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2020年3月発売の気になる文庫本 [来月発売の気になる文庫本]

 2020年3月発売予定の文庫本で、気になるものを独断で紹介します。
 データは、出版社やamazonの、HPやメルマガを、参考にしています。


・3/5 「ドイツ怪談集」 種村季弘 (河出文庫)
 → 世界の怪談集のドイツ版。ここでしか読めない作品もある。気になる。

・3/15 「火の娘たち」 ネルヴァル (岩波文庫)
 → 狂気の詩人、死の直前の小説集。復刊。名作「シルヴィ」収録。買い。


ドイツ怪談集 (河出文庫)

ドイツ怪談集 (河出文庫)

  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2020/03/05
  • メディア: 文庫



火の娘たち (岩波文庫)

火の娘たち (岩波文庫)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2020/03/15
  • メディア: 文庫




◎ 春の岩波文庫リクエスト復刊

 27点30冊の復刊本が、好評発売中です。内容は、以下のページで。
 → https://www.iwanami.co.jp/news/n33291.html

 待ち望んでいた本のいくつかが復刊されて、私は感激しています。
 以下5冊は、私を特に感激させた復刊本です。

①「オルレアンの少女」シラー(2/6出庫)
②「法王庁の抜け穴」ジイド(2/6出庫)
③「死の谷――マクティーグ」ノリス(上下二巻)(2/6出庫)
④「魔風恋風」小杉天外(上下二巻)(2/6出庫)
⑤「回想のブライズヘッド」イーヴリン・ウォー(上下二巻)(2/14出庫)

 これらを購入するため、2月15日の土曜日に街中の書店へ行きました。
 ところが、「オルレアンの少女」と「法王庁の抜け穴」は無かったのです。

 復刊が再開されてわずか1週間。在庫がなくなっているとは!
 しかも、③~⑤を含むすべての本が、最後の1冊でした・・・ん?

 もしかしたら、全作品1冊ずつしか置かなかったのでしょうか。
 そうだとしたら、誰かひとりでも購入したら品切れになってしまいます。

 数年前には、「岩波文庫・春のリクエスト復刊コーナー」がありました。
 そして、1作品につき3~5冊ずつ、本が並んでいたように思います。

 あの頃が懐かしい。今はあまりにも寂しい状況です。
 結局私はこの書店で注文し、1週間後に店頭で購入することにしました。

 今回買いそびれた2作品は、アマゾンでも品切れ状態でした。(執筆時)
 岩波書店に注文すれば手に入りますが、送料650円がかかるそうです。


オルレアンの少女 (岩波文庫)

オルレアンの少女 (岩波文庫)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1992/10/01
  • メディア: 文庫



法王庁の抜け穴 (岩波文庫 赤 558-3)

法王庁の抜け穴 (岩波文庫 赤 558-3)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2020/02/20
  • メディア: 文庫




◎ さいごに。(いつのまにか歌っている)

 テレサ・テンの「別れの予感」が、突然頭の中でぐるぐる回りだしてしまいます。
 そして、自分でも気づかぬうちに、「おしえて~」と歌っていることがあります。

 家で娘や妻に、「へんな歌、歌ってないで」と言われましたが、それはまだいい。
 昨日は職場で、「何歌ってるの?」と言われて、初めて気づきました。ヤバイです。



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予告された殺人の記録 [20世紀ラテンアメリカ文学]

 「予告された殺人の記録」 ガルシア・マルケス作 野谷文昭訳 (新潮文庫)


 充分に予告され、人々が知っていたにも関わらず、防げなかった殺人の記録です。
 1981年に出版され、翌年ガルシア。マルケスは、ノーベル文学賞を取りました。


予告された殺人の記録 (新潮文庫)

予告された殺人の記録 (新潮文庫)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1997/11/28
  • メディア: 文庫



 サンティアゴ・ナサールは、司教を迎えるためにその朝6時過ぎに家を出ました。
 そして、その1時間後に彼は、豚のように滅多切りにされて殺されたのです。

 犯人は、双子の若い兄弟でした。妹の仕返しをするために行ったのでした。
 しかし犯行の直前、彼らの殺人計画の噂は、すでに町中に広まっていたのでした。

 というのも、双子自身が出会う人々に、その計画を堂々と伝えていたからです。
 どうやら双子は、犯行を人々が防いでくれることを期待していたようなのです。

 当人たちの望まなかった殺人が、確実に淡々と実行に移されてしまう・・・
 何度も防ぐ機会がありながら、魔物に導かれるように事態は進行してしまう・・・

 しかも、殺されたサンティアゴは、仕返しをされる理由がなかったようなのです。
 さらに、町の人々も、そのことを知っていたようなのです。

 読んでいくうちに、町の人々は殺人を防ぐ気が無かったように思えてきました。
 これは、何の罪もないサンティアゴが、生贄として見殺しになる物語ですよ。

 特徴的な語り口と、みごとな構成で、わけのわからない不気味さを感じさせます。
 わずか140ページほどの中編小説ですが、たいへん衝撃的な作品でした。

 さて、ガルシア・マルケスと言ったら、やはり「百年の孤独」でしょう。
 図書館で借りてきて、準備だけはできました。気合を入れて読まなければ。


百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)

