日はまた昇る [20世紀アメリカ文学]
「日はまた昇る」 ヘミングウェイ作 高見浩訳 (新潮文庫)
パリやスペインで豪遊する、失われた世代のアメリカ青年たちを描いた物語です。
ヘミングウェイの処女長編で、彼の出世作です。
現在、新潮文庫、ハヤカワepi文庫、集英社文庫などから出ています。
私が読んだのは新潮文庫版。高見訳は分かりやすくて、良かったです。
ハヤカワepi文庫版は土屋訳です。分かりやすい訳なので、こちらもオススメ。
ちなみに土屋は、古典新訳文庫で他の作品の訳を出しています。
ジェイク・バーンズは、パリで新聞社の特派員として働くアメリカ人です。
アシュリー卿夫人ブレットとは、相思相愛の仲です。
しかし彼は、第一次大戦の従軍中の事故で、男性機能を失っていました。
ブレットと愛し合いながらも、決して結ばれることがありません。
ジェイクは仲間たちと飲み歩きますが、かえってみじめさはつのるばかり。
ブレットは見境なく男と関係を持ちますが、やはりとてもみじめなのです。
どんなに飲んでも豪遊しても、この虚しい気持ちからは逃れられず・・・
さて、この小説の冒頭近くに、ジェイクのこんなセリフがあります。
この言葉の中に、この作品のテーマが集約されているように思えます。(P25)
「どこか外国にいったって、何か突破口がひらけるわけじゃないぞ。(中略)
ある場所から別の場所に移動したって、自分自身から逃れられるわけじゃない。」
パリからブルゲーテ、パンプローナ、サン・セバスチャンと旅するジェイク。
表面上の華々しさとは裏腹に、どこへ行っても、同じ虚しい日々の繰り返しです。
日はまた、昨日と同じように昇って、同じように沈むだけ。
「日はまた昇る」というタイトルは、決して明るい未来を示唆していません。
私の「失われた世代」のイメージは、まさにこの作品から作られました。
享楽的に生きながら、虚しさから逃れられない人々。
彼らは、第一次世界大戦によって、何か重大なものを失ってしまったのです。
ところで、この作品はどこを取っても、ハッとするような新鮮な文体です。
読み飛ばすなんてことはできません。じっくり味わうべき名文です。
名文というと、読みにくい文章が多いです。
しかし、この作品 は実に分かりやすい。名文でありながら、読みやすいです。
この簡潔で客観的な文体を、ハードボイルドの先駆けと考えることもできます。
そしてのちに、ハメットやチャンドラーらに、受け継がれていきます。
さいごに。(楽しかったキャンプ)
夏の我が家の最大のイベントが終わりました。
わずか2泊3日でしたが、存分に楽しんできました。
ここ3年毎年、尾白川渓谷周辺で遊んでいます。
水も空気もきれいで、食べるものは何でもおいしかったです。
パリやスペインで豪遊する、失われた世代のアメリカ青年たちを描いた物語です。
ヘミングウェイの処女長編で、彼の出世作です。
現在、新潮文庫、ハヤカワepi文庫、集英社文庫などから出ています。
私が読んだのは新潮文庫版。高見訳は分かりやすくて、良かったです。
ハヤカワepi文庫版は土屋訳です。分かりやすい訳なので、こちらもオススメ。
ちなみに土屋は、古典新訳文庫で他の作品の訳を出しています。
ジェイク・バーンズは、パリで新聞社の特派員として働くアメリカ人です。
アシュリー卿夫人ブレットとは、相思相愛の仲です。
しかし彼は、第一次大戦の従軍中の事故で、男性機能を失っていました。
ブレットと愛し合いながらも、決して結ばれることがありません。
ジェイクは仲間たちと飲み歩きますが、かえってみじめさはつのるばかり。
ブレットは見境なく男と関係を持ちますが、やはりとてもみじめなのです。
どんなに飲んでも豪遊しても、この虚しい気持ちからは逃れられず・・・
さて、この小説の冒頭近くに、ジェイクのこんなセリフがあります。
この言葉の中に、この作品のテーマが集約されているように思えます。(P25)
「どこか外国にいったって、何か突破口がひらけるわけじゃないぞ。(中略)
ある場所から別の場所に移動したって、自分自身から逃れられるわけじゃない。」
パリからブルゲーテ、パンプローナ、サン・セバスチャンと旅するジェイク。
表面上の華々しさとは裏腹に、どこへ行っても、同じ虚しい日々の繰り返しです。
日はまた、昨日と同じように昇って、同じように沈むだけ。
「日はまた昇る」というタイトルは、決して明るい未来を示唆していません。
私の「失われた世代」のイメージは、まさにこの作品から作られました。
享楽的に生きながら、虚しさから逃れられない人々。
彼らは、第一次世界大戦によって、何か重大なものを失ってしまったのです。
ところで、この作品はどこを取っても、ハッとするような新鮮な文体です。
読み飛ばすなんてことはできません。じっくり味わうべき名文です。
名文というと、読みにくい文章が多いです。
しかし、この作品 は実に分かりやすい。名文でありながら、読みやすいです。
この簡潔で客観的な文体を、ハードボイルドの先駆けと考えることもできます。
そしてのちに、ハメットやチャンドラーらに、受け継がれていきます。
さいごに。(楽しかったキャンプ)
夏の我が家の最大のイベントが終わりました。
わずか2泊3日でしたが、存分に楽しんできました。
ここ3年毎年、尾白川渓谷周辺で遊んでいます。
水も空気もきれいで、食べるものは何でもおいしかったです。
ご家族で2泊3日の旅行をされたんですね。
旅行中も読書をされましたか?
読ませていただいて、ヘミングウェイがまた読みたくなりました。 ^^
老人と海とか武器よさらばとかも読みたいです。、
by moz (2014-08-26 06:54)
mozさん、コメントありがとうございます。
家族旅行中も、常に文庫本を携帯していましたが、
結局1ページも読めませんでした。
私は、「海流のなかの島々」をまだ読んでいないので、
今年中には読みたいと思っています。
by ike-pyon (2014-09-14 14:19)