ジャン・クリストフ5 [20世紀フランス文学]
「ジャン・クリストフ(二)」 ロマン・ロラン作 豊島与志雄訳 (岩波文庫)
天才作曲家クリストフの苦悩に満ちた生涯を、壮大なスケールで描いた大河小説です。
1904年から1912年にかけて発表され、ロランはこの作品でノーベル賞を取りました。
原作は全十巻で刊行。岩波文庫(二)には、その第四巻と第五巻が収められています。
今回は、第五巻の「広場の市」を紹介します。舞台はフランスのパリに移りました。
ドイツからあてもなく逃げてきたクリストフには、パリで暮らしに行き詰りました。
そんな彼を助けたのが、太っちょで滑稽なユダヤ人の旧友シルヴァン・コーンです。
コーンはパリの書店に雇われていて、社交界の噂話を書く記者となっていたのです。
クリストフはコーンの人脈によって、さまざまな芸術家や批評家とつながりました。
ところが、彼らと接すれば接するほど、クリストフはフランスに失望するのです。
彼はとうとう、芸術家気取りのコーンに、「君らは偽善者だ。」と言い放ちました。
「芸術! それは鷲が餌食をつかむように、人生をつかみ取り、それを空中に運び去
り、それとともに晴朗な空間に上昇することだ。・・・そのためには、爪と大きな翼と
力強い心とが必要だ。しかし君らは小雀にすぎない。一片の腐肉を見出すと、即座に
それをつっついて、ちゅうちゅう鳴きながら争っている・・・」(P485)
クリストフは、富豪の娘のコレットにピアノを教え、二人には友情が芽生えました。
しかし彼は、彼女を取り巻く社交界には、いつもうんざりさせられていました。
ある政治家が、クリストフの作品を芝居として上演しようとした理由は・・・
ひとりの下手な女優を、誰もやめさせようとしなかったのは、なぜか?・・・
この「第五巻」に入ってから、急に読みにくくなりました。
というのも、パリの社交界に対する批判が、やや観念的すぎるからです。
当時のパリでは、芸術を知らないヤカラが、いかにも通ぶって批評していました。
そのため芸術作品はつまらないものや、病的なものばかりであったようです。
ロランはクリストフの口を借りて、そういう状況に対する批判を書いています。
妙にロランの筆致に力がこもっていますが、物語としては面白くありません。
そういう文章の中で、下層階級の女シドニーとの交流はほっとする場面でした。
それにしてもシドニーは、なぜ行先を知らせずに急に立ち去ってしまったのか?
また、コレットの従妹グラチアが、密かにクリストフを慕っていて・・・
20歳代の青年詩人が、密かにクリストフの作品を好んでいて・・・
この先、少しずつ明るくなる兆しが見えています。
いかにしてクリストフは、パリでの名声を打ち立てるか(打ち立てないか)?
さいごに。(おひとりさまカラオケで気づいたこと)
かっこいい歌ほど難しくて、うまく歌えない、ということに気付きました。
「pure soul」はもちろん、グレイの曲はどれも難しく、うまく声が出ませんでした。
天才作曲家クリストフの苦悩に満ちた生涯を、壮大なスケールで描いた大河小説です。
1904年から1912年にかけて発表され、ロランはこの作品でノーベル賞を取りました。
原作は全十巻で刊行。岩波文庫(二)には、その第四巻と第五巻が収められています。
今回は、第五巻の「広場の市」を紹介します。舞台はフランスのパリに移りました。
ドイツからあてもなく逃げてきたクリストフには、パリで暮らしに行き詰りました。
そんな彼を助けたのが、太っちょで滑稽なユダヤ人の旧友シルヴァン・コーンです。
コーンはパリの書店に雇われていて、社交界の噂話を書く記者となっていたのです。
クリストフはコーンの人脈によって、さまざまな芸術家や批評家とつながりました。
ところが、彼らと接すれば接するほど、クリストフはフランスに失望するのです。
彼はとうとう、芸術家気取りのコーンに、「君らは偽善者だ。」と言い放ちました。
「芸術! それは鷲が餌食をつかむように、人生をつかみ取り、それを空中に運び去
り、それとともに晴朗な空間に上昇することだ。・・・そのためには、爪と大きな翼と
力強い心とが必要だ。しかし君らは小雀にすぎない。一片の腐肉を見出すと、即座に
それをつっついて、ちゅうちゅう鳴きながら争っている・・・」(P485)
クリストフは、富豪の娘のコレットにピアノを教え、二人には友情が芽生えました。
しかし彼は、彼女を取り巻く社交界には、いつもうんざりさせられていました。
ある政治家が、クリストフの作品を芝居として上演しようとした理由は・・・
ひとりの下手な女優を、誰もやめさせようとしなかったのは、なぜか?・・・
この「第五巻」に入ってから、急に読みにくくなりました。
というのも、パリの社交界に対する批判が、やや観念的すぎるからです。
当時のパリでは、芸術を知らないヤカラが、いかにも通ぶって批評していました。
そのため芸術作品はつまらないものや、病的なものばかりであったようです。
ロランはクリストフの口を借りて、そういう状況に対する批判を書いています。
妙にロランの筆致に力がこもっていますが、物語としては面白くありません。
そういう文章の中で、下層階級の女シドニーとの交流はほっとする場面でした。
それにしてもシドニーは、なぜ行先を知らせずに急に立ち去ってしまったのか?
また、コレットの従妹グラチアが、密かにクリストフを慕っていて・・・
20歳代の青年詩人が、密かにクリストフの作品を好んでいて・・・
この先、少しずつ明るくなる兆しが見えています。
いかにしてクリストフは、パリでの名声を打ち立てるか(打ち立てないか)?
さいごに。(おひとりさまカラオケで気づいたこと)
かっこいい歌ほど難しくて、うまく歌えない、ということに気付きました。
「pure soul」はもちろん、グレイの曲はどれも難しく、うまく声が出ませんでした。
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