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マヤ・インカ神話伝説集 [古代文学]

 「マヤ・インカ神話伝説集」松村武雄・大貫良夫・小池佑二編訳(現代教養文庫)


 スペインによる征服の後消滅した、ナワ、マヤ、インカの神話伝説を集めたものです。
 昭和3年(!)の「神話伝説体系」の一部の文庫版です。今はなき現代教養文庫です。


マヤ・インカ神話伝説集 (現代教養文庫)

マヤ・インカ神話伝説集 (現代教養文庫)

  • 作者: 松村武雄
  • 出版社/メーカー: 社会思想社
  • 発売日: 1984/03
  • メディア: 文庫



 この本は、ナワ族、マヤ族、インカ族の神話と伝説を収録しています。
 ナワ族はアステカ帝国、マヤ族は古代マヤ文明、インカ族はインカ帝国で有名です。

 それぞれの神話に共通することは、洪水伝説が含まれているということです。
 古代に世界規模の洪水があり、人類はその記憶を神話として残したのでしょうか。

 ナワ族の洪水伝説では、2人の男女が神の助言によって、大きな船を作ります。
 やがて洪水がおさまったのち、この2人ナタとネナは、人類の始祖となります。

 マヤ族の洪水伝説では、神々が傲慢な人類を滅ぼすために、大雨を降らせます。
 洪水と獣たちの逆襲によって人類はすべて滅び、新しい人間が神に作られます。

 インカ族の神話では、トパナ神がヤムキスパの人々に怒り、大水を起こします。
 その村は湖の底に沈んでしまいます。また、似たような話がほかにもありました。

 このように、洪水伝説が世界的に伝わっていることは、実に不思議な気がします。
 ところが、これらはすでに西洋人によって変容されている、という考えもあります。

 これらの神話は、ナワ族・マヤ族・インカ族が、文字で残したものではありません。
 あとから入って来た西洋人によって収集され、採録されたのです。

 だから、そのときすでに彼らの神話は、キリスト教の影響を受けていたと言います。
 マヤの神話には、言葉の混乱(バベル)や海が割れる話(モーセ)まであるので。

 さて、この本はサクッと読めますが、じっくり味わおうとするともの足りないです。
 もとが戦前の本なので仕方がないかもしれませんが、情報量が全然足りないです。

 たとえば、インカ族は白人を神と考えたため、あっさり征服されたことは有名です。
 そういう神話が入っているものと期待していましたが、ありませんでした。

 また、マヤ族ではマヤの暦の終末論、特に2012年の人類滅亡説は話題になりました。
 そういう神話を探してみましたが、この本の中には見当たりませんでした。

 というわけで、この本で分かるのは、ラテン・アメリカ神話の雰囲気だけです。
 私はもう少し詳しく、たとえばマヤの有名な「ポポル・ヴフ」なども読みたいです。 

 中公文庫の「マヤ神話 ポポル・ヴフ」は、「ポポル・ヴフ」の現代語訳です。
 ただし、スペイン語訳されたのが1947年なので、この本も内容が古そうですが。


マヤ神話 ポポル・ヴフ (中公文庫)

マヤ神話 ポポル・ヴフ (中公文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2016/04/21
  • メディア: 文庫



 さいごに。(夜起きていられない)

 最近は、夜すぐに眠くなって起きていられません。読書中にうとうとしてしまう。
 娘も同じで、宿題をやりながら居眠りしています。勉強がなかなかはかどりません。

 そういえば娘が赤ん坊の時、私はよく添い寝しながら一緒に寝てしまっていました。
 だからでしょうか、娘が居眠りを始めると、私も自然と居眠りをしてしまうのです。

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