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近江散歩、奈良散歩 街道をゆく24 [日本の近代文学]

 「近江散歩、奈良散歩 街道をゆく24」 司馬遼太郎著 (朝日文芸文庫)


 東大寺や興福寺を中心に、様々な回想を交えながら奈良を歩いた時の紀行文集です。
 「週刊朝日」で、1971年から25年間連載された「街道を行く」の第24巻です。


街道をゆく 24 近江散歩、奈良散歩 (朝日文庫)

街道をゆく 24 近江散歩、奈良散歩 (朝日文庫)

  • 作者: 司馬 遼太郎
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 2009/01/09
  • メディア: 文庫



 「おそらく首都が山城の平安京にひっこして以来の南都のさびしさというものが、
 沈殿して伝承しているとしか思えない。」(P206)

 奈良のものさびしさを、司馬はこう表現します。「奈良散歩」は私の青春の書です。
 1988年の朝日文庫の初版を持って、大学時代最後の春休みに、奈良を歩きました。

 観光ガイドに書いてあるようなありきたりな説明は書いてありません。
 ほとんど東大寺の話だけですが、奈良を味わい尽くした人の蘊蓄に満ちています。

 三月堂と四月堂のあいだをぬけていく道が良いと聞けば、そこを通ってみました。
 下の茶屋の屋根に鍾馗さんがいると聞けば、探してみました。(見つからなかった)

 ふつうの屋根の鬼瓦が、桃になっていると聞けば、ひとつひとつ見て回りました。
 でっかい猫がいると聞けば、猫を見るたびに近寄って見ました。(もういないって)

 しかし極めつけは、お水取りを見に行ったことでしょう。
 火の粉をかぶりたくて、2時間前から場所を取り、この本を読みながら待ちました。

 当時の私が見たのは、クライマックス(?)の「お松明」でした。
 次の機会には、過去帳を聞きたいです。目当てはもちろん「青衣の女人」です。

 「源頼朝のくだりでひとつ山を終え、あとは坂をくだるようによんでいると、にわ
 かに青い衣を着た女人があらわれ、するすると集慶(じゅうけい)のそばに寄って
 きて、
  など我をば過去帳にはよみおとしたるぞ。
 といった。集慶はとっさに『青衣ノ女人(しょうえのにょにん)』とよみあげると、
 掻き消えた。」(P319)

 鎌倉時代の修二会でのことだそうです。
 司馬は、東大寺再建のために帝や院を動かした女人ではないか、と推測しています。

 さて、大学時代に購入した初版は、旅先でボロボロになってしまいました。
 10年ほどのちに、近江を旅したとき、この本を買い直しました。

 本書の前半は「近江散歩」です。特に「寝物語の里」が思い出深いです。
 著者同様、見過ごしてしまい、半日ほどかけて石碑を探し回りました。

 現在、手もとに残っているのは、このとき購入した本です。
 すでに日焼けで真っ黒になってしまいましたが、私にとって大事な一冊です。

 ちなみに、私はこの本で、宮大工の棟梁の西岡常一を知りました。
 「木に学べ」(小学館文庫)は、再読したい名著です。


木に学べ 法隆寺・薬師寺の美(小学館文庫)

木に学べ 法隆寺・薬師寺の美(小学館文庫)

  • 作者: 西岡 常一
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2003/11/07
  • メディア: 文庫



 さいごに。(ガラケーはつらい)

 「簡単なアンケートです。3分で終わります。」と言われたので協力しました。
 ところが、最初からいきなりつまづいて、15分やっても結局できませんでした。

 「このQRコードを読み取ってください。」と言われ、最初からいきなりアウト!
 ラインからQRリーダーを開いても、パケット代がかかるとメッセージが出て・・・

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