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百年の孤独1 [20世紀ラテンアメリカ文学]

 「百年の孤独」 ガルシア・マルケス作 鼓直訳 (新潮社)


 架空の町マコンドの建設から滅亡までを、奇想天外なエピソードで綴った物語です。
 1967年に出ると世界的にヒットして、ラテンアメリカブームを巻き起こしました。

 新潮社から全訳が出ています。原作の雰囲気が伝わり、味わい深い訳です。
 1972年に初訳が出て、1999年に改訳が出ましたが、未だに文庫になっていません。


百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)

百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2006/12/01
  • メディア: 単行本



 ホセ・アルカディオ・ブエンディアと妻のウルスラは、いとこ同士の結婚でした。
 両家では近親婚が続いていて、親戚には豚の尾のある子が生まれたりもしました。

 ウルスラの母が心配し、男女の行為を禁止したため、夫は苦境に立たされました。
 それをからかった友を殺したことで、彼ら夫婦は数人の仲間と共に村を離れました。

 放浪の果てにたどり着いた土地で、彼らはマコンドという町を建設して・・・
 彼らはマコンドに多くの子孫を残し、一族はしだいに繁栄していきますが・・・

 まれに、その世界にのめり込んでしまうような、すごい作品があります。
 ガルシア・マルケスの「百年の孤独」が、まさにそのような小説です。

 仕事中に突然、この世界がニセモノで、マコンドが本物のような気がしました。
 これは、社員としてはサイテーですが、読書人としてはサイコーの体験です。

 齋藤孝の「読書入門」にも、次のように書かれています。(P353)
 「本書を読み始めると、読者はガルシア・マルケスが構築した複雑な世界に迷い込
 んだかのような錯覚を覚えます。そして、不思議なエピソードと奇妙な人々との出
 会いを重ねていくうちに、まるでこの世界の住人の一人のようになっていきます。」

 この小説を面白くしているのは、数々の奇想天外なエピソードです。
 しかも、リアルでない出来事が積み重なることで、かえってリアルになってくる!

 プルデンシオ・アギラルの幽霊、アウレリャノの予知能力、町中に伝染する不眠症、
 土を食べるレベーカ、ジプシーの空飛ぶ魔法の絨毯、生き返ったメルキアデス、
 200歳近い流れ者、必ず当たるテルネラのトランプ占い、ニカルノ神父の空中浮遊、
 頭が狂って死者と語らうようになったホセ・アルカディオ・ブエンディア・・・

 そんなばかな、と思って読んでいるうちに、いつのまにか納得してしまうのです。
 そして読者は不意に、この現実世界と作品世界が逆転しているのに気付くのです。

 作品世界に引き込む力の源泉となっているのが、祖母を真似たという語り口です。
 祖母は、今見たばかりという顔で、ぞっとするようなことを語ったのだそうです。

 祖母の語りの文体が、「百年の孤独」の命なのかもしれません。
 この語り口には、幻想を現実にしてしまうパワーがあるようです。

 現在、もう少しで前半部分が終わるというところまで読み進めました。
 アウレリャノ・ブエンディア大佐を中心にした、革命小説みたいになってきました。

 ところで、私は結局、書店で「百年の孤独」(単行本)を買ってしまいました。
 本当に良い本だった場合、実物を目にしたら、買わずにはいられなくなりますね。

 さいごに。(「テストが良かったのでアイス」は、かわいそう?)

 学年末テストの結果が良かったので、娘にアイスを買ってあげることになりました。
 娘は大喜び。しかし、他の友達に話すと「かわいそう」と言われたのだそうです。

 というのも、ほかの子の場合は、ゲームとか服を買ってもらえると言うのです。
 アイスなんて、「食べたい」と言えば、たいてい買ってもらえるのだそうです。

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