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黄色い部屋の謎 [20世紀フランス文学]

 「黄色い部屋の謎」 ガストン・ルルー作 平岡敦訳 (創元推理文庫)


 密室状態で起こった殺人未遂事件の謎を、若き新聞記者が解明する物語です。
 1908年刊行。密室トリックの古典的名作として知られています。

 「オペラ座の怪人」と同じ平岡訳で読みたくて、創元推理文庫版を選びました。
 「黄色い部屋の秘密」のハヤカワ文庫版も読みやすく、カバーもおシャレです。


黄色い部屋の謎【新訳版】 (創元推理文庫)

黄色い部屋の謎【新訳版】 (創元推理文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2020/06/30
  • メディア: 文庫




黄色い部屋の秘密〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

黄色い部屋の秘密〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2015/10/22
  • メディア: 文庫



 弁護士サンクレールが、15年前に起きた「黄色い部屋の怪事件」について語ります。
 主人公の探偵役は、ジョゼフ・ルルタビーユで、当時18歳の若き新聞記者です。

 高名なスタンガルソン教授と、娘のマティルドは、科学研究に没頭していました。
 実験室の横にはマティルドの部屋があり、一面に黄色い壁紙が貼られていました。

 ある夜、マティルドが部屋に入った後、彼女の叫び声と二発の銃声が聞こえました。
 スタンガルソンと老僕が助けようとしますが、内から鍵が掛かっていて入れません。

 窓には鉄格子がはめられているので、やむなく扉に体当たりして、中に入りました。
 中には、血だらけのマティルドが倒れていて、首を絞められた跡が残っていました。

 部屋は荒らされ、犯人の血の付いた手形もありましたが、犯人はどこにもいません。
 被害者のマティルドはこめかみをひどく負傷し、精神も錯乱し、危機的な状況です。

 この事件を解明するため、高名な警部フレデリック・ラルサンが呼び出されました。
 若き新聞記者のルルタビーユも、弁護士の「私」と一緒に、現場にやってきました。

 ラルサンは調査により、犯人がいかにして黄色い部屋から出たのかを解明しました。
 ラルサンは犯人を、マティルドの婚約者であるダルザックだと、考えていました。

 ところが、ルルタビーユには、ダルザックが犯人には思えないのです。
 敏腕刑事ラルサン対若き新聞記者ルルタビーユ。どちらが真相に近づくのか・・・

 密室にいたはずの犯人は、どのように逃げ出したのか?
 そもそもこの犯行は、誰によるものなのか?

 再びマティルドの部屋に現れた犯人を、追い詰め途端、犯人は消えてしまい・・・
 犯人を撃ったはずが、別の死体が現れ、またも犯人は消えてしまい・・・

 ダルザックの裁判の日、ルルタビーユが示した「反論の余地のない証拠」とは?
 そして、真犯人は?・・・(誰が予想し得たでしょうか!)

 トリックも、犯人も、まったく予想外でした。私は唖然としました。
 100年以上前の作品ですが、すごいです。驚きの連続でした。

 「密室のトリック」について、肩すかしだと言う人もいますが、気持ち分かります。
 「犯人がいかに逃げたか」を懸命に推理した人にとっては、確かに肩すかしですね。

 しかし、私にとっては、大きな驚きでした。
 「そうきたか!」と、うなりました。確かにこの作品は名作でしょう。

 ただし、若干細かすぎて分かりにくい部分もあります。
 何時に何が起こったのか、メモをとりながらでないと、私は理解できませんでした。

 さて、本書には続編の「黒衣夫人の香り」がありますが、惜しいことに絶版です。
 ルルタビーユの知られざる過去が明らかになるという、興味深い作品なのですが。


黒衣婦人の香り (創元推理文庫 108-2)

黒衣婦人の香り (創元推理文庫 108-2)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1976/03/19
  • メディア: 文庫



 さいごに。(テレサテンよ、永遠に)

 先日、歌番組でテレサテンの特集をしていました。
 私のイチオシは「別れの予感」。「あなたが好きすぎて不安になる」という歌です。

 「あなたの言うがままについてくこと、それだけだから」というフレーズに泣けます。
 我が家の女衆からは、そういう昭和的なところが評判悪い。昭和は遠くなりにけり。



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