百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2006/12/01
  • メディア: 単行本



 集英社文庫の「族長の秋」もまた、ガルシア・マルケス作の必読書です。
 こちらもすでに購入してあります。


ラテンアメリカの文学 族長の秋 (集英社文庫)

ラテンアメリカの文学 族長の秋 (集英社文庫)

  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2011/04/20
  • メディア: 文庫



 さいごに。(セカンド腕時計)

 機械式の腕時計を長持ちさせるために、使用頻度を抑えることにしました。
 セカンド腕時計を買って、ゼニスを使用するのは週に2~3回にしました。

 新しく買った腕時計は、セイコーのキネティック・レトログラードです。
 クオーツですが、気品があって気に入っています。アマゾンだと安く買えるし。


SEIKO(セイコー) 腕時計 キネティック KINETIC レトログラード SRN071P1 メンズ[並行輸入品]

SEIKO(セイコー) 腕時計 キネティック KINETIC レトログラード SRN071P1 メンズ[並行輸入品]

  • 出版社/メーカー: SEIKO WATCH(セイコーウォッチ)
  • メディア: 時計



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ラテンアメリカ十大小説 [20世紀ラテンアメリカ文学]

 「ラテンアメリカ十大小説」 木村榮一 (岩波新書)


 20世紀にブームとなったラテンアメリカ文学の、10人の代表作を紹介しています。
 分かりやすい本です。2011年に岩波新書から出ました。文庫本ではありません。


ラテンアメリカ十大小説 (岩波新書)

ラテンアメリカ十大小説 (岩波新書)

  • 作者: 木村 榮一
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2020/02/02
  • メディア: 新書



 20世紀ラテンアメリカを代表する10人の作家と、それぞれの作品を紹介しています。
 取り上げられている10人の作家とその主な作品は、以下の通りです。

 1 ホルヘ・ルイス・ボルヘス「エル・アレフ」(岩波文庫・短編集)
 宇宙空間がすっぽり収まっている、直径数センチの球体「エル・アレフ」の話など。

 2 アレホ・カルペンティエル「失われた足跡」(岩波文庫)
 川を遡るにつれて時間を遡り、驚異に満ちた世界を描く、時間の魔術師による傑作。

 3 ミゲル・アンヘル・アストゥリアス「大統領閣下」(単行本)
 秘密警察とスパイ網を使って巧妙な恐怖政治を行う、独裁者をリアルに描いた作品。

 4 フリオ・コルタサル「石蹴り」(岩波文庫)
 絶対的なものを求める男を中心に描き、さまざまな読み方を提示した実験的作品。

 5 ガブリエル・ガルシア・マルケス「百年の孤独」(新潮社・単行本)
 百年にわたる奇想天外なエピソードの連続で、現実と幻想が混然一体となった作品。

 6 カルロス・フェンテス「我らが大地(テラ・ノストラ)」(水声社・単行本)
 神話と歴史、虚構と現実を絡ませながら、繰り返される人間の愚行を描いた作品。

 7 マリオ・バルガス・リョサ「緑の家」(岩波文庫)
 いろんな場所における5つの物語が、錯綜しながらパズルのように組みあがる作品。

 8 ホセ・ドノソ「夜のみだらな鳥」(水声社・単行本)
 時間や人称が絶え間なく入れ替わり、妄想と狂気が入り混じった悪夢のような作品。

 9 マヌエル・プイグ「蜘蛛女のキス」(集英社文庫)
 純粋な愛のために生きながら、警察とテロリストに利用され、死んだゲイの物語。

 10 イサベル・アジェンデ「精霊たちの家」(河出文庫)
 精霊たちが見守る屋敷で暮らし始めた、女たちの三代にわたる運命を描いた作品。

 以上、それぞれの解説がすばらしいのはもちろん、著者の表現がまたすばらしい。
 たとえばコルタサルの短編の、悪夢的な魅力について書いた文章は印象的でした。

 「ぼくたちは本を読む行為を通して紙の裏側へ入っていくわけですが、その世界が
 こちら側、つまり紙の表側の世界に侵入してくることはないと安心し切っています。
 (中略)けれども、コルタサルは読者と本とのこうした関係を突き崩してしまいま
 す。」(P77)

 日常世界に、ふいに悪夢が入り込むような作品の魅力を、うまく表現しています。
 どの作品も「読んでみたい」と思いました。 

 さいごに。(テレサ・テンのマイ・ブーム)

