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鍵 [日本の近代文学]

 「鍵」 谷崎潤一郎 (中公文庫)


 変態的嗜好を持つ夫と淫乱な妻の、それぞれの日記が交互に示されています。
 中公文庫版では、棟方志功による挿絵が50点以上挿入されていて、買いです。


鍵 (中公文庫 (た30-6))

鍵 (中公文庫 (た30-6))

  • 作者: 谷崎 潤一郎
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 1973/12/10
  • メディア: 文庫



 一月一日、夫は妻が読むことを半ば期待して、日記に閨房のことを書き始めました。
 妻もまた、夫が読むことを前提に日記を書き始め、二人の日記が交互に展開します。

 夫は56歳。妻を深く愛しているものの、妻を満足させていないことを気にしている。
 妻は45歳。まだとても美しく世にもまれな名器を持ち、淫乱でアノ方は病的に強い。

 一月四日、妻は書斎で鍵を拾いました。それは、夫の日記がある引き出しの鍵・・・
 二人は、お互いの日記を読んでいないという振りをしていますが・・・

 夫婦には娘がいて、娘には木村という恋人がいますが、木村は妻に気があります。
 夫は木村に嫉妬しますが、その嫉妬が大きいほど、性的な快楽を味わうのです!

 あるとき4人でブランデーを飲み、妻が風呂場で倒れて、ベッドに運ばれました。
 妻の全裸姿を眺めた夫は興奮して・・・妻は「木村さん」とうわごとを言い・・・

 よせばいいのに夫は、妻に何度もブランデーを飲ませ、その度にいたずらをします。
 妻は何をされるか分かっていながら、ブランデーを飲んでは必ず風呂場で倒れます。 

 アホかと思いながらも、しだいにそんなヘンタイ夫婦に愛着を感じてきます。
 特に夫の方は、妻への愛が切々と感じられ、読んでいるうちに可愛くなってきます。

 そしてしまいには夫は、とうとう妻の上で・・・
 あっぱれ! 男は誰しも、このヘンタイ教授を見習うべきでしょう。

 面白いのは、夫が一種の境に入っているように描かれているところです。
 ある意味彼は、ある種の悟りを開いたのかもしれません。

 「ソノ時僕ハ第四次元ノ世界に突入シタトイウ気ガシタ。タチマチ高イ所、忉利天
 ノ頂辺ニ登ッタノカモ知レナイト思ッタ。」(P100)

 ところで、最後の方の妻の日記は、謎解きの意味合いがあって面白いのですが、
 やや説明的すぎるように感じました。もう少し謎を残した方が良かったのでは?

 「鍵」という作品は、「痴人の愛」以上にヘンタイ感が大きいです。
 ところが、棟方志功の野性味あふれる版画が、作品の芸術性を支えています。

 「鍵」は新潮文庫版もありますが、棟方志功の挿絵がある中公文庫版がオススメ。
 カバーイラストもサイコーです。次は、「瘋癲老人日記」を読みたいです。


瘋癲老人日記 (中公文庫)

瘋癲老人日記 (中公文庫)

  • 作者: 谷崎 潤一郎
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2001/03/25
  • メディア: 文庫



 さいごに。(体重70キロ超!)

 いつものことですが、冬になると体重が増えてしまいます。
 今年は毎日運動をしていたので、2キロ増えて68キロぐらいかと思っていました。

 ところが、久しぶりに昨日体重を計ったら、なんと71キロありました!
 家の体重計が狂ったと思って、職場の体重計で計ってみたけど、やはり71キロ!

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