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世界神話事典 世界の神々の誕生 [古代文学]

 「世界神話事典 世界の神々の誕生」 大林太良ほか編 (角川文庫)


 世界を19の地域に分けて、各地域の神話の専門家が分かりやすく解説した事典です。
 2005年に刊行された「世界神話事典」の中の、「地域別にみる神話」の文庫化です。


世界神話事典 世界の神々の誕生 (角川ソフィア文庫)

世界神話事典 世界の神々の誕生 (角川ソフィア文庫)

  • 出版社/メーカー: 角川学芸出版
  • 発売日: 2012/03/24
  • メディア: 文庫



 19の地域とは、日本、中国、朝鮮、東南アジア、インド、イラン、メソポタミア、
 エジプト、ギリシア・ローマ、ケルト、ゲルマン、スラヴ、シベリア、内陸アジア、
 オセアニア、北アメリカ、メソアメリカ、南アメリカ、アフリカです。

 それぞれの地域の神話の概要が、わずか10ページほどで書かれています。
 興味を持った地域の神話を、さくっと理解したいのなら、もってこいの事典です。

 読んだことのない神話を、ゼロから知ることができます。たとえば、オセアニア。
 通過儀礼、人間の起源、脱皮型死、兄弟争い・・・「夢の時代」の記述は傑作です。

 「オーストラリア原住民は、原初の夢の時代に神話的な存在が広く移動したと伝えて
 いる。これは決して生活から遊離した空想でもなければ、死んだ過去の物語なのでも
 なく、生きていて、現実生活の指針を与えてくれるものなのである。(中略)彼らは精
 霊の形で生存し続けている。」(P167)

 スラヴの神話では、「吸血鬼と人狼」が目を引きました。
 ネウロイ人はみな年に一度だけ数日にわたって狼に変身し、それから元の姿に・・・

 「自分の意志でなる場合は、好きなときに人間に戻れるが、意図せず人狼にされた場
 合には、七年間あるいは五十年間、人を襲ってその肉を食べる。」(P143)

 アフリカの神話も興味深かったです。
 いろいろある中でも、亀がもたらした「死の起源」が面白かったです。

 「子供が欲しい」と言う亀に、神は言います。「子供を産むと死ななければならない」
 「子供が持てるなら死んでもいい」 子供を得た結果、出産と死がもたらされ・・・

 さて、ここまでの話と矛盾するようですが、この本はもの足りなかったです。
 それもそのはず。わずか10ページずつですからね。世界全体でも200ページほど。

 つまり、ここに紹介された神話は、全体のほんの一握りにすぎないのです。
 ほとんどの部族の神話が、取りこぼされているのです。

 どうやら姉妹版の「世界神話事典 創世神話と英雄伝説」が、事典の本編のようです。
 そして、今回読んだ「世界の神々の誕生」の方は、付録のような位置でしょうか。

 「創世神話と英雄伝説」の方は、項目別になっています。ぜひ読みたいです。
 「世界の起源」「人間の起源」「洪水神話」「死の起源」「火の起源」・・・

 さいごに。(夏休みは23日間)

 子供たちの夏休みの短縮が話題となっています。
 うちの娘の中学校は8月1日から23日までです。週休日等を入れて23日間です。

 8月の終わりの残暑厳しい時期に、授業が始まります。しかもクーラー無しです。
 ちょっとかわいそうな気がしますが、それ以上に先生方もたいへんでしょう。

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