 ユーチューブに出ている、テレサ・テンの懐かしい動画を、少しずつ見ています。
 やはり良いのは、「別れの予感」です。歌い方もまた、実に切ない。

 歌の中だけでなく、この人自身も、苦しい恋をしたんだな、と思いました。
 そういえば、生前ジャッキー・チェンとの噂がありましたが・・・

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ドリトル先生航海記 [20世紀アメリカ文学]

 「ドリトル先生航海記」 ヒュー・ロフティング作 福岡伸一訳 (新潮文庫)


 動物と会話ができる博物学者ドリトル先生とスタビンズ少年の、冒険の物語です。
 ドリトル先生シリーズの第2弾で、この巻からスタビンズが語り手となりました。

 岩波少年文庫版の井伏鱒二訳は名訳。定番です。シリーズ全13冊が出ています。
 新潮文庫版は生物学者の福岡伸一による新訳で、作者による挿絵も入っています。


ドリトル先生航海記 (新潮文庫)

ドリトル先生航海記 (新潮文庫)

  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2019/06/26
  • メディア: 文庫



 靴屋の子トミー・スタビンズは、ある日博物学者のドリトル先生と出会いました。
 ドリトル先生は動物たちと会話し、どんな動物にもとても親切に接していました。

 ドリトル先生の人柄に心酔したスタビンズは、博士の助手として働き始めました。
 オウムのポリネシアの助けもあって、少しずつ動物の言葉を理解していきました。

 ある日、インディアンの博物学者ロング・アローが行方不明になったと知り・・・
 運任せの航海では、ロング・アローが消息を絶ったクモサル島に向かったが・・・

 児童文学として有名な「ドリトル先生」を、子供のころに読んだ人は多いです。
 私もその名前だけは知っていました。52歳の今、初めて読んでみました。

 きっかけは、訳者の福岡伸一が、どこかでこの本を熱烈に勧めていたからです。
 大人が読んでも充分に面白くて、とても懐かしくて暖かい気もちになる本でした。

 さて、タイトルは「航海記」ですが、実際に航海に出るのは第3部に入ってから。
 最初の3分の1以上は、航海に至るまでの話ですが、ここもまた面白いです。

 たとえば、隠者ルカの裁判は名場面です。なんと、ブルドッグが証人席に立ち・・・
 作者自身によるP145のイラストも傑作です。陪審員を睨めつけるブルドッグ!

 しかし、航海が始まってからは、さらなる驚きの連続です。まさに、奇想天外。
 ロング・アローはどうしたのか? どうやって危機を知らせたのか?

 クモサル島はなぜ浮かんでいるのか? 島はいかにして北へ移動したのか?
 クモサル島はどのように固定されたか? ドリトル先生はどうやって戻ったのか?

 訳者の福岡伸一は、小学校の図書室でこの本と出会い、夢中になったそうです。
 「ドリトル先生」のような本との出会いは、子供にとってまさに宝だと思います。

 さいごに。(テレサ・テンに涙す)

 テレサ・テンが流行っていた80年代の後半、私はまったく興味がありませんでした。
 しかし先日、TV番組でテレサ・テンの曲を聞いたら、すっかりはまってしまった。

 特に「別れの予感」がすばらしい。「教えて~」の部分は、泣きそうになりました。
 図書館でCDのベスト盤を借りてきて、仕事の行き帰りに聞いています。


テレサ・テン ベスト10

テレサ・テン ベスト10

  • 出版社/メーカー: ユニバーサルJ
  • 発売日: 2005/11/09
  • メディア: CD



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世界文学の流れをざっくりとつかむ19 [世界文学の流れをざっくりとつかむ]

≪第5章≫ 中世東洋

2 日本文学のはじまり

 日本は古来より中国の文化を取り入れ、発展してきました。百済を通じて漢字が伝わると、日本人は漢字でやまとことばを記す技術を身につけました。645年の乙巳の変、672年の壬申の乱を経て、天武天皇が即位すると、天皇専制の体制が整いました。710年には平城京に遷都しました。このような国家創造の気運のもと、民族精神の支柱となる叙事詩が求められました。

 712年に成立した「古事記」は、現存する日本最古の歴史書です。そこには、天地開闢以来の神々の世界の出来事や上代の天皇の事績が生き生きと描かれ、叙事詩的な特徴を持っています。それらの内容を伝えた稗田阿礼は、語り部のような存在だったとされています。しかし私はむしろ、稗田阿礼はギリシアのホメロスのような吟遊詩人であって、まだ文字のなかった時代の出来事を、独自の韻律で暗唱していたと考えています。そしてのちの時代に、稗田阿礼が口誦した叙事詩を、太安万侶が文字化したというのが真実に近いように思います。

