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奇妙な幕間狂言 [20世紀アメリカ文学]

 「奇妙な幕間狂言」 ユージン・オニール作 井上宗次・石田英二訳 (岩波文庫)


 戦死した婚約者にとらわれる女と、彼女を取り巻く人々の25年にわたる愛憎劇です。
 「楡の木陰の欲望」と並ぶオニールの代表作です。上演に6時間を要する戯曲です。


奇妙な幕間狂言 (岩波文庫)

奇妙な幕間狂言 (岩波文庫)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2021/05/24
  • メディア: 文庫



 ニーナには、ゴードンという婚約者がいましたが、大戦で戦死してしまいました。
 彼が出征するとき、彼に自分を与えなかったことを、いつまでも後悔しています。

 煩悶したニーナは、軍の病院の看護婦を志願し、老父を残して出て行きました。
 ゴードンに与えられなかった愛を、負傷兵に与えることで自分を保とうとしたのです。

 しかし、その献身で心は疲れ果て、父が死んだときでさえ悲しくなりませんでした。
 そこで、次はわが子に献身できるようにと、ゴードンの友エヴァンズと結婚しました。

 ところが、子供ができたときに、エヴァンズの母から一族の恐ろしい話を聞き・・・
 エヴァンズ家の呪いとは? 呪いを避けるためにニーナはどのような行動をとったか?

 「お前があれを愛してゐることを是非サムに納得させにやならん―あれを幸せにする
 爲には。その爲には、お前がどの様な事をしてもいいのだ—いいのだよ。ニーナ! 
 わたしはちつとも構やせん!」(P110)

 このときからニーナの人生の長年にわたる悲劇が始まりました。それにしても長い!
 全9幕。文庫本で320ページ超。上演すれば6時間かかると言います。

 これほど長くなってしまうのは、登場人物たちが心の中まで吐露しているからです。
 副題に、「感情だだもれの四人衆」と付けたくなるぐらいです。

 勝手な感情をぶちまけながら、まったく裏腹なセリフを吐くところがこの劇の命です。
 心の中で相手を小バカにしながら、ばか丁寧な応対をしたりとか。

 さんざん悩み苦しんだ果てに、ニーナたちの人生ははかなくも過ぎ去っていきます。
 振り返ってみると、ただの幕間狂言。道化芝居のような人生だった・・・

 「実際に生きている世界は只過去と未来にある丈だ・・・現在は幕間狂言にすぎない。」
 (P267)
 「人生と云ふものは考へる事を必要としない単細胞の何物かなんですよ!」(P276)

 さいごに。(90歳以上のマイルで世界新!)

 青森県で行われたマスターズ陸上で、90歳以上の4×400mリレーで世界新が出ました。
 記録は8分49秒01。4分以上更新したとのこと。めっちゃカッコイイじっちゃんたち!

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