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百年の孤独2 [20世紀ラテンアメリカ文学]

 「百年の孤独」 ガルシア・マルケス作 鼓直訳 (新潮社)


 架空の町マコンドの建設から滅亡までを、奇想天外なエピソードで綴った物語です。
 ラテンアメリカブームを巻き起こした名作ですが、まだ文庫本になっていません。


百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)

百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2006/12/01
  • メディア: 単行本



 この本を150ページぐらいまで読んだところで、私は1日に読む量を制限しました。
 そうしないと、自分自身がマコンドの町の中に取り込まれてしまいそうだったので。

 そこで1日1章ずつ読みました。1章が20ページほどで、約40分かかりました。
 この本を読んでいたここ半月ほどは、作品の世界にどっぷりとつかっていました。

 「百年の孤独」は、マコンドの町の創建から消失までの、百年にわたる物語です。
 その中心にあるブエンディア家は、七代にわたって同じ名前が繰り返されます。

 一代目は、ホセ・アルカディオ・ブエンディア。
 二代目は、大男ホセ・アルカディオとアウレリャノ・ブエンディオ大佐の兄弟。
 三代目は、残虐な支配者アルカディオ。
 四代目は、ホセ・アルカディオ・セグンドとアウレリャノ・セグンドの双子。
 五代目は、法王見習のホセ・アルカディオ。
 六代目は、アウレリャノ・バビロニア。
 七代目は、アウレリャノ。

 以上、同じ名前ばかりで混乱しますが、どうやらそれも作者の狙いのようです。
 時間感覚がぐちゃぐちゃになり、堂々巡りをしているみたいな気分になります。

 「時は少しも流れず、ただ堂堂めぐりをしているだけであることをあらためて知り、
 身震いした。」(P385)

 これは、一族を長年見守り続けた、一代目の妻ウルスラが突然感じ取ったことです。
 作者が作品で伝えたかったことは、まさにこういう感覚ではなかったでしょうか。

 ところで、上記のブエンディア家七代の名前では、男子の名前だけを挙げましたが、
 大事な役割を果たしているのは、むしろ女性の方かもしれません。

 特に、一代目の妻ウルスラは100歳を超えてなお、傾いた一族を支え続けました。
 彼女は町の創建時から登場し、六代目のアウレリャノ誕生後まで生きのびています。

 その間、一族のはてしなく続く途方もない歴史を、陰でずっと見守り続けています。
 作者が語り口を真似たという祖母が、ウルスラに重ねられているような気がします。

 ウルスラは死ぬ直前に、豚のしっぽを避けるため、家訓として近親婚を禁じました。
 しかし、アウレリャノ・バビロニアとアマランタ・ウルスラが、それと知らず・・・

 さて、ウルスラ以上に長生きして一族に関わり続けるのが、ピラル・テルネラです。
 彼女はウルスラとともに登場しながら、ブエンディア家にとっては影の存在でした。

 「この一家の歴史は止めようのない歯車であること、また、軸が容赦なく徐々に摩滅
 していくことがなければ、永遠に回転し続ける車輪であることを知っていた」(P450)

 表に出ていませんが、彼女の血もまた、一族の本流に流れ込んでいます。
 皮肉なことにそのトランプ占いが、アウレリャノ・バビロニアを導いてしまい・・・

 実は、「百年の孤独」を読み終わったら、ロスになるかとずっと心配していました。
 しかし読み終わった今、私は解放された気分です。やっと呪縛を解かれた!

 この本を読んでいる間、私自身の半分は、マコンドの町に迷い込んでいました。
 良くも悪くも、「百年の孤独」は、まれにみる読書体験をもたらしてくれました。

 さいごに。(必ず二度寝してしまうアラーム)

 ケータイに音楽を入れておき、毎朝好きな曲をアラーム音に設定して起きています。
 平日はヴァン・ヘイレンの「ジャンプ」や、ユーリズ・ミックスの「エンジェル」。

 日曜など仕事の休みの日は、岩崎宏美の「聖母たちのララバイ」にしています。
 「さあ、眠りなさい~」という歌いだしを聞くと、気持ちよく二度寝できるので。

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