 いすれにしても「古事記」には、国内の民族意識を統一しようという意図が見られます。「古事記」は国民的叙事詩としての役割を果たしたと考えられます。そういう点で、720年に成立した「日本書紀」とは、性質が大きく異なります。「日本書紀」は、主に対外的に国威を示すことを目的として書かれ、史実を淡々と記録しています。一方「古事記」は、個々の物語や歌謡などを生き生きと描写しているため、文学的な価値が高く評価されています。

 7世紀の終わりから8世紀の中頃までは、遣唐使によって唐の文化が積極的に取り入れられ、天平文化が繁栄しました。このころ、李白や杜甫などの唐詩も日本に紹介されました。そういった影響のもと、「万葉集」の編纂が意図されたと考えられます。よって「万葉集」には、日本独自の歌を残そうという、「古事記」同様の民族意識が感じられます。

 771年以降に「万葉集」は成立しました。そこで使われた文字は、漢字を独自の方法で利用した万葉仮名です。編纂は何年かにわたり、携わった人々は多いのですが、最終的には大伴家持らがまとめたようです。和歌約4500首を、全20巻に収録しています。歌の制作時期は、実に400年にわたり、文字のない時代に集団で口承されていたものも含んでいます。当時の日本における詩歌の集大成となっています。

 一般に、作者は四期に分けて考えられています。第一期は、670年頃までの国家の激動期です。代表的歌人は、額田王、天智天皇、天武天皇など、歴史的人物が中心で、歌は素朴で力強いものが多いです。第二期は、710年頃までの国家の確立期です。代表的歌人は、柿本人麻呂、高市黒人などで、この時期に宮廷歌人が活躍を始めました。第三期は、730年頃までの貴族文化の繁栄期です。代表的歌人は、山部赤人、山上憶良、大伴旅人などで、歌は素朴さを失って内省的なものが多くなりました。第四期は、760年頃までの天平文化の爛熟期で、万葉歌は衰退に向かいました。代表的歌人は、大伴家持などで、歌は繊細で感傷的なものが目立つようになりました。また、技法もしだいに複雑になり、この時期の和歌が「古今和歌集」への橋渡しとなりました。

 さて、ここで取りあげた「古事記」や「万葉集」は、日本文学史においては、古代または上代に分類されています。しかし、世界文学史的に見た場合、中国の影響を受けて日本文学が開花する過程は、崩壊したローマ帝国の遺産をもとに周辺諸国の叙事詩が誕生する過程に対比できるため、中世に分類しました。

 次回は、日本文学の最盛期について述べたいと思います。

 さいごに。(のど自慢)

 娘が、「のど自慢」の鐘の音を知らないと言うので、日曜日に番組を見せました。
 我々の世代で、あの鐘の音を知らない人はいない。いわば一般教養でしたが・・・

 私も久々に見ました。下手な人が情熱的に歌う歌の方が、見ていて楽しいですね。
 合格者が出たとき、「これがのど自慢の鐘か」と、娘は妙に納得していました。

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ペドロ・パラモ [20世紀ラテンアメリカ文学]

 「ペドロ・パラモ」 フアン・ルルファ作 杉山晃・増田義郎訳 (岩波文庫)


 死者たちのささやきが聞こえるコマラと、その街の悪漢ペドロ・パラモの物語です。
 死者と生者、過去と現在が交差する斬新的手法を用いた、メキシコ小説の傑作です。


ペドロ・パラモ (岩波文庫)

ペドロ・パラモ (岩波文庫)

  • 作者: フアン・ルルフォ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1992/10/16
  • メディア: 文庫



 「おれ」は、母の死に際の頼みに従って、父親を探しにコマラにやって来ました。
 父の名はペドロ・パラモ。コマラの街でのしあがり、悪行の限りを尽くした男です。

 しかし、コマラの街はひっそりと静まり返っていて、全く人間の気配がしません。
 しかも、道で出会った男は、ペドロ・パラモがもう死んでいると言っていました。

 母の昔の友人であるエドゥビヘスの家に泊まりますが、彼女は死者のようで・・・
 それどころか、この街全体が死者で溢れていて、そのささやきが聞こえ・・・

 「ペドロ・パラモ」が完璧な構成をもつ作品であることは、知らされていました。
 また、構成が顕密すぎるため、一読では理解しがたいことも、知らされていました。

 だから私は十分に警戒し、できるだけじっくりと読み進めました。
 頻繁に立ち止まっては筋を振り返り、時には同じ断章を3度続けて読み返しました。

 それにもかかわらず、100ページ(半分)辺りから分からなくなってしまいました。
 彼も死んでる、彼女も死んでる、「おれ」も死んでる? ここはどこ? 今はいつ?

