どこに転がっていくの、林檎ちゃん [20世紀ドイツ文学]
「どこに転がっていくの、林檎ちゃん」 ペルッツ作 垂野創一郎訳 (ちくま文庫)
捕虜収容所での屈辱を晴らすため、全てを犠牲にして仇敵を追う男の、冒険物語です。
1928年に出てベストセラーとなった長編小説で、レオ・ペルッツの代表作です。
元陸軍少尉のヴィトーリンは、ロシアの捕虜収容所で受けた屈辱が忘れられません。
故国に戻ってすぐ、何もかも捨てて、捕虜収容所司令官セリュコフを追い始めます。
復讐を誓った仲間たちは、ウィーンの安逸な生活の中で、仇敵への恨みを忘れ・・・
唯一ともに出発したコホウトは、国境を越えることができず・・・
監獄に連行されたヴィトーリンは、そこで地下活動家アルテミエフと出会いました。
「どこに転がっていくの、林檎ちゃん、お池に落ちてしまうわよ」・・・
この文章から、私は田中清代(きよ)の絵本、「トマトさん」をイメージしました。
トマトさんはコロコロ転がって・・・それから川に入って流されて・・・(笑)
しかしもちろん、ヴィトーリンの旅は、そんなのどかなものではありません。
途中、犠牲となった人々もいます。その中には、印象的な人物もいました。
前線地帯でチャンスを待つヴィトーリンは、あるとき熱病を患った男を助けました。
すると若きガガーリン伯爵は、命がけでヴィトーリンの前線突破を手伝った末・・・
ツァーリの元侍従ピストルコス男爵は、モスクワにひっそりと隠れ住んでいました。
ところが、あまりにも不幸な偶然によって、敵に自分の正体がバレてしまい・・・
そして、なんといっても印象的なのは、地下運動家のボス・アルテミエフです。
ヴィトーリンに便宜を与えながら、実に皮肉な展開によって破滅に追い込まれ・・・
あちこち世界を飛び回り、ようやく突き止めたセリュコフの居場所は、なんと!
多くの犠牲を払い、ようやくセリュコフと対面したヴィトーリンが、行ったことは?
「いつか戻ってきて復讐してやる! 確かに心安らぐ夢だった。最悪の時をやりす
ごさせてくれた。でもしょせんは病の一症状にすぎない。今になってもそれがわか
らないのかね」(P59)
最初、こんな言葉を吐いた教授を、裏切り者だと思いました。
しかし、あまりにも虚しい結末を読んだ今、教授は正しかったとさえ思います。
ところで、この本はタイトルとカバーイラストで、とても損をしていますよ。
せめてカバーイラストだけでも、ハードボイルドっぽくしてほしかったです。
さいごに。(幸せな死を迎えたのでは)
母から電話が来て、私が駆けつけたとき、すでに父の意識はありませんでした。
救急隊の方が、心臓マッサージをやってくれましたが、結局だめでした。
突然だった分、痛がる様子もなく、安らかな表情で亡くなりました。
苦しまず人に迷惑もかけず、幸せな死を迎えたことで、少し慰められています。
捕虜収容所での屈辱を晴らすため、全てを犠牲にして仇敵を追う男の、冒険物語です。
1928年に出てベストセラーとなった長編小説で、レオ・ペルッツの代表作です。
元陸軍少尉のヴィトーリンは、ロシアの捕虜収容所で受けた屈辱が忘れられません。
故国に戻ってすぐ、何もかも捨てて、捕虜収容所司令官セリュコフを追い始めます。
復讐を誓った仲間たちは、ウィーンの安逸な生活の中で、仇敵への恨みを忘れ・・・
唯一ともに出発したコホウトは、国境を越えることができず・・・
監獄に連行されたヴィトーリンは、そこで地下活動家アルテミエフと出会いました。
「どこに転がっていくの、林檎ちゃん、お池に落ちてしまうわよ」・・・
この文章から、私は田中清代(きよ)の絵本、「トマトさん」をイメージしました。
トマトさんはコロコロ転がって・・・それから川に入って流されて・・・(笑)
しかしもちろん、ヴィトーリンの旅は、そんなのどかなものではありません。
途中、犠牲となった人々もいます。その中には、印象的な人物もいました。
前線地帯でチャンスを待つヴィトーリンは、あるとき熱病を患った男を助けました。
すると若きガガーリン伯爵は、命がけでヴィトーリンの前線突破を手伝った末・・・
ツァーリの元侍従ピストルコス男爵は、モスクワにひっそりと隠れ住んでいました。
ところが、あまりにも不幸な偶然によって、敵に自分の正体がバレてしまい・・・
そして、なんといっても印象的なのは、地下運動家のボス・アルテミエフです。
ヴィトーリンに便宜を与えながら、実に皮肉な展開によって破滅に追い込まれ・・・
あちこち世界を飛び回り、ようやく突き止めたセリュコフの居場所は、なんと!
