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アクロイド殺し [20世紀イギリス文学]

 「アクロイド殺し」 アガサ・クリスティー作 羽田詩津子訳 (ハヤカワ文庫)


 地主のアクロイド氏が殺害された事件を、名探偵ポワロが解決する傑作推理小説です。
 トリックが探偵小説のルールに反しているかどうか、論争を巻き起こした問題作です。


アクロイド殺し (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

アクロイド殺し (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2003/12/01
  • メディア: 文庫



 金持ちの未亡人フェラーズ夫人が、睡眠薬の過剰摂取で亡くなりました。
 翌日、医師シェパードは、村の地主アクロイド氏の屋敷に呼ばれ、相談を受けました。

 ロジャーは、死の直前のフェラーズ夫人から、夫を毒殺したと打ち明けられたのです。
 そして夫人は、夫の毒殺を知っている何者かに、脅迫されていたと言うのです。

 2人が相談している最中に、ロジャーへ生前のフェラーズ夫人から手紙が届きました。
 そこには、フェラーズ夫人を脅していた者の名が記されていたらしいのですが・・・

 シェパードが去った後、ロジャーは殺害され、養子のラルフに殺人容疑がかかり・・・
 シェパードの隣人となっていたポワロが、シェパードと一緒に捜査に乗り出して・・・

 結末には驚きました。まさか、この人物が犯人だとは!
 評判を聞いていたので、注意深く読んできましたが、まったくの予想外でした。

 「アクロイド殺し」はトリックの奇抜さで知られています。私も罠にはまりました。
 驚嘆すると同時に「こういうのもあり?」と思いました。論争になるのも分かります。

 探偵小説のルールに則っているかどうかという難しいことは、私には分かりません。
 ただ、これだけは言えます。絶対楽しめる本です。読書好きの人全員にオススメです。

 ロジャー家の人々が、少しずつ隠し事をしていることも、物語を面白くしています。
 新たな事情や人間関係が見えてくるのに、犯人は全くわからない。(そりゃそーだ)

 さて、時々ポワロはシャレたことを言います。たとえばブラント少佐を評した言葉。
 こういう言葉のセンスが、作品の面白さをぐっと引き立てるのだと思います。

 (自分を「愚か者だ」というブラント少佐を見て、)「どこから見ても愚か者じゃない
 ですよ(中略)ただ ― 恋に落ちた愚か者というだけです」(P346)

 ハヤカワ文庫版は、2003年に出た新訳です。文章はとても読みやすかったです。
 名作なので多くの訳が出ていますが、絶版になっている文庫が多いです。

 さいごに。(久々に家族で運動)

 この三連休、家族で近くの公園を走ったり、筋トレをしたりする時間が取れました。
 普段だったら、娘は午前中に部活で走るので、なかなか一緒に運動ができません。

 考えてみると、娘の中学入学以降、家族みんなで何かをする時間が激減しています。
 コロナは困るけど、家族そろって運動するという、貴重な時間が得られました。

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