 時系列のバラバラな断片をつなげると、全体像が浮かんでくると言うが・・・
 物語が永遠に繰り返される円環の内にあることが、最後に分かると言うが・・・

 ある人が、この小説は2度目に読むと、すんなり理解できると言いました。
 しかし私は、頭がすっかり疲れてしまって、今は2度目を読む気になれません。

 余分な部分を大胆にそぎ落とした結果、主語のよく分からない断章さえありました。
 これは、読み手を厳しく選ぶ作品です。私には、よく分からない小説でした。

 だから、「ペドロ・パラモ」の素晴らしさを、私はうまく伝えることができません。
 それなので、「ラテンアメリカ文学入門」中の、有益な記述を2つ引用します。

 「一方で死んでも死にきれない霊魂のさまようコマラの怪しい雰囲気を描きながら、
 他方でそのささやきを通じてコマラが『死の街』になったプロセスを断片的に再現し
 ていくところに、この小説の大きな特徴がある。」(P71)

 「断片的形式を通して再現される物語の内容がその断片的形式を正当化するという顕
 密な構成のなかで、ルルファは死に対する強迫観念を見事に具現化した。」(P71)

 この作品がが完璧すぎたため、ルルファはこののち小説を発表しなかったそうです。
 だからルルファの作品は、ほかに初期短編集の「燃える平原」があるだけです。


燃える平原 (岩波文庫)

燃える平原 (岩波文庫)

  • 作者: フアン・ルルフォ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2018/05/17
  • メディア: 文庫



 この短編集を、読んでみたい気もするし、読むのが怖い気もします。
 理解できるかどうか・・・

 さいごに。(またも、セコイ話ですまない)

 メーカー送りとなったゼニスは、オーバーホールして直りました。12万円でした。
 私は普段は個人経営のお店で、5年おきに、5万~6万でやってもらってます。

 それでも懐が痛むのに、メーカーでやると、倍の12万円かかるということです。
 2~3万円の腕時計を5年おきに買い替えた方が、私の身の丈には合っていたかも。

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砂の本 [20世紀ラテンアメリカ文学]

 「砂の本」 ボルヘス作 篠田一士(はじめ)訳 (集英社文庫)


 アルゼンチン幻想文学のボルヘスが、簡潔な言葉で異常な世界を描いた短編集です。
 晩年の短編集「砂の本」と、処女短編集「汚辱の世界史」の、二つを収録しています。


ラテンアメリカの文学 砂の本 (集英社文庫)

ラテンアメリカの文学 砂の本 (集英社文庫)

  • 作者: ホルへ・ルイス・ボルヘス
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2011/06/28
  • メディア: 文庫



 ある朝ベンチで座っていた時、突然「この瞬間は以前に経験した」と思いました。
 そしてボルヘスは、向こう側のベンチに座っている男に気付き、声を掛けました。

 「あなたの名はホルヘ・ルイス・ボルヘスです。
 1969年に、われわれはケンブリッジ市にいるのです。」

 「いや」と、彼はまぎれもなく私自身の声で答えて・・・
 読者は、冒頭の「他者」から、いきなりボルヘスの迷宮さまようことになります。

 「鏡と仮面」はアイルランド王と詩人オランの物語で、短いけど印象的でした。
 オランが三度目に王に捧げた詩はたった一行で・・・その詩を味わった王は・・・

 「疲れた男のユートピア」もまた迷宮もので、とても印象的な作品でした。
 平原の道を進んでいると一軒の家があって、背の高い男がいてこう言いました。

 「御召しになっているものから見て、別の世紀からこられたようですな。」
 「私」はどこに来てしまったのか? 「彼」のいる世界はどのような状況か?

 その男は言います。「われわれは過去を忘れたい」のだと。
 そして、「現在、世界中の人間が〇〇することの是非が議論されている」と・・・

 「砂の本」は13の短編と後書きから成っていますが、どれも魅惑的な作品ばかり。
 しかし、なんといってもサイコーだったのは、タイトル作の「砂の本」でしょう。

 あるとき聖書を売りに来た男が、「砂の本」というものを取り出しました。
 「砂と同じくその本にも、はじめもなければ終りもない、というわけです」

 「この本のページは、まさしく無限です。
 どのページも最初ではなく、また、最後でもない。」・・・

 もう一つの「汚辱の世界史」は、1935年に出たボルヘスの処女短編集です。
 内容は「世界悪者カタログ」。その40年後の「砂の本」に比べて分かりやすいです。

 吉良上野介も紹介されています。痛切な忠義を呼びさました人物と、皮肉を込めて。
 しかし、吉良の刃傷沙汰も、他の登場人物たちに比べたら、かわいい、かわいい。

 黒人奴隷を解放すると騙して逃亡させ、他の農園に売り渡す男、ラザラス・モレル。
 7年間好き勝手に人を殺しまくり、その数21人に及んだ、ビリー・ザ・キッド。

 一方、愛すべき悪党は、自分と全く似ていない名家の息子になりすましたカストロ。
 見破られて訴訟を起こされた時、腹心の黒人ボウグルは、どんな手段を取ったか?