多くの犠牲を払い、ようやくセリュコフと対面したヴィトーリンが、行ったことは?
「いつか戻ってきて復讐してやる! 確かに心安らぐ夢だった。最悪の時をやりす
ごさせてくれた。でもしょせんは病の一症状にすぎない。今になってもそれがわか
らないのかね」(P59)
最初、こんな言葉を吐いた教授を、裏切り者だと思いました。
しかし、あまりにも虚しい結末を読んだ今、教授は正しかったとさえ思います。
ところで、この本はタイトルとカバーイラストで、とても損をしていますよ。
せめてカバーイラストだけでも、ハードボイルドっぽくしてほしかったです。
さいごに。(幸せな死を迎えたのでは)
母から電話が来て、私が駆けつけたとき、すでに父の意識はありませんでした。
救急隊の方が、心臓マッサージをやってくれましたが、結局だめでした。
突然だった分、痛がる様子もなく、安らかな表情で亡くなりました。
苦しまず人に迷惑もかけず、幸せな死を迎えたことで、少し慰められています。
アンチクリストの誕生 [20世紀ドイツ文学]
「アンチクリストの誕生」 レオ・ペルッツ作 垂野創一郎訳 (ちくま文庫)
20世紀初頭に人気を博したペルッツを代表する、8編の幻想的な中短編小説集です。
ペルッツは、オーストリアで活躍したユダヤ系作家で、カフカと親交がありました。
冒頭の「主よ、われを憐れみたまえ」は、暗号解読にまつわる短編小説です。
物語は二転三転し、結末における言葉は、とてもイミシンで、興味深い作品です。
人生に絶望していたヴォローシンは、秘密警察に協力するよりも死を選びました。
しかし死ぬ前に妻に会いに行くことを願い出て、ロストフへの旅を許されました。
わずか5日間。そのわずか5日間で、ヴォローシンの考えが変わり・・・
わずか4時間。そのわずか4時間で、ヴォローシンの人生は変わり・・・
訳者あとがきにおけるこの短編の解説が、とても素晴らしかったです。
改めて読み直したとき、ヴォローシンの物語が反転して・・・
本書のタイトル「アンチクリストの誕生」は、作者の代表作ともなった中編です。
結末で明かされる真実。アンチクリストとは、いったい誰だったのか?
18世紀の中頃、クリスマス・イブに、靴直し職人の夫婦が男の子を授かりました。
その夜、靴直しの男は不思議な夢を見ました。3人が赤ん坊の前でひれ伏し・・・
聖書学に詳しい農夫は、男の夢を解いて言いました。「よくお聞き、靴屋さん。
あんたが見た三人は、地獄の王たちだ。あんたはアンチクリストの夢を見たんだ」
男は、アンチクリストである我が子から、世界を救済するために行動を起こし・・・
しかし妻は、我が子を守るために、ある方法に訴えて・・・
「月は笑う」も印象的な短編小説です。代々月に祟られてきた一族の物語です。
その末裔のサラザン男爵は、月への恐怖を克服するため、望遠鏡を使ったが・・・
「あれは何だ。月が空に現れて、笑っている。灯りのともる窓の奥を覘(のぞ)いて、
狂ったように笑っている。どういうことだ。月が笑っている。」・・・
この中短編集で、最も味わい深いのが、「霰弾亭」という中編です。
最後まで曹長に何があったのか分からないところが、何とも言えない余韻を残します。
フワステク曹長は、毎夜「霰弾亭」に通い、飲んでは喧嘩をして過ごしていました。
ところが曹長は、ある美しい女性との過去の思い出から、逃れられないようなのです。
「人は人と親しくはならない。覚えておけ、いいか。最上の友でさえ隣に立つにすぎな
い。同じ景色の前でだ。それを友情と呼ぼうが愛とか結婚とか呼ぼうが、同じ額縁にむ
りやり押し込むことでしかない。」(P183)
曹長の前に不意に現れたのは、中尉とそして、曹長の写真に写っていた女で・・・
「いいかお前、だしぬけに己の過去に出くわすほど恐ろしい災難はない。」・・・
ほか、死ぬ直前に、自分の研究をやり遂げた男の話「夜のない日」や、降霊術を扱った
「ボタンを押すだけで」など、この本には、不思議な話がいっぱい詰まっています。
私はペルッツを、ボルヘスに影響を与えた作家だと聞いて、興味を持ちました。
ちくま文庫からは、長編小説「どこに転がっていくの、林檎ちゃん」も出ています。
さいごに。(タル鶏天)
久々に家族で丸亀製麺へ行きました。タル鶏天が2年ぶりに復活したためです。
タル鶏天ぶっかけは、20周年うどん総選挙で、12万票を獲得して圧倒的に1位!
