インターステラー [21世紀アメリカ文学]
「インターステラー」 グレッグ・キイズ作 富永和子訳 (竹書房文庫)
人類を滅亡から救うため、ワームホールを通り別の銀河を探査する者たちの物語です。
2014年のクリストファー・ノーラン監督の映画は、視覚効果が評判になりました。
舞台は、異常気象による食糧難で、人類が滅亡の危機に瀕している近未来です。
主人公のクーパーは農場主ですが、元はNASAの宇宙飛行士兼エンジニアでした。
砂嵐の日に床の砂粒が形成した線状模様は、重力波で作った暗号のようでした。
クーパーがそれを解読してみると、それはある座標を指し示していたのです。
クーパーと娘のマーフはそこを訪れて捕らえられました。そこは極秘の施設でした。
そこはすでに閉鎖されたはずのNASAで、秘密裏にある計画が進められていました。
その名も「ラザロ計画」。「ラザロ」は、キリストの力で蘇った男の名です。
「ラザロは死からよみがえり・・・」「だが、そのまえに死ななくてはならなかった」
(P82)
プランAとプランB・・・その意味を知れば、「ラザロ計画」の意味も分かります。
ブランド教授が死ぬ直前まで隠していた、ある事実とは・・・
なぜワームホールは生じたのか? 何者がワームホールを生じさせたのか?
人類が生き残る道はあるのか? クーパーはマーフとの約束を守れるのか?
本当に面白いです。読み始めたら止まりません。
そして話が壮大で、知的興奮があります。ブラックホール、ワームホール・・・
なんといってもこの作品のすばらしいところは、科学的根拠があるという点です。
特に映画版の作成には、理論物理学者のキップ・ソーンが関わっています。
たとえば、1時間が地球での7年にあたるというミラーの星。(そんなのあるのか)
しかしそれは、ちゃんと理論上可能な設定となっているのだそうです。
さらに、父と娘のドラマが絡みます。二人の愛と信頼!
10歳のマーフとクーパーの別れ、老婆のマーフと若き父との再会・・・泣けます!
この物語を感動的にしているのは、相対性理論による時間のズレです。
なぜそうなるのか、分からない点もあるので、宇宙論を学び直したくなりました。
ところで、小説を読んで、「2001年宇宙の旅」に似ていることに気が付きました。
特に、最後に何者かが作ったワープ装置に入っていくところが、そっくりです。
ところがこの部分は、映画を見ていないとまったくイメージできなかったと思います。
そういう意味でこの本は、映画を見た後に読むべき本だと思います。
映画「インターステラー」は、「2001年宇宙の旅」への挑戦とも言われています。
CGを使わず、模型を作って撮影したと聞いて、もう一度見たくなりました。
さいごに。(来月発売予定の気になる文庫本)
・11/16 「未成年」 ドストエフスキー (光文社古典新訳文庫)
→ 「カラマーゾフ」「罪と罰」「白痴」「悪霊」に続く大長編の亀山訳。気になる。
人類を滅亡から救うため、ワームホールを通り別の銀河を探査する者たちの物語です。
2014年のクリストファー・ノーラン監督の映画は、視覚効果が評判になりました。
舞台は、異常気象による食糧難で、人類が滅亡の危機に瀕している近未来です。
主人公のクーパーは農場主ですが、元はNASAの宇宙飛行士兼エンジニアでした。
砂嵐の日に床の砂粒が形成した線状模様は、重力波で作った暗号のようでした。
クーパーがそれを解読してみると、それはある座標を指し示していたのです。
クーパーと娘のマーフはそこを訪れて捕らえられました。そこは極秘の施設でした。
そこはすでに閉鎖されたはずのNASAで、秘密裏にある計画が進められていました。
その名も「ラザロ計画」。「ラザロ」は、キリストの力で蘇った男の名です。
「ラザロは死からよみがえり・・・」「だが、そのまえに死ななくてはならなかった」
(P82)
プランAとプランB・・・その意味を知れば、「ラザロ計画」の意味も分かります。
ブランド教授が死ぬ直前まで隠していた、ある事実とは・・・
なぜワームホールは生じたのか? 何者がワームホールを生じさせたのか?
人類が生き残る道はあるのか? クーパーはマーフとの約束を守れるのか?
本当に面白いです。読み始めたら止まりません。
そして話が壮大で、知的興奮があります。ブラックホール、ワームホール・・・
なんといってもこの作品のすばらしいところは、科学的根拠があるという点です。
特に映画版の作成には、理論物理学者のキップ・ソーンが関わっています。
たとえば、1時間が地球での7年にあたるというミラーの星。(そんなのあるのか)
しかしそれは、ちゃんと理論上可能な設定となっているのだそうです。
さらに、父と娘のドラマが絡みます。二人の愛と信頼!
10歳のマーフとクーパーの別れ、老婆のマーフと若き父との再会・・・泣けます!
この物語を感動的にしているのは、相対性理論による時間のズレです。
なぜそうなるのか、分からない点もあるので、宇宙論を学び直したくなりました。
ところで、小説を読んで、「2001年宇宙の旅」に似ていることに気が付きました。
特に、最後に何者かが作ったワープ装置に入っていくところが、そっくりです。
ところがこの部分は、映画を見ていないとまったくイメージできなかったと思います。
そういう意味でこの本は、映画を見た後に読むべき本だと思います。
映画「インターステラー」は、「2001年宇宙の旅」への挑戦とも言われています。
CGを使わず、模型を作って撮影したと聞いて、もう一度見たくなりました。
さいごに。(来月発売予定の気になる文庫本)
・11/16 「未成年」 ドストエフスキー (光文社古典新訳文庫)
→ 「カラマーゾフ」「罪と罰」「白痴」「悪霊」に続く大長編の亀山訳。気になる。