伝奇集 [20世紀ラテンアメリカ文学]
「伝奇集」 J・L・ボルヘス作 鼓直訳 (岩波文庫)
古今東西の神話や伝説をもとにした、象徴的で神秘的なボルヘス初期の短編集です。
1941年の「八岐の園」と1944年の「工匠集」の、二つの短編集を収録しています。
「八岐(やまた)の園」には「円環の廃墟」や「バベルの図書館」が入っています。
ボルヘスの最初期の作品群です。どの話も驚きに満ちています。
冒頭の「トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス」は衝撃的でした。
学会でまことしやかに議論されているトレーンは、実は架空の世界で・・・
しかも、架空の世界であるはずのトレーンの百科事典が、実際に発見されるのです。
いつのまにかトレーンは、じわじわと現実世界に入り込んでいて・・・
「円環の廃墟」はわずか10ページ足らずですが、傑作として評判が高い作品です。
その男の望みは、人間を夢見ることで作り出し、現実世界へ送り出すことで・・・
自分の創造した人間が、他人の夢であることに気づいたら、どれほど困惑するか。
そのように心配していた創造者が、しかし最後に悟ったことは・・・
「バベルの図書館」もわずか14ページ足らずで、傑作として評判が高い作品です。
その図書館は、無限数の六角形の回廊で成り立ち、壁面は本棚で埋められ・・・
そこに収められている本には、25の記号が無限の組み合わせで記されています。
それゆえ、「あらゆる言語で表現可能なもののいっさいをふくんでいる」・・・
タイトル作「八岐の園」は、崔奔(サイペン)という人物の作った小説の話です。
それは、矛盾だらけで迷路のような内容ですが、そこに作者の意図があって・・・
以上、「八岐の園」全8編の中から、特に印象的だった4編を紹介しました。
一方「アル・ムターシムを求めて」などは、私にはさっぱり分かりませんでした。
後半の「工匠集」全9編の中では、「死のコンパス」が特に評判が高いようです。
しかし、この探偵小説に対して、私にはいつまでも違和感が残りました。
最後に勝つのは悪の方だし、だから種明かしをするのも悪の方だし・・・
しかも、「神の名」がどうのっていう説明は、よく分からなかったし・・・
私的には「工匠集」の中では、「隠れた奇跡」が一番面白かったです。
死刑執行の前夜、神に一年の猶予を願ったら、その願いはかなえられたものの・・・
夢、迷宮、無限、循環、永遠、神・・・「伝奇集」は、まさにボルヘスの世界です。
時に哲学的で理解しがたい部分もありますが、麻薬的な魅力を持つ作品群です。
ボルヘスの作品は、ラテンアメリカ作家の中では、比較的多く文庫化されています。
岩波文庫の「アレフ」、集英社文庫の「砂の本」などの短編集は、ぜひ読みたい。
さいごに。(修理に12万円!)
愛用の腕時計、ゼニスのエル・プリメロの竜頭が壊れて、修理に出していました。
3か月以上たってようやく直ったのですが、修理代が税込み12万1000円(!)。
2年前に5万5000円かけてオーバーホールしたばかりだというのに。
今後は使用を控えなくては・・・ああ、身の丈に合ったモノを選ぶべきですね。
古今東西の神話や伝説をもとにした、象徴的で神秘的なボルヘス初期の短編集です。
1941年の「八岐の園」と1944年の「工匠集」の、二つの短編集を収録しています。
「八岐(やまた)の園」には「円環の廃墟」や「バベルの図書館」が入っています。
ボルヘスの最初期の作品群です。どの話も驚きに満ちています。
冒頭の「トレーン、ウクバール、オルビス・テルティウス」は衝撃的でした。
学会でまことしやかに議論されているトレーンは、実は架空の世界で・・・
しかも、架空の世界であるはずのトレーンの百科事典が、実際に発見されるのです。
いつのまにかトレーンは、じわじわと現実世界に入り込んでいて・・・
「円環の廃墟」はわずか10ページ足らずですが、傑作として評判が高い作品です。
その男の望みは、人間を夢見ることで作り出し、現実世界へ送り出すことで・・・
自分の創造した人間が、他人の夢であることに気づいたら、どれほど困惑するか。
そのように心配していた創造者が、しかし最後に悟ったことは・・・
「バベルの図書館」もわずか14ページ足らずで、傑作として評判が高い作品です。
その図書館は、無限数の六角形の回廊で成り立ち、壁面は本棚で埋められ・・・
そこに収められている本には、25の記号が無限の組み合わせで記されています。
それゆえ、「あらゆる言語で表現可能なもののいっさいをふくんでいる」・・・
タイトル作「八岐の園」は、崔奔(サイペン)という人物の作った小説の話です。
それは、矛盾だらけで迷路のような内容ですが、そこに作者の意図があって・・・
以上、「八岐の園」全8編の中から、特に印象的だった4編を紹介しました。
一方「アル・ムターシムを求めて」などは、私にはさっぱり分かりませんでした。
後半の「工匠集」全9編の中では、「死のコンパス」が特に評判が高いようです。
しかし、この探偵小説に対して、私にはいつまでも違和感が残りました。
最後に勝つのは悪の方だし、だから種明かしをするのも悪の方だし・・・
しかも、「神の名」がどうのっていう説明は、よく分からなかったし・・・
私的には「工匠集」の中では、「隠れた奇跡」が一番面白かったです。
死刑執行の前夜、神に一年の猶予を願ったら、その願いはかなえられたものの・・・
夢、迷宮、無限、循環、永遠、神・・・「伝奇集」は、まさにボルヘスの世界です。
時に哲学的で理解しがたい部分もありますが、麻薬的な魅力を持つ作品群です。
ボルヘスの作品は、ラテンアメリカ作家の中では、比較的多く文庫化されています。
岩波文庫の「アレフ」、集英社文庫の「砂の本」などの短編集は、ぜひ読みたい。
さいごに。(修理に12万円!)
愛用の腕時計、ゼニスのエル・プリメロの竜頭が壊れて、修理に出していました。
3か月以上たってようやく直ったのですが、修理代が税込み12万1000円(!)。
2年前に5万5000円かけてオーバーホールしたばかりだというのに。
今後は使用を控えなくては・・・ああ、身の丈に合ったモノを選ぶべきですね。