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はかない人生 [20世紀ラテンアメリカ文学]

 「はかない人生」 J・C・オネッティ作 鼓直訳 (集英社・世界文学全集82)


 人生に行き詰った男が、空想世界に逃避しながら、現実世界を生きていく物語です。
 現実と空想が交差する実験的小説で、ラテンアメリカ文学ブームの先駆的作品です。


世界文学全集〈82〉アストリアス.オネッティ (1981年)大統領閣下 はかない人生

世界文学全集〈82〉アストリアス.オネッティ (1981年)大統領閣下 はかない人生

  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2020/03/11
  • メディア: -



 広告代理店に勤めるブラウセンは、妻ヘルトルディスと結婚して5年がたちました。
 妻が片方の乳房を切除する手術をしてから、夫婦の関係は冷え切っていました。

 仕事上で頼まれた映画のシナリオは、空想するだけで、なかなか書き出せません。
 とうとう会社はクビになってしまい、ヘルトルディスとは別居してしまいました。

 ブラウセンは、自分が空想する映画の世界へ、たびたび没入するようになりました。
 また、アルセという偽名を使って、隣の部屋の娼婦ケーカと関係を持ち始めました。

 空想の中の田舎医師と、アルセとしての偽りの生活が、比重を増していきました。
 ブラウセンは痛感します。自分の生活は、空っぽの鋳型でしかないと・・・

 人生ははかない / 愛がちょっぴり / 夢がちょっぴり / そしてボンジュール
 人生ははかない / 希望がちょっぴり / 夢がちょっぴり / そしてボンソワール
 (第Ⅰ部22章「人生ははかない」からマミーの歌)

 後半の第Ⅱ部に入ると、現実の世界と空想の世界が、本格的に交差し始めます。
 どちらが本当の世界なのか? と思わせるところに、この小説の面白さがあります。

 さらにケーカの部屋で事件が起こると、なんだかすべてが夢のように思えてきます。
 主人公ブラウセンの行動の動機が、いまひとつよく理解できません。

 どうしてケーカを殺したいのか? どうしてエルネストをかばうのか?
 アルセとしての生活も、本当は頭の中の妄想だったのではないかと、思えてきます。

 ところで、ディアス・グレイとエレーナ・サラの物語の後半が分かりませんでした。
 いつのまにか二人で、ある男を追い始めていたけど、どういう展開だったのか?

 途中、話の内容が朦朧としてきたように感じたのは、私だけでしょうか。
 物語の展開がうまく呑み込めなくて、わけがわからないまま終わってしまいました。

 時々出て来る意味不明の言葉にも苦戦しました。(たとえばP467)
 「人生は自分そのものであり、自分自身は他人である。」って、どういうこと?

 なお、「はかない人生」は集英社文庫でも出ていました。カバーイラストは秀逸。
 現在は絶版なので、私は集英社の世界文学全集で読みました。古本を買えたので。


はかない人生 (ラテンアメリカの文学) (集英社文庫)

はかない人生 (ラテンアメリカの文学) (集英社文庫)

  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1995/03/17
  • メディア: 文庫



 さいごに。(パソコン無料診断)

 某パソコンショップで、18000円相当のケアが無料だと言うので、行ってきました。
 ところが、ウィルスが入っていたことが判明。その駆除に1万円以上かかるという。

 さらに、店員の勧めるままにメモリを交換したりすると、6万円ほどになるらしい。
 なるほど、そういうことか。中古で4万円のPCなので、何もしないで帰りました。
 ちなみに、店員は親切で、ウィルス駆除方法を教えてくれたので、家でできました。

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