 さて、同じ岩波文庫から出ている「アレフ」も、傑作短編集です。ぜひ読みたい。
 河出文庫の「怪奇譚集」「幻獣事典」も、この機会に読んでおきたいです。


アレフ (岩波文庫)

アレフ (岩波文庫)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2017/02/17
  • メディア: 文庫



ボルヘス怪奇譚集 (河出文庫)

ボルヘス怪奇譚集 (河出文庫)

  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2018/04/06
  • メディア: 文庫



幻獣辞典 (河出文庫)

幻獣辞典 (河出文庫)

  • 作者: ホルヘ・ルイス ボルヘス
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2015/05/08
  • メディア: 文庫



 さいごに。(ドリフが好きなこと、なんで分かった?)

 アマゾンプライムビデオでビデオを見ると、下の方にオススメ番組が出てきます。
 私が仏像の番組を見たとき、なぜか「8時だよ全員集合」がオススメになりました。

 ママさんが驚いて言いました。「AIはパパの好みを知り尽くしている!」と。
 それにしても、どうして? まるで私の心を読んでいるかのようで、怖いです。

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伝奇集 [20世紀ラテンアメリカ文学]

 「伝奇集」 J・L・ボルヘス作 鼓直訳 (岩波文庫)


 古今東西の神話や伝説をもとにした、象徴的で神秘的なボルヘス初期の短編集です。
 1941年の「八岐の園」と1944年の「工匠集」の、二つの短編集を収録しています。


伝奇集 (岩波文庫)

伝奇集 (岩波文庫)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2020/01/31
  • メディア: 文庫



 「八岐(やまた)の園」には「円環の廃墟」や「バベルの図書館」が入っています。
 ボルヘスの最初期の作品群です。どの話も驚きに満ちています。

 冒頭の「トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス」は衝撃的でした。
 学会でまことしやかに議論されているトレーンは、実は架空の世界で・・・

 しかも、架空の世界であるはずのトレーンの百科事典が、実際に発見されるのです。
 いつのまにかトレーンは、じわじわと現実世界に入り込んでいて・・・

 「円環の廃墟」はわずか10ページ足らずですが、傑作として評判が高い作品です。
 その男の望みは、人間を夢見ることで作り出し、現実世界へ送り出すことで・・・

 自分の創造した人間が、他人の夢であることに気づいたら、どれほど困惑するか。
 そのように心配していた創造者が、しかし最後に悟ったことは・・・

 「バベルの図書館」もわずか14ページ足らずで、傑作として評判が高い作品です。
 その図書館は、無限数の六角形の回廊で成り立ち、壁面は本棚で埋められ・・・

 そこに収められている本には、25の記号が無限の組み合わせで記されています。
 それゆえ、「あらゆる言語で表現可能なもののいっさいをふくんでいる」・・・

 タイトル作「八岐の園」は、崔奔(サイペン)という人物の作った小説の話です。
 それは、矛盾だらけで迷路のような内容ですが、そこに作者の意図があって・・・

 以上、「八岐の園」全8編の中から、特に印象的だった4編を紹介しました。
 一方「アル・ムターシムを求めて」などは、私にはさっぱり分かりませんでした。

 後半の「工匠集」全9編の中では、「死のコンパス」が特に評判が高いようです。
 しかし、この探偵小説に対して、私にはいつまでも違和感が残りました。

 最後に勝つのは悪の方だし、だから種明かしをするのも悪の方だし・・・
 しかも、「神の名」がどうのっていう説明は、よく分からなかったし・・・

 私的には「工匠集」の中では、「隠れた奇跡」が一番面白かったです。
 死刑執行の前夜、神に一年の猶予を願ったら、その願いはかなえられたものの・・・

 夢、迷宮、無限、循環、永遠、神・・・「伝奇集」は、まさにボルヘスの世界です。
 時に哲学的で理解しがたい部分もありますが、麻薬的な魅力を持つ作品群です。

 ボルヘスの作品は、ラテンアメリカ作家の中では、比較的多く文庫化されています。
 岩波文庫の「アレフ」、集英社文庫の「砂の本」などの短編集は、ぜひ読みたい。


アレフ (岩波文庫)

アレフ (岩波文庫)

  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2020/02/02
  • メディア: 文庫



ラテンアメリカの文学 砂の本 (集英社文庫)

ラテンアメリカの文学 砂の本 (集英社文庫)

  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2011/06/28
  • メディア: 文庫



 さいごに。(修理に12万円!)

