世界神話事典 世界の神々の誕生 [古代文学]
「世界神話事典 世界の神々の誕生」 大林太良ほか編 (角川文庫)
世界を19の地域に分けて、各地域の神話の専門家が分かりやすく解説した事典です。
2005年に刊行された「世界神話事典」の中の、「地域別にみる神話」の文庫化です。
19の地域とは、日本、中国、朝鮮、東南アジア、インド、イラン、メソポタミア、
エジプト、ギリシア・ローマ、ケルト、ゲルマン、スラヴ、シベリア、内陸アジア、
オセアニア、北アメリカ、メソアメリカ、南アメリカ、アフリカです。
それぞれの地域の神話の概要が、わずか10ページほどで書かれています。
興味を持った地域の神話を、さくっと理解したいのなら、もってこいの事典です。
読んだことのない神話を、ゼロから知ることができます。たとえば、オセアニア。
通過儀礼、人間の起源、脱皮型死、兄弟争い・・・「夢の時代」の記述は傑作です。
「オーストラリア原住民は、原初の夢の時代に神話的な存在が広く移動したと伝えて
いる。これは決して生活から遊離した空想でもなければ、死んだ過去の物語なのでも
なく、生きていて、現実生活の指針を与えてくれるものなのである。(中略)彼らは精
霊の形で生存し続けている。」(P167)
スラヴの神話では、「吸血鬼と人狼」が目を引きました。
ネウロイ人はみな年に一度だけ数日にわたって狼に変身し、それから元の姿に・・・
「自分の意志でなる場合は、好きなときに人間に戻れるが、意図せず人狼にされた場
合には、七年間あるいは五十年間、人を襲ってその肉を食べる。」(P143)
アフリカの神話も興味深かったです。
いろいろある中でも、亀がもたらした「死の起源」が面白かったです。
「子供が欲しい」と言う亀に、神は言います。「子供を産むと死ななければならない」
「子供が持てるなら死んでもいい」 子供を得た結果、出産と死がもたらされ・・・
さて、ここまでの話と矛盾するようですが、この本はもの足りなかったです。
それもそのはず。わずか10ページずつですからね。世界全体でも200ページほど。
つまり、ここに紹介された神話は、全体のほんの一握りにすぎないのです。
ほとんどの部族の神話が、取りこぼされているのです。
どうやら姉妹版の「世界神話事典 創世神話と英雄伝説」が、事典の本編のようです。
そして、今回読んだ「世界の神々の誕生」の方は、付録のような位置でしょうか。
「創世神話と英雄伝説」の方は、項目別になっています。ぜひ読みたいです。
「世界の起源」「人間の起源」「洪水神話」「死の起源」「火の起源」・・・
さいごに。(夏休みは23日間)
子供たちの夏休みの短縮が話題となっています。
うちの娘の中学校は8月1日から23日までです。週休日等を入れて23日間です。
8月の終わりの残暑厳しい時期に、授業が始まります。しかもクーラー無しです。
ちょっとかわいそうな気がしますが、それ以上に先生方もたいへんでしょう。
世界を19の地域に分けて、各地域の神話の専門家が分かりやすく解説した事典です。
2005年に刊行された「世界神話事典」の中の、「地域別にみる神話」の文庫化です。
19の地域とは、日本、中国、朝鮮、東南アジア、インド、イラン、メソポタミア、
エジプト、ギリシア・ローマ、ケルト、ゲルマン、スラヴ、シベリア、内陸アジア、
オセアニア、北アメリカ、メソアメリカ、南アメリカ、アフリカです。
それぞれの地域の神話の概要が、わずか10ページほどで書かれています。
興味を持った地域の神話を、さくっと理解したいのなら、もってこいの事典です。
読んだことのない神話を、ゼロから知ることができます。たとえば、オセアニア。
通過儀礼、人間の起源、脱皮型死、兄弟争い・・・「夢の時代」の記述は傑作です。
「オーストラリア原住民は、原初の夢の時代に神話的な存在が広く移動したと伝えて
いる。これは決して生活から遊離した空想でもなければ、死んだ過去の物語なのでも
なく、生きていて、現実生活の指針を与えてくれるものなのである。(中略)彼らは精
霊の形で生存し続けている。」(P167)
スラヴの神話では、「吸血鬼と人狼」が目を引きました。
ネウロイ人はみな年に一度だけ数日にわたって狼に変身し、それから元の姿に・・・
「自分の意志でなる場合は、好きなときに人間に戻れるが、意図せず人狼にされた場
合には、七年間あるいは五十年間、人を襲ってその肉を食べる。」(P143)
アフリカの神話も興味深かったです。
いろいろある中でも、亀がもたらした「死の起源」が面白かったです。
「子供が欲しい」と言う亀に、神は言います。「子供を産むと死ななければならない」
「子供が持てるなら死んでもいい」 子供を得た結果、出産と死がもたらされ・・・
さて、ここまでの話と矛盾するようですが、この本はもの足りなかったです。
それもそのはず。わずか10ページずつですからね。世界全体でも200ページほど。
つまり、ここに紹介された神話は、全体のほんの一握りにすぎないのです。
ほとんどの部族の神話が、取りこぼされているのです。
どうやら姉妹版の「世界神話事典 創世神話と英雄伝説」が、事典の本編のようです。
そして、今回読んだ「世界の神々の誕生」の方は、付録のような位置でしょうか。
「創世神話と英雄伝説」の方は、項目別になっています。ぜひ読みたいです。
「世界の起源」「人間の起源」「洪水神話」「死の起源」「火の起源」・・・
さいごに。(夏休みは23日間)
子供たちの夏休みの短縮が話題となっています。
うちの娘の中学校は8月1日から23日までです。週休日等を入れて23日間です。
8月の終わりの残暑厳しい時期に、授業が始まります。しかもクーラー無しです。
ちょっとかわいそうな気がしますが、それ以上に先生方もたいへんでしょう。
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