族長の秋 [20世紀ラテンアメリカ文学]
「族長の秋」 ガルシア・マルケス作 鼓直訳 (集英社文庫)
暴虐の限りを尽くした大統領の、残虐な行為とその孤独を描いた、幻想的小説です。
1975年に刊行された独裁者小説です。「百年の孤独」と並ぶ、作者の代表作です。
ある朝、大統領が死にましたが、死体を見てもその死を、誰も信じませんでした。
というのも、大統領が死んだのは、これが初めてではなかったからです。
かつて同じような状況で見出された死体は、実は影武者アラゴネスのものでした。
大統領の身代わりとして死んだアラゴネスは、死の床で必死に訴えかけました。
「それよりも閣下、このさい、真相に目を向けられたらいかがです、ほんとに心の
なかで思っていることを閣下に言った人間は、一人もいないんですよ、みんなが、
閣下が聞きたがっているなと思うことを口にする、閣下の前ではぺこぺこし、後ろ
ではアカンベエをしている、・・・」(P41)
この言葉は象徴的です。まさにそこに、大統領の孤独の原因があります。
しかし大統領は信じません。民衆は自分を愛しているのだと思い込んでいて・・・
さて、この本を手に取ってページをめくったところ、私はいきなり面食らいました。
文章が段落なしで、50ページ以上にわたって続いています。文字がぎっしりです。
覚悟して読み始めましたが、最初は戸惑ってばかりでした。
語り手の人称がころころ変わるし、話はあっちへ行ったりこっちに行ったりします。
しかも、ありえないことが、平然と当たり前のように記されています。
ハゲタカの群れが大統領の死体を啄んだとか、バルコニーには牛がいたとか・・・
ハゲタカや牛は、何かの比喩なのか? それとも、文字通りに解釈してよいのか?
この手の小説の読み方がいまいち分からなくて、慣れるまでがたいへんでした。
ともかく文字通り解釈しようと開き直ってからは、少し理解しやすくなりました。
文体は、バルザックやドストエフスキー同様にリズムがあり、クセになります。
内容は、時に現実的で、時に非現実的、たまに突拍子もないたわごともあります。
時に悲劇的で、時に喜劇的。たまにお下劣で、下ネタもあります。
特に印象に残ったのは、中盤に語られる、身の毛もよだつ残虐行為です。
2000人の子供らをいかに始末したか? 終生の友ロドリゴ将軍をいかに処分したか?
しかし終盤、大統領が頻繁に「おふくろよ」とつぶやく場面は、痛々しかったです。
結局、自分を終生本当に愛してくれたのは、亡き母ベンディシオンだけでした・・・
さて、「族長の秋」は実に読みにくい小説でした。文体が良くも悪くも個性的です。
次は、いよいよ「百年の孤独」にチャレンジです。覚悟を決めて読み始めなければ。
さいごに。(歩き高跳びか!)
娘の陸上教室の走高跳の先生は、良い先生なのですが、ちょっと毒舌です。
うちの娘は助走が遅いので、「お前のは歩き高跳びか!」と言われたのだそうです。
それでも娘は、めげずによくがんばっていると思います。
助走の練習をしてから跳んだら、「お前にしては速くなった」と言われたそうです。
暴虐の限りを尽くした大統領の、残虐な行為とその孤独を描いた、幻想的小説です。
1975年に刊行された独裁者小説です。「百年の孤独」と並ぶ、作者の代表作です。
ある朝、大統領が死にましたが、死体を見てもその死を、誰も信じませんでした。
というのも、大統領が死んだのは、これが初めてではなかったからです。
かつて同じような状況で見出された死体は、実は影武者アラゴネスのものでした。
大統領の身代わりとして死んだアラゴネスは、死の床で必死に訴えかけました。
「それよりも閣下、このさい、真相に目を向けられたらいかがです、ほんとに心の
なかで思っていることを閣下に言った人間は、一人もいないんですよ、みんなが、
閣下が聞きたがっているなと思うことを口にする、閣下の前ではぺこぺこし、後ろ
ではアカンベエをしている、・・・」(P41)
この言葉は象徴的です。まさにそこに、大統領の孤独の原因があります。
しかし大統領は信じません。民衆は自分を愛しているのだと思い込んでいて・・・
さて、この本を手に取ってページをめくったところ、私はいきなり面食らいました。
文章が段落なしで、50ページ以上にわたって続いています。文字がぎっしりです。
覚悟して読み始めましたが、最初は戸惑ってばかりでした。
語り手の人称がころころ変わるし、話はあっちへ行ったりこっちに行ったりします。
しかも、ありえないことが、平然と当たり前のように記されています。
ハゲタカの群れが大統領の死体を啄んだとか、バルコニーには牛がいたとか・・・
ハゲタカや牛は、何かの比喩なのか? それとも、文字通りに解釈してよいのか?
この手の小説の読み方がいまいち分からなくて、慣れるまでがたいへんでした。
ともかく文字通り解釈しようと開き直ってからは、少し理解しやすくなりました。
文体は、バルザックやドストエフスキー同様にリズムがあり、クセになります。
内容は、時に現実的で、時に非現実的、たまに突拍子もないたわごともあります。
時に悲劇的で、時に喜劇的。たまにお下劣で、下ネタもあります。
特に印象に残ったのは、中盤に語られる、身の毛もよだつ残虐行為です。
2000人の子供らをいかに始末したか? 終生の友ロドリゴ将軍をいかに処分したか?
しかし終盤、大統領が頻繁に「おふくろよ」とつぶやく場面は、痛々しかったです。
結局、自分を終生本当に愛してくれたのは、亡き母ベンディシオンだけでした・・・
さて、「族長の秋」は実に読みにくい小説でした。文体が良くも悪くも個性的です。
次は、いよいよ「百年の孤独」にチャレンジです。覚悟を決めて読み始めなければ。
百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/12/01
- メディア: 単行本
さいごに。(歩き高跳びか!)
娘の陸上教室の走高跳の先生は、良い先生なのですが、ちょっと毒舌です。
うちの娘は助走が遅いので、「お前のは歩き高跳びか!」と言われたのだそうです。
それでも娘は、めげずによくがんばっていると思います。
助走の練習をしてから跳んだら、「お前にしては速くなった」と言われたそうです。
コメント 0