

 6回目の航海では、洞穴の奥に流れてゆく川に、いかだで下りました。
 目を覚ましたときに、シンドバッドのいた場所は・・・

 7回目の航海では、海賊に襲われ、奴隷として売られてしまいました。
 ゾウの捕獲しているうちに、ゾウに連れられて行った場所は・・・

 この本には、昔TVアニメや絵本で見た懐かしい世界が広がっていました。
 「アラジンと魔法のランプ」「アリ・ババと40人の盗賊」も入っています。

 さて、「アラビアンナイト」は、長い時間をかけ多くの人を経て成立しました。
 そのため、さまざまな写本があり、原典を一つに絞ることは難しいと言います。

 さらに、ヨーロッパに紹介される過程で、多様なバリエーションを生みました。
 本によって、収録されている話の順番も内容も違っています。

 そういった事情を知ってみると、私のような一文学ファンが、全てを読み通す
 ことに、どれほどの意味があるのだろうかと、疑問が湧き起こります。

 良く知られた面白い話だけをよめばいいのではないか?
 そう思い、私は「アラビアンナイト」については、選集で読むことにしました。

 私が選んだのは、岩波少年文庫のディクソン編「アラ ビアン・ナイト」です。
 これは、いち早く西洋に紹介したガランの、フランス語訳を参考にしています。

 しかし、有名なのはイギリスのバートン版で、ちくま文庫から出ています。
 全11巻で16,632円です。比較的新しくて読みやすく、カバーイラストが良い。

 もうひとつ、フランスのマルドリュス版も有名で、岩波文庫から出ていました。
 全10巻です。現在は絶版ですが、アマゾンで手に入れることができます。

 では、アラビア原典訳はないのか? あります。東洋文庫から出ています。
 訳者はイスラム学者の前嶋信次。訳は古いけど、味わいのある文章です。

 ただし、全19巻。1冊約2500円なので、全部で50000円ほどになります。
 しかも絶版でプレミアが付いているらしいので、マニアにしか勧められません。
 (東洋文庫といっても、版型は文庫ではなく、単行本です。)

 全集には、きっとディープな世界が広がっていて、得るものは多いでしょう。
 しかし、そういう世界を体験するのは、老後に時間ができてからにします。


バートン版 千夜一夜物語 第1巻 シャーラザットの初夜 (ちくま文庫)

バートン版 千夜一夜物語 第1巻 シャーラザットの初夜 (ちくま文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2003/10/13
  • メディア: 文庫



完訳 千一夜物語〈1〉 (岩波文庫)

完訳 千一夜物語〈1〉 (岩波文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1988/07/07
  • メディア: 文庫



アラビアン・ナイト (1) (東洋文庫 (71))

アラビアン・ナイト (1) (東洋文庫 (71))

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 1966/07/01
  • メディア: 単行本



 さいごに。(火木は不機嫌)

 うちの娘は小学校5年生。火曜日と木曜日は、6時間まで授業があります。
 だから、火木の朝は御機嫌が悪いです。

 駄洒落でも言おうものなら、プリプリと怒り出すので要注意です。
 思いついた駄洒落も、言わずに我慢しています。(納豆好きな、父さん)

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りんごあめ

東洋文庫版「アラビアン・ナイト」懐かしいです。
大学の図書館にあったので、半年ほどかけて確か半分ほど読みました…
(が、あまりに長いのと興味ない話が混じるのがつらくて脱落しました)
東洋文庫はラインナップがおもしろくて、おおっ欲しい!となる本も多いですが、お値段が張るのが難点ですよね;
東洋文庫はサイズと値段がいわゆる文庫本じゃないですけど、『文庫』とついているから、『文庫で読む文学全集』さん的にはありでしょうか?
ike-pyonさんの東洋文庫版「アラビアン・ナイト」レビュー、のんびりと首を長くして待っています。
by りんごあめ (2017-11-04 23:19) 

ike-pyon

りんごあめさん、コメントをありがとうございます。
定年まであと10年と少しなので、その頃東洋文庫版のレビューが書けたらいいなと思っています。

by ike-pyon (2017-11-05 21:08) 

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