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ラテンアメリカ十大小説 [20世紀ラテンアメリカ文学]

 「ラテンアメリカ十大小説」 木村榮一 (岩波新書)


 20世紀にブームとなったラテンアメリカ文学の、10人の代表作を紹介しています。
 分かりやすい本です。2011年に岩波新書から出ました。文庫本ではありません。


ラテンアメリカ十大小説 (岩波新書)

ラテンアメリカ十大小説 (岩波新書)

  • 作者: 木村 榮一
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2020/02/02
  • メディア: 新書



 20世紀ラテンアメリカを代表する10人の作家と、それぞれの作品を紹介しています。
 取り上げられている10人の作家とその主な作品は、以下の通りです。

 1 ホルヘ・ルイス・ボルヘス「エル・アレフ」(岩波文庫・短編集)
 宇宙空間がすっぽり収まっている、直径数センチの球体「エル・アレフ」の話など。

 2 アレホ・カルペンティエル「失われた足跡」(岩波文庫)
 川を遡るにつれて時間を遡り、驚異に満ちた世界を描く、時間の魔術師による傑作。

 3 ミゲル・アンヘル・アストゥリアス「大統領閣下」(単行本)
 秘密警察とスパイ網を使って巧妙な恐怖政治を行う、独裁者をリアルに描いた作品。

 4 フリオ・コルタサル「石蹴り」(岩波文庫)
 絶対的なものを求める男を中心に描き、さまざまな読み方を提示した実験的作品。

 5 ガブリエル・ガルシア・マルケス「百年の孤独」(新潮社・単行本)
 百年にわたる奇想天外なエピソードの連続で、現実と幻想が混然一体となった作品。

 6 カルロス・フェンテス「我らが大地(テラ・ノストラ)」(水声社・単行本)
 神話と歴史、虚構と現実を絡ませながら、繰り返される人間の愚行を描いた作品。

 7 マリオ・バルガス・リョサ「緑の家」(岩波文庫)
 いろんな場所における5つの物語が、錯綜しながらパズルのように組みあがる作品。

 8 ホセ・ドノソ「夜のみだらな鳥」(水声社・単行本)
 時間や人称が絶え間なく入れ替わり、妄想と狂気が入り混じった悪夢のような作品。

 9 マヌエル・プイグ「蜘蛛女のキス」(集英社文庫)
 純粋な愛のために生きながら、警察とテロリストに利用され、死んだゲイの物語。

 10 イサベル・アジェンデ「精霊たちの家」(河出文庫)
 精霊たちが見守る屋敷で暮らし始めた、女たちの三代にわたる運命を描いた作品。

 以上、それぞれの解説がすばらしいのはもちろん、著者の表現がまたすばらしい。
 たとえばコルタサルの短編の、悪夢的な魅力について書いた文章は印象的でした。

 「ぼくたちは本を読む行為を通して紙の裏側へ入っていくわけですが、その世界が
 こちら側、つまり紙の表側の世界に侵入してくることはないと安心し切っています。
 (中略)けれども、コルタサルは読者と本とのこうした関係を突き崩してしまいま
 す。」(P77)

 日常世界に、ふいに悪夢が入り込むような作品の魅力を、うまく表現しています。
 どの作品も「読んでみたい」と思いました。 

 さいごに。(テレサ・テンのマイ・ブーム)

 ユーチューブに出ている、テレサ・テンの懐かしい動画を、少しずつ見ています。
 やはり良いのは、「別れの予感」です。歌い方もまた、実に切ない。

 歌の中だけでなく、この人自身も、苦しい恋をしたんだな、と思いました。
 そういえば、生前ジャッキー・チェンとの噂がありましたが・・・

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