世界の神話 [古代文学]
「世界の神話」 沖田瑞穂 (岩波ジュニア新書)
世界を10の地域に分けて、それぞれの代表的神話を、分かりやすく紹介しています。
2019年8月に出たばかりの、とても読みやすい本です。文庫本ではなく、新書です。
10の地域とは、インド、メソポタミア、エジプトとアフリカ、ギリシア、ケルト、
北欧、インドネシア、中国、オセアニア、中南米と北米。付録として「古事記」。
ひとりの著者によって書かれているため、内容が有機的につながっていて面白い。
(「世界神話事典」は執筆者が多い分、バラバラで無機的な印象がありました。)
その反面、著者の好みでチョイスしているためか、どうしても偏りがありました。
たとえば著者の専門のインド神話だけ、他の地域より大幅にページ数が多いです。
満遍なく世界に目を配ることよりも、自分の伝えたいことを優先しているようです。
その方針が、この本を魅力的なものにしています。
「中国人は、古来現実世界に興味を持っていたから、歴史書を多く残した。
インド人は、神々の世界に興味を持っていたから、神話や哲学書を多く残した。」
「インド・ヨーロッパ語族は、もともと一つの社会を営み、同じ神話を持っていた。
オリエントから、インド、ギリシアの洪水神話は、すべて起源が同じである。」
「蛇は、神話では原初の混沌を表す。英雄が蛇を退治して、秩序を作り上げる。
蛇はもともと女神だった。旧石器以来、蛇は女神と一体だった。」
「世界の始まりのとき、新しい秩序を作るために、秩序を超えた力が必要となる。
その力を生み出すのが、秩序を超えた結婚、すなわち近親相姦であると解釈する。」
「中国人の世界観では、世界は整然と方眼状に区画されていて碁盤に喩えられる。
碁石の黒と白は陰と陽を表し、碁を打つことは天体の運行と人間の営みを表す。」
「アポリジニにとって、神は世界そのものであるから、自然を傷つけられない。
一神教の人々にとって、世界は神から与えられたものだから、存分に利用できる。」
「アステカの神話では、世界は神々の犠牲で創られ、やがて滅亡する定めである。
万物の死滅を少しでも遅らせるために、自分たちも犠牲を捧げるべきだと考えた。」
さて、中でもとびっきり印象に残っている神話が、「フィアナ神話」です。(P116)
常若の国からオシーンが帰ってみると、故郷はまったく変わっていて・・・
なお、ここで紹介される神話は、「世界神話事典」からの引用が多かったです。
改めて「世界神話事典」が、基本的資料として大事にされていると感じました。
「世界神話事典 世界の神々の誕生」
→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2020-08-01
さいごに。(コロナ拡大)
7月31日に、新規感染者は、全国で1580人に達しました。東京は463人でした。
「Go To トラベル」も始まって、わざとコロナを広めているようにも思えます。
先日カフェのカウンターで、隣に座った人から、興味深い話を聴かされました。
「コロナが拡大することのメリットに国は気づいた」と言うのです。まさかね。
世界を10の地域に分けて、それぞれの代表的神話を、分かりやすく紹介しています。
2019年8月に出たばかりの、とても読みやすい本です。文庫本ではなく、新書です。
10の地域とは、インド、メソポタミア、エジプトとアフリカ、ギリシア、ケルト、
北欧、インドネシア、中国、オセアニア、中南米と北米。付録として「古事記」。
ひとりの著者によって書かれているため、内容が有機的につながっていて面白い。
(「世界神話事典」は執筆者が多い分、バラバラで無機的な印象がありました。)
その反面、著者の好みでチョイスしているためか、どうしても偏りがありました。
たとえば著者の専門のインド神話だけ、他の地域より大幅にページ数が多いです。
満遍なく世界に目を配ることよりも、自分の伝えたいことを優先しているようです。
その方針が、この本を魅力的なものにしています。
「中国人は、古来現実世界に興味を持っていたから、歴史書を多く残した。
インド人は、神々の世界に興味を持っていたから、神話や哲学書を多く残した。」
「インド・ヨーロッパ語族は、もともと一つの社会を営み、同じ神話を持っていた。
オリエントから、インド、ギリシアの洪水神話は、すべて起源が同じである。」
「蛇は、神話では原初の混沌を表す。英雄が蛇を退治して、秩序を作り上げる。
蛇はもともと女神だった。旧石器以来、蛇は女神と一体だった。」
「世界の始まりのとき、新しい秩序を作るために、秩序を超えた力が必要となる。
その力を生み出すのが、秩序を超えた結婚、すなわち近親相姦であると解釈する。」
「中国人の世界観では、世界は整然と方眼状に区画されていて碁盤に喩えられる。
碁石の黒と白は陰と陽を表し、碁を打つことは天体の運行と人間の営みを表す。」
「アポリジニにとって、神は世界そのものであるから、自然を傷つけられない。
一神教の人々にとって、世界は神から与えられたものだから、存分に利用できる。」
「アステカの神話では、世界は神々の犠牲で創られ、やがて滅亡する定めである。
万物の死滅を少しでも遅らせるために、自分たちも犠牲を捧げるべきだと考えた。」
さて、中でもとびっきり印象に残っている神話が、「フィアナ神話」です。(P116)
常若の国からオシーンが帰ってみると、故郷はまったく変わっていて・・・
なお、ここで紹介される神話は、「世界神話事典」からの引用が多かったです。
改めて「世界神話事典」が、基本的資料として大事にされていると感じました。
「世界神話事典 世界の神々の誕生」
→ https://ike-pyon.blog.ss-blog.jp/2020-08-01
さいごに。(コロナ拡大)
7月31日に、新規感染者は、全国で1580人に達しました。東京は463人でした。
「Go To トラベル」も始まって、わざとコロナを広めているようにも思えます。
先日カフェのカウンターで、隣に座った人から、興味深い話を聴かされました。
「コロナが拡大することのメリットに国は気づいた」と言うのです。まさかね。