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獄門島 [日本の現代文学]

 「獄門島」 横溝正史 (角川文庫)


 名探偵の金田一が、瀬戸内海の「獄門島」で起きた連続殺人事件を解明する物語です。
 1947年に連載された金田一耕助シリーズの長編で、横溝の最高傑作とされています。


獄門島 (角川文庫)

獄門島 (角川文庫)

  • 作者: 横溝 正史
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 1971/03/30
  • メディア: 文庫



 終戦の一年後、金田一耕助は、瀬戸内海の孤島「獄門島」にやってきました。
 戦友の鬼頭千万太の死に際に、獄門島で起こる災いを防ぐよう頼まれたのです。

 「おれがかえってやらないと、三人の妹たちが殺される・・・だが、だが、おれは
 もうだめだ。金田一君、おれの代わりに・・・おれの代わりに獄門島へ行ってくれ。」
 (P31)

 千万太の家は有名な網元でしたが、太閤と呼ばれた祖父は1年前に亡くなりました。
 当主は精神を病んでいました。ほか、千万太の三人の妹など女しか残っていません。

 本家である千万太の鬼頭家は今、まさに衰亡を迎えようとしています。
 そして、この家を守ろうとしているのが、和尚と村長と医者の3人です。

 一方で、分家の鬼頭家は、今こそ勢力を増そうと何やら画策しているようなのです。
 そして千万太の葬儀の夜、末の妹の花子が殺されて、梅の木に逆さづりにされ・・・

 花子はなぜ殺されたのか? また、なぜそのような殺され方をしたのか?
 「きちがいじゃが仕方がない」とはどういう意味か? 和尚は何を知っているのか?

 最初の謎が解けぬうちに、第二・第三の殺人が起こって・・・
 金田一はようやく、三つの俳句に何か意味が隠されていることを知りますが・・・

 面白いです。先が気になって、どんどん読めてしまいます。
 推理だけではありません。閉ざされた世界の異常さが、生々しく描かれています。

 「この島の住人どもは、みな常識では測り知れぬ奇妙なところを持っている。貝殻の
 ような堅い鎧のなかに、本土の人々などの思いもよらぬような、変てこな考えを包ん
 でおりますのじゃ。」(P127)

 しかし、突っ込みどころは満載です。殺し方が凝りすぎです。こだわりすぎですよ。
 金田一にヒントを与えるための見立てになっています。これではまるでゲームです。

 それに、犯人がフェア・プレーの精神から、事件を解く鍵を置いていったって?
 やっぱりこれはゲームですよ。犯人にはもう少し真剣さ(!)がほしかったです。

 さて横溝正史には、ほかに「八つ墓村」「犬神家の一族」「悪魔が来りて笛を吹く」
 「悪魔の手毬唄」「本陣殺人事件」など、多くの傑作や映画化作品があります。


八つ墓村 (角川文庫)

八つ墓村 (角川文庫)

  • 作者: 横溝 正史
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 1971/04/26
  • メディア: 文庫



犬神家の一族 金田一耕助ファイル 5 (角川文庫)

犬神家の一族 金田一耕助ファイル 5 (角川文庫)

  • 作者: 横溝 正史
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 1972/06/12
  • メディア: 文庫



 さいごに。(まさか共産と・・・)

 立民を中心に野党が候補者の一本化を進め、選挙が面白くなってきました。
 うちの選挙区では、共産までもが立民のため、候補者を立てないというまさかの展開。

 なりふりかまわぬ努力と感嘆する人もいれば、節操がないと嘲笑する人もいます。
 後者が9割ですが。それにしても、まさか、立民と共産が手を組むとは・・・

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