 愛用の腕時計、ゼニスのエル・プリメロの竜頭が壊れて、修理に出していました。
 3か月以上たってようやく直ったのですが、修理代が税込み12万1000円(!)。

 2年前に5万5000円かけてオーバーホールしたばかりだというのに。
 今後は使用を控えなくては・・・ああ、身の丈に合ったモノを選ぶべきですね。

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ラテンアメリカ文学入門1 [20世紀ラテンアメリカ文学]

 「ラテンアメリカ文学入門」 寺尾隆吉 (中公新書)


 約100年にわたるラテンアメリカ文学の動向を、分かりやすくまとめています。
 現代ラテンアメリカ文学史の入門書の決定版。2016年に中公新書から出ました。

 今年は20世紀ラテンアメリカ文学を中心に読みたくて、この本を手に取りました。
 全6章のうち、今回はブーム前夜の第2章までを、ざっくりとまとめてみました。


ラテンアメリカ文学入門 - ボルヘス、ガルシア・マルケスから新世代の旗手まで (中公新書)

ラテンアメリカ文学入門 - ボルヘス、ガルシア・マルケスから新世代の旗手まで (中公新書)

  • 作者: 寺尾 隆吉
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2016/10/19
  • メディア: 新書



 第1章 リアリズム小説の隆盛

 20世紀半ばまで識字率が低かった南米各国では、読書は特権階級の贅沢でした。
 文学は首都(アルカディア)の特権階級に独占されて、その活動は貧弱でした。

 アルカディアによる文壇支配を揺るがしたのが、アヴァンギャルド文学です。
 1910年代から西洋の動きに呼応して始まり、型破りで破天荒な物語が出ました。

 1920年頃からは合衆国の南下政策に対抗して、各国で国土開発が始まりました。
 この国家統合の動きに呼応した地方主義小説が、公的庇護のもと広がりました。

 地方の社会不正を訴えた告発小説や、野蛮の克服を描いた文明化小説が出ました。
 これ以後、政府は小説の有用性に気づき、急速に政治に組み込んでいきました。

 1920年代には、メキシコの政権は革命を正当化するための政策を展開しました。
 政府は、メキシコ革命の様子を伝える革命小説を、国民の一体化に利用しました。

 地方主義小説も革命小説も、国家統合を進める政府と利害が一致していました。
 1930年以降、小説の地位は上がりましたが、自由な精神は失われていきました。

 地方主義小説も革命小説も、本来は、現実を写すリアリズム文学を標榜しました。
 しかし、政治的主張の伝達を重視したため、社会の実態からは離れていきました。

 第2章 小説の刷新に向かって

 長い間、南米は流れ者の漂着する場所であり、西洋の関心を引きませんでした。
 パリで活動する2人の作家によって、南米文学はようやく脚光を浴びました。

 1930年のパリで、アストゥリアスは「グアテマラ伝説集」を出しました。
 古代マヤ文化をもとにした幻想的物語で、魔術的リアリズムの最初の作品です。

 この路線を継承したのが、同じくパリで活動していたカルペンティエールです。
 1949年の「この世の王国」で、南米には日常的に驚異があることを伝えました。

 1953年に彼が「失われた足跡」を出し、仏語訳されて大きな反響がありました。
 この成功が、1960年代のラテンアメリカ文学ブームの到来を準備したのです。

 一方南米のアルゼンチンでは、1930年代の混乱期に、幻想文学が開花しました。
 人々は危うい現実世界において、自分を支えるフィクションを必要としたのです。

 1940年には、ビオイ・カサーレスの記念碑的傑作「モレルの発明」が出ました。
 1944年には「伝奇集」が出て、ホルヘ・ルイス・ボルヘス名がも広まりました。

 確かに魔術的リアリズムの世界は驚異的でしたが、現実世界に依拠していました。
 ところがアルゼンチン幻想文学は、現実世界を虚構化する文学を目指したのです。

 この二つの方向を統合したのが、パリで活動していたフリオ・コルタサルです。
 1956年には「遊戯の終わり」を出し、幻想で現実を豊かにしようと目論見ました。

 メキシコでは、1955年にフアン・ルルフォが「ペドロ・パラモ」を出しました。
 この小説の成功が、メキシコ革命小説を一段落させ、新しい展開を用意しました。

 ブックガイド(個人的に気になる本で主に文庫になっているもの)

 「ブラス・クーバスの死後の回想」マシャード → 古典新訳文庫
 「マクナイーマ」アンドラーヂ → 単行本
 「グアテマラ伝説集」アストゥリアス → 岩波文庫
 「大統領閣下」アストゥリアス → 単行本
 「この世の王国」カルペンティエール → サンリオ文庫(絶版)
 「失われた足跡」カルペンティエール → 岩波文庫
 「モレルの発明」カサーレス → 単行本
 「ルゴーネス幻想短編集」ルゴーネス → 古典新訳文庫
 「伝奇集」ボルヘス → 岩波文庫
 「アレフ」ボルヘス → 岩波文庫
 「砂の本」ボルヘス → 岩波文庫
 「遊戯の終わり」コルタサル → 岩波文庫
 「ペドロ・パラモ」フアン・ルルフォ → 岩波文庫

