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ドグラ・マグラ2 [日本の近代文学]

 「ドグラ・マグラ(下)」 夢野久作 (角川文庫)


 病院に監禁されていた記憶喪失の青年にまつわる、奇怪な事件を描いた物語です。
 1935年刊行。日本探偵小説の三大奇書のうちのひとつ。下巻もカバーがサイコー。


ドグラ・マグラ(下) (角川文庫 緑 366-4)

ドグラ・マグラ(下) (角川文庫 緑 366-4)

  • 作者: 夢野 久作
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 1976/10/13
  • メディア: 文庫



 若林教授は、呉一郎による実母絞殺と花嫁絞殺事件を、独自に調査していました。
 そして、呉一郎に絵巻物を見せ、精神異常を起こさせた犯人がいると確信しました。

 呉一郎、伯母八代子、八代子の常雇い農夫、如月寺住職らから聴き取りをした結果、
 いやそのずっと前から、若林教授は絵巻物の祟りについて、知っていたようです。

 呉家の祖先なにがしが、最愛の夫人に死別したのを悲しみ、その屍を写生しました。
 ところが半分も描かないうちに、亡きがらは腐乱して、白骨となってしまいました。

 その絵巻は、弥勒座像の胎内に納めましたが、血縁の男たちは次々と狂いました。
 そこで今から百余年前の当主が、絵巻を焼いて灰にしたと言われていましたが・・・

 誰がそこから絵巻を盗んだのか? 誰がその絵巻を使って呉一郎を狂わせたのか?
 いったい何のために呉一郎は狂わされたのか? 「私」は本当に呉一郎なのか?

 事件がいよいよ大詰めに近づいたと思ったら、死んだ正木教授が出てきました。
 しかも、煙に巻くようなことばかり言います。正木教授の方がよほど狂人に近い。

 正木教授がペラペラとやるうちに、真相はどんどん遠ざかっていく気がします。
 正木教授がヘンなことばかり言っているのは、何かを隠しているからのようです。

 正木教授が打ち明けた、怪事件の犯人とは?
 また、呉一郎の本当の父親は誰だったのか?

 途中、物語の舞台は1000年前の中国に移って、興味深い展開をしました。
 呉(くれ)家の祖先は、1000年前の呉青秀(ごせいしゅう)につながりました。

 玄宗皇帝の時代、呉青秀が皇帝を諫めるために、自分の妻の死体を写生し・・・
 呉一郎も呉モヨ子も、1000年前の出来事をもう一度なぞっているだけなのか?

 知的好奇心に駆られる一方で、ぐじゃぐじゃ詰め込みすぎという感じもしました。
 だから、いろいろな人が謎解きをしています。だからこそ「奇書」なのでしょう。

 たとえば「アホダラ経」を削って、150ページほど短くしてほしかったです。
 「まんがで読破」版では、そのような工夫がしてあって読みやすいのだそうです。


ドグラ・マグラ (まんがで読破)

ドグラ・マグラ (まんがで読破)

  • 作者: 夢野久作
  • 出版社/メーカー: イースト・プレス
  • 発売日: 2008/10/01
  • メディア: 文庫



 さて、夢野久作にはほかに、いくつかの短編の名作があります。
 中でも「少女地獄」「瓶詰めの地獄」などは有名です。


少女地獄 (角川文庫)

少女地獄 (角川文庫)

  • 作者: 夢野 久作
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 1976/11/29
  • メディア: 文庫



瓶詰の地獄 (角川文庫)

瓶詰の地獄 (角川文庫)

  • 作者: 夢野 久作
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2009/03/21
  • メディア: 文庫



 さいごに。(うなぎ丼)

 久しぶりにうな丼を食べました。ダブルを注文しました。おいしかったです。
 ただし、中国産。日本産は、値段が倍以上。とても食べられません。

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