現在、期間限定で復活しています。相変わらず、めっちゃおいしかったです。
ぜひ、定番メニューに加えてほしいです。次は赤辛タル鶏天ぶっかけを食べたい。
20世紀初頭に人気を博したペルッツを代表する、8編の幻想的な中短編小説集です。
ペルッツは、オーストリアで活躍したユダヤ系作家で、カフカと親交がありました。
冒頭の「主よ、われを憐れみたまえ」は、暗号解読にまつわる短編小説です。
物語は二転三転し、結末における言葉は、とてもイミシンで、興味深い作品です。
人生に絶望していたヴォローシンは、秘密警察に協力するよりも死を選びました。
しかし死ぬ前に妻に会いに行くことを願い出て、ロストフへの旅を許されました。
わずか5日間。そのわずか5日間で、ヴォローシンの考えが変わり・・・
わずか4時間。そのわずか4時間で、ヴォローシンの人生は変わり・・・
訳者あとがきにおけるこの短編の解説が、とても素晴らしかったです。
改めて読み直したとき、ヴォローシンの物語が反転して・・・
本書のタイトル「アンチクリストの誕生」は、作者の代表作ともなった中編です。
結末で明かされる真実。アンチクリストとは、いったい誰だったのか?
18世紀の中頃、クリスマス・イブに、靴直し職人の夫婦が男の子を授かりました。
その夜、靴直しの男は不思議な夢を見ました。3人が赤ん坊の前でひれ伏し・・・
聖書学に詳しい農夫は、男の夢を解いて言いました。「よくお聞き、靴屋さん。
あんたが見た三人は、地獄の王たちだ。あんたはアンチクリストの夢を見たんだ」
男は、アンチクリストである我が子から、世界を救済するために行動を起こし・・・
しかし妻は、我が子を守るために、ある方法に訴えて・・・
「月は笑う」も印象的な短編小説です。代々月に祟られてきた一族の物語です。
その末裔のサラザン男爵は、月への恐怖を克服するため、望遠鏡を使ったが・・・
「あれは何だ。月が空に現れて、笑っている。灯りのともる窓の奥を覘(のぞ)いて、
狂ったように笑っている。どういうことだ。月が笑っている。」・・・
この中短編集で、最も味わい深いのが、「霰弾亭」という中編です。
最後まで曹長に何があったのか分からないところが、何とも言えない余韻を残します。
フワステク曹長は、毎夜「霰弾亭」に通い、飲んでは喧嘩をして過ごしていました。
ところが曹長は、ある美しい女性との過去の思い出から、逃れられないようなのです。
「人は人と親しくはならない。覚えておけ、いいか。最上の友でさえ隣に立つにすぎな
い。同じ景色の前でだ。それを友情と呼ぼうが愛とか結婚とか呼ぼうが、同じ額縁にむ
りやり押し込むことでしかない。」(P183)
曹長の前に不意に現れたのは、中尉とそして、曹長の写真に写っていた女で・・・
「いいかお前、だしぬけに己の過去に出くわすほど恐ろしい災難はない。」・・・
ほか、死ぬ直前に、自分の研究をやり遂げた男の話「夜のない日」や、降霊術を扱った
「ボタンを押すだけで」など、この本には、不思議な話がいっぱい詰まっています。
私はペルッツを、ボルヘスに影響を与えた作家だと聞いて、興味を持ちました。
ちくま文庫からは、長編小説「どこに転がっていくの、林檎ちゃん」も出ています。
さいごに。(タル鶏天)
久々に家族で丸亀製麺へ行きました。タル鶏天が2年ぶりに復活したためです。
タル鶏天ぶっかけは、20周年うどん総選挙で、12万票を獲得して圧倒的に1位!