 なお、岩波新書から出ている「ラテンアメリカ十大小説」も読んでみたいです。
 ボルヘス、ガルシア・マルケス、パルガス・リョサらの作品が紹介されています。


ラテンアメリカ十大小説 (岩波新書)

ラテンアメリカ十大小説 (岩波新書)

  • 作者: 木村 榮一
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2011/02/19
  • メディア: 新書



 さいごに。(マスクがない)

 1週間ほどの間に、街からマスクがみごとに消えました。うちでも不足しています。
 妻と娘は、1日2枚使っていた日々を後悔し、1日1枚でしのいでいます。

 私はマスクをまったく使っていません。しなくても、めったに風邪をひかないので。
 しかし今、マスク着用がマナーになりつつあります。した方がいいかな・・・

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マヤ・インカ神話伝説集 [古代文学]

 「マヤ・インカ神話伝説集」松村武雄・大貫良夫・小池佑二編訳(現代教養文庫)


 スペインによる征服の後消滅した、ナワ、マヤ、インカの神話伝説を集めたものです。
 昭和3年(!)の「神話伝説体系」の一部の文庫版です。今はなき現代教養文庫です。


マヤ・インカ神話伝説集 (現代教養文庫)

マヤ・インカ神話伝説集 (現代教養文庫)

  • 作者: 松村武雄
  • 出版社/メーカー: 社会思想社
  • 発売日: 1984/03
  • メディア: 文庫



 この本は、ナワ族、マヤ族、インカ族の神話と伝説を収録しています。
 ナワ族はアステカ帝国、マヤ族は古代マヤ文明、インカ族はインカ帝国で有名です。

 それぞれの神話に共通することは、洪水伝説が含まれているということです。
 古代に世界規模の洪水があり、人類はその記憶を神話として残したのでしょうか。

 ナワ族の洪水伝説では、2人の男女が神の助言によって、大きな船を作ります。
 やがて洪水がおさまったのち、この2人ナタとネナは、人類の始祖となります。

 マヤ族の洪水伝説では、神々が傲慢な人類を滅ぼすために、大雨を降らせます。
 洪水と獣たちの逆襲によって人類はすべて滅び、新しい人間が神に作られます。

 インカ族の神話では、トパナ神がヤムキスパの人々に怒り、大水を起こします。
 その村は湖の底に沈んでしまいます。また、似たような話がほかにもありました。

 このように、洪水伝説が世界的に伝わっていることは、実に不思議な気がします。
 ところが、これらはすでに西洋人によって変容されている、という考えもあります。

 これらの神話は、ナワ族・マヤ族・インカ族が、文字で残したものではありません。
 あとから入って来た西洋人によって収集され、採録されたのです。

 だから、そのときすでに彼らの神話は、キリスト教の影響を受けていたと言います。
 マヤの神話には、言葉の混乱(バベル)や海が割れる話(モーセ)まであるので。

 さて、この本はサクッと読めますが、じっくり味わおうとするともの足りないです。
 もとが戦前の本なので仕方がないかもしれませんが、情報量が全然足りないです。

 たとえば、インカ族は白人を神と考えたため、あっさり征服されたことは有名です。
 そういう神話が入っているものと期待していましたが、ありませんでした。

 また、マヤ族ではマヤの暦の終末論、特に2012年の人類滅亡説は話題になりました。
 そういう神話を探してみましたが、この本の中には見当たりませんでした。

 というわけで、この本で分かるのは、ラテン・アメリカ神話の雰囲気だけです。
 私はもう少し詳しく、たとえばマヤの有名な「ポポル・ヴフ」なども読みたいです。 

 中公文庫の「マヤ神話 ポポル・ヴフ」は、「ポポル・ヴフ」の現代語訳です。
 ただし、スペイン語訳されたのが1947年なので、この本も内容が古そうですが。


マヤ神話 ポポル・ヴフ (中公文庫)

マヤ神話 ポポル・ヴフ (中公文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2016/04/21
  • メディア: 文庫



 さいごに。(夜起きていられない)

 最近は、夜すぐに眠くなって起きていられません。読書中にうとうとしてしまう。
 娘も同じで、宿題をやりながら居眠りしています。勉強がなかなかはかどりません。

 そういえば娘が赤ん坊の時、私はよく添い寝しながら一緒に寝てしまっていました。
 だからでしょうか、娘が居眠りを始めると、私も自然と居眠りをしてしまうのです。

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