夢の丘 [20世紀イギリス文学]
「夢の丘」 アーサー・マッケン作 平井呈一訳 (創元推理文庫)
作家志望で妄想癖のある青年ルシアンの、魂の遍歴を描いた半自伝的な小説です。
平井呈一の名訳です。2021年に復刊されました。新カバーはオシャレです。
主人公のルシアンは、ある田舎の牧師館のひとり息子です。
12歳のときに丘の麓で見た夕焼け空が、脳裡に焼き付いて離れませんでした。
「真紅の色は空一面を領するにつれて、大地と大地の上にあるものを染めつくし、灰
色の枯野や枯山までがことごとく茜色になり、水溜りも貯水池も溶けた真鍮になり、
田圃道までがギンギラに輝いた。ルシアンは、夕焼けの真紅の魔術の前に、ほとほと
仰天するほどの驚嘆に打たれた。」(P10)
そのころはまだ母が生きていて、家に帰って来たルシアンを温かく迎え入れました。
ルシアンは、このときの幸せな日々を、生涯かけて追い求めていたようなのです。
やがて母が亡くなり、父親と二人だけで、質素な暮らしを営むようになりました。
17歳のとき、学資が払えなくなって学校を中退し、作家を志すようになりました。
あるとき、近道をしようとして道に迷い、そこで再び幻想的な夕空を見ました。
そのあとの闇の中でアニーとたまたま会い、月光のもとで彼女にキスをして・・・
と、いくつもの幻想的で美しい場面が重ねられ、物語は夢のように進行します。
時に、ルシアンの妄想なのか、それとも現実なのか、判断に迷う場面もありました。
特にⅦ章は、妄想が妄想を呼び、何がなんだかよく分からなくなっています。
これは、狂気に陥ったルシアンの、頭の中の世界を描いているのでしょうか。
「琥珀の小像」という小編の成功も、ルシアンの妄想のひとつなのですよね?
実際は、読めない字でわけの分からないことを書いていた、ということですよね?
さて、アーサー・マッケンには「パンの大神」という問題作があります。
ちくま文庫の「恐怖」に平井訳が収録されています。ぜひ読みたいです。
さいごに。(某高校の先生によると)
今年の1年生から科目が変わり、さらに成績の付け方も変わりました。
観点別評価で成績を付けることになり、以前の3倍の労力が必要だと言います。
しかも、「無意味なことをやっている感」がハンパない、のだそうです。
私たち親も、5段階の数値だけ分かれば充分。観点別評価なんて、見ないって!
作家志望で妄想癖のある青年ルシアンの、魂の遍歴を描いた半自伝的な小説です。
平井呈一の名訳です。2021年に復刊されました。新カバーはオシャレです。
主人公のルシアンは、ある田舎の牧師館のひとり息子です。
12歳のときに丘の麓で見た夕焼け空が、脳裡に焼き付いて離れませんでした。
「真紅の色は空一面を領するにつれて、大地と大地の上にあるものを染めつくし、灰
色の枯野や枯山までがことごとく茜色になり、水溜りも貯水池も溶けた真鍮になり、
田圃道までがギンギラに輝いた。ルシアンは、夕焼けの真紅の魔術の前に、ほとほと
仰天するほどの驚嘆に打たれた。」(P10)
そのころはまだ母が生きていて、家に帰って来たルシアンを温かく迎え入れました。
ルシアンは、このときの幸せな日々を、生涯かけて追い求めていたようなのです。
やがて母が亡くなり、父親と二人だけで、質素な暮らしを営むようになりました。
17歳のとき、学資が払えなくなって学校を中退し、作家を志すようになりました。
あるとき、近道をしようとして道に迷い、そこで再び幻想的な夕空を見ました。
そのあとの闇の中でアニーとたまたま会い、月光のもとで彼女にキスをして・・・
と、いくつもの幻想的で美しい場面が重ねられ、物語は夢のように進行します。
時に、ルシアンの妄想なのか、それとも現実なのか、判断に迷う場面もありました。
特にⅦ章は、妄想が妄想を呼び、何がなんだかよく分からなくなっています。
これは、狂気に陥ったルシアンの、頭の中の世界を描いているのでしょうか。
「琥珀の小像」という小編の成功も、ルシアンの妄想のひとつなのですよね?
実際は、読めない字でわけの分からないことを書いていた、ということですよね?
さて、アーサー・マッケンには「パンの大神」という問題作があります。
ちくま文庫の「恐怖」に平井訳が収録されています。ぜひ読みたいです。
さいごに。(某高校の先生によると)
今年の1年生から科目が変わり、さらに成績の付け方も変わりました。
観点別評価で成績を付けることになり、以前の3倍の労力が必要だと言います。
しかも、「無意味なことをやっている感」がハンパない、のだそうです。
私たち親も、5段階の数値だけ分かれば充分。観点別評価なんて、見ないって!
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