現在、期間限定で復活しています。相変わらず、めっちゃおいしかったです。
ぜひ、定番メニューに加えてほしいです。次は赤辛タル鶏天ぶっかけを食べたい。
メトロポリス [20世紀ドイツ文学]
「メトロポリス」 テア・フォン・ハルボウ作 酒寄進一訳 (中公文庫)
機械が支配するメトロポリスが、労働者の反乱によって崩壊し、再生する物語です。
1927年にドイツで映像化されました。最初のSF映画として有名です。
巨大都市メトロポリスは、機械が人々を常に働かせることで成り立っていました。
そして、一握りの支配階級が人々を支配し、安楽な生活を送っていました。
ある日フレーダーは、メトロポリスの支配者である父フレーデルセンを訪ねました。
父の支配体制に疑問を持つ彼は、人を大事にするよう訴えますが、全く通じません。
「人間が機械に使われ、またたく間に消費してしまうからといって、機械がどん欲だ
というのは筋違いだ。むしろ人間という資源が不完全である証だ。」(P45)
フレーダーは父の元を離れ、一労働者として働き、地下墓地の集会に参加しました。
その集会で、彼は美しいマリアの声を聴きました。彼女は労働者たちの希望でした。
「頭脳と手には仲立ちをしてくれる人が必要です。
頭脳と手の仲介者、それは心でなければなりません」(P105)
フレーダーとマリアはお互いを認め、すぐに恋に落ちました。
そしてフレーダーは、自分が手(労働者)と頭脳(父)の仲介者だと自覚しました。
一方、父は計略のため、発明家ロートヴァングにアンドロイドの製作を依頼し・・・
一方、ロートヴァングもまた違う計略のため、アンドロイドを製作し・・・
さて、名画「メトロポリス」では、まっキンキンのアンドロイドが印象に残ります。
私は映画を見ていませんが、あのアンドロイドだけはどこかで見て知っていました。
特に、アンドロイドがマリアの姿へ変わっていく場面は、あまりにも有名です。
そして、スターウォーズに出てくるC-3POが、これとそっくりなのです。
最初私は、この小説をアンドロイドが暴走する姿を描いた物語だと思っていました。
実際は、フレーダーが主役です。テーマは、頭脳と手を心が結ぶ、というものです。
しかも読んでいくうちに、全ての裏には父フレーデルセンがいることに気付きます。
フレーデルセンが息子のために全てを仕組んだようなことさえ、書いてありました。
あらすじで読んだ映画とは、だいぶ狙いが違うようで、とても戸惑いました。
作者ハルボウが書きたかったことは、いったいどういうことだったのでしょうか?
ちなみに作者ハルボウは、もともと映画化を考えて、この小説を書いたようです。
映画にしたのは、夫であるラング。当時二人は結婚していました。
そういえばこの小説は、場面はころころ変わるし展開も早いし、戯曲のようでした。
登場人物の人間関係(特に父と子)もころころ変わり、よく理解できませんでした。
そういう意味で、1927年の映画「メトロポリス」を見てみたいと思いました。
現在、ハルボウの意図を反映した「完全復元版」というのが出ているそうなので。
ところで、訳者の酒寄は、「メトロポリス」に現代的な意味を見出しています。
確かに、次のような文章を読むと、「今も同じじゃん」と思ってしまいます。
「メトロポリスの呼び出しに応じて、自分と同じ番号の家から仕事に向かい、
十時間働いて、死ぬほど疲れて帰宅するだけの人生。」(P66)
さいごに。(ナゴヤドーム駐車場事情)
娘をナゴヤドームのコンサートに連れて行きました。
周辺の駐車場が満車になると困るので、1日2000円の場所を予約して行きました。
ところが、駐車場は周辺に、意外とたくさんありました。
朝10時半の時点で、多くの場所で「1日1000円」で呼び込んでいた。ヤラレタ!
