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世界の神話 [古代文学]

 「世界の神話」 沖田瑞穂 (岩波ジュニア新書)


 世界を10の地域に分けて、それぞれの代表的神話を、分かりやすく紹介しています。
 2019年8月に出たばかりの、とても読みやすい本です。文庫本ではなく、新書です。


世界の神話 (岩波ジュニア新書)

世界の神話 (岩波ジュニア新書)

  • 作者: 瑞穂, 沖田
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2019/08/23
  • メディア: 新書



 10の地域とは、インド、メソポタミア、エジプトとアフリカ、ギリシア、ケルト、
 北欧、インドネシア、中国、オセアニア、中南米と北米。付録として「古事記」。

 ひとりの著者によって書かれているため、内容が有機的につながっていて面白い。
 (「世界神話事典」は執筆者が多い分、バラバラで無機的な印象がありました。)

 その反面、著者の好みでチョイスしているためか、どうしても偏りがありました。
 たとえば著者の専門のインド神話だけ、他の地域より大幅にページ数が多いです。

 満遍なく世界に目を配ることよりも、自分の伝えたいことを優先しているようです。
 その方針が、この本を魅力的なものにしています。

 「中国人は、古来現実世界に興味を持っていたから、歴史書を多く残した。
 インド人は、神々の世界に興味を持っていたから、神話や哲学書を多く残した。」

 「インド・ヨーロッパ語族は、もともと一つの社会を営み、同じ神話を持っていた。
 オリエントから、インド、ギリシアの洪水神話は、すべて起源が同じである。」

 「蛇は、神話では原初の混沌を表す。英雄が蛇を退治して、秩序を作り上げる。
 蛇はもともと女神だった。旧石器以来、蛇は女神と一体だった。」

 「世界の始まりのとき、新しい秩序を作るために、秩序を超えた力が必要となる。
 その力を生み出すのが、秩序を超えた結婚、すなわち近親相姦であると解釈する。」

 「中国人の世界観では、世界は整然と方眼状に区画されていて碁盤に喩えられる。
  碁石の黒と白は陰と陽を表し、碁を打つことは天体の運行と人間の営みを表す。」

 「アポリジニにとって、神は世界そのものであるから、自然を傷つけられない。
 一神教の人々にとって、世界は神から与えられたものだから、存分に利用できる。」

 「アステカの神話では、世界は神々の犠牲で創られ、やがて滅亡する定めである。
 万物の死滅を少しでも遅らせるために、自分たちも犠牲を捧げるべきだと考えた。」

 さて、中でもとびっきり印象に残っている神話が、「フィアナ神話」です。(P116)
 常若の国からオシーンが帰ってみると、故郷はまったく変わっていて・・・

 なお、ここで紹介される神話は、「世界神話事典」からの引用が多かったです。
 改めて「世界神話事典」が、基本的資料として大事にされていると感じました。

 「世界神話事典 世界の神々の誕生」
 → https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2020-08-01

 さいごに。(コロナ拡大)

 7月31日に、新規感染者は、全国で1580人に達しました。東京は463人でした。
 「Go To トラベル」も始まって、わざとコロナを広めているようにも思えます。

 先日カフェのカウンターで、隣に座った人から、興味深い話を聴かされました。
 「コロナが拡大することのメリットに国は気づいた」と言うのです。まさかね。

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