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神話の力2 [哲学・歴史・芸術]

 「神話の力」 J・キャンベル&B・モイヤーズ著 飛田茂雄訳 (ハヤカワ文庫)


 神話学の大家キャンベルと、ジャーナリストのモイヤーズとの、対談の記録です。
 インタビューが終わった翌年、キャンベルは亡くなり、これが遺作となりました。


神話の力 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

神話の力 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2010/06/24
  • メディア: 文庫



 後半に入っても、キャンベルの語りはまったく衰えません。
 特に、「第五章 英雄の冒険」は、本書のクライマックスではないかと思います。

 ジョン・レノン、オデュッセウス、ブッダ、ヨナ、ジ-クフリート、テセウス、
 スフィンクス、ガウェイン、クロクォイ族の娘、そして、ダース・ベーダー・・・

 次から次にさまざまな英雄物語の主役と脇役が登場し、目まぐるしく展開します。
 TVシリーズで、この章が第1回で放送されたのは、やはり秀逸だったからでしょう。

 また、神話を語りながら生き方を語るというスタイルは、ますます冴えています。
 愛のために地獄も覚悟する「トリスタン」。続くキャンベルのコメントが良いです。

 「人が自分の無上の喜びに従ってどんな人生を選ぶとしても、それには、だれから脅
 されようがこの道から絶対に外れないという覚悟が必要です。そして、どんなことが
 起ころうとも、この覚悟さえあれば、人生と行動は正当化されます。」(P398)

 行動を正当化するのは、その人の覚悟であると言う。これはユニークな教えでした。
 この本をとても味わい深くしているのは、きっとキャンベルの人柄の魅力でしょう。

 第四章で語られる学生時代の思い出話が、またすばらしい。それは1929年のこと。
 「当時はほんとに職がなかったんです。私にとってはすばらしい時期でしたよ。」

 5年間職に就けなかった彼は、この時期に読書をしまくりました。至福の時でした。
 そういう至福の時には、隠れた手に助けられている感じを、たびたび受けたと言う。

 「それは、もし自分の至福を追求するならば、以前からそこにあって私を待っていた
 一種の軌道に乗ることができる。そして、いまの自分の生き方こそ、私のあるべき生
 き方なのだ、というものです。そのことがわかると、自分の至福の領域にいる人々と
 出会うようになる。その人たちが、私のために扉を開いてくれる。」(P262)

 「心配せずに自分の至福を追求せよ、そうしたら思いがけないところで扉が開く」
 ここで語られたこの言葉は、現在私の座右の銘になっています。

 「自分にとっての至福を追求せよ」「やりたいことは何でも徹底的にやれ」
 そういうメッセージを発信するキャンベルは、間違いなく魅力的な先生だったはず。

 さて、同じハヤカワ文庫から、「千の顔をもつ英雄(新訳版)」が出ています。
 キャンベルの若き日の出世作です。遺作の「神話の力」より40年も前に出ました。


千の顔をもつ英雄〔新訳版〕上 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

千の顔をもつ英雄〔新訳版〕上 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2015/12/18
  • メディア: 文庫



 また、角川ソフィア文庫からは、「生きるよすがとしての神話」が出ています。
 こちらも「神話の力」並みに面白いという評判です。読んでみたいです。


生きるよすがとしての神話 (角川ソフィア文庫)

生きるよすがとしての神話 (角川ソフィア文庫)

  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2016/11/25
  • メディア: Kindle版



 さいごに。(コロナ太り解消せず)

 私もまた、コロナ太りになったひとりです。おなかの脂肪が邪魔で邪魔で・・・
 家で時々筋トレをしますが、以前よりずっとキツイので、なかなか長続きしません。

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