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アマルフィ [日本の現代文学]

 「アマルフィ」 真保裕一 (講談社文庫)


 イタリアでの日本人誘拐に端を発した事件に、一人の外交官が立ち向かう物語です。
 2009年公開の映画「アマルフィ」の、最初のプロットをもとに書かれた小説です。


アマルフィ 外交官シリーズ (講談社文庫)

アマルフィ 外交官シリーズ (講談社文庫)

  • 作者: 真保裕一
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2021/03/12
  • メディア: Kindle版



 外交官の黒田康作は、調印式に出席する外相を守るため、ローマに派遣されました。
 調印式の準備に追われる中で、日本人の少女が誘拐され、身代金を要求されました。

 外交官は事件に関わることができません。事件にはイタリアの警察が介入しました。
 しかし黒田は大使館の命令に逆らって、誘拐された少女の母紗江子に協力しました。

 黒田と紗江子は、身代金の受け渡し場所に指定されたアマルフィに向かいました。
 ところが受け渡しは失敗し、少女は戻らず、犯人からの連絡も途絶えたのです。

 黒田と紗江子は独自の調査に乗り出して・・・警備会社が怪しいとにらみ・・・
 少女は取り戻せるのか? 犯人は誰なのか? 犯人の真の狙いは何なのか? 

 私がこの小説を読んだ理由は、映画「アマルフィ」がとても面白かったからです。
 イタリアの景色も美しかった。それ以上に、主演の織田裕二がカッコ良かった! 

 唯一の不満は、アマルフィでの場面が、期待していたほど多くなかったことです。
 ついでながら小説版では、アマルフィの場面が映画版よりずっと少なかったです。

 私がアマルフィに憧れたのは、NHKのイタリア縦断という番組を見てからです。
 20年近く前、NHK所属だった住吉美紀と、陣内秀信氏の案内で放送されました。

 青い海と青い空。そして、崖にへばりつくように建てられた白い家々・・・
 あの景色が忘れられません。私も死ぬまでに、一度は絶対に行きたいです。

 「ギリシャ神話に登場する英雄ヘラクレスが、愛する妖精アマルフィの死を悼ん
 で、世界で最も美しい地にその亡骸を埋めて、あの街を作ったそうなんです。」
 (P312)

 アマルフィの由来が、この物語において、とてもうまく生かされていました。
 それなのに、黒田らはアマルフィに行ったとたんに、帰って来てしまいます。

 アマルフィがあれほど美しいのは、イスラムの文化が融合しているからだと言う。
 テロリストが作戦名をアマルフィにした理由も、それが理想の形だったからです。

 「たとえどれほど慈悲深く敬虔なカトリック信者でも、相手が他宗の信者であれ
 ば、人は一切の躊躇なく発砲と爆撃の命令を下せる。」(P412)

 このような言葉に、作者の一番言いたかったことが表れているような気がします。
 チェチェン問題はもちろん、中国によるウイグル人虐殺にも同じことが言えます。

 さて、ストーリーは小説と映画ではだいぶ違います。私的には映画がオススメ。
 小説の方は最後まで犯人の狙いが分かりませんが、凝りすぎという感じがします。

 作者真保裕一の代表作と言えば、「ホワイトアウト」でしょう。
 こちらも2000年に織田裕二主演で上映されて話題となりました。見てみたいです。


ホワイトアウト (新潮文庫)

ホワイトアウト (新潮文庫)

  • 作者: 裕一, 真保
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1998/08/28
  • メディア: 文庫



 さいごに。(ツイッターの使い方にびっくり)

 うちの奥さんは、TV画面を見ているとき、頻繁にスマホも見ているのです。
 出演者について、他のファンとツイッターで、感想を言い合っていると言います。

 番組に集中できるかと心配ですが、奥さんによると2倍楽しくなるのだそうです。
 それにしてもスマホには、そういう高度な(めんどくさい)使い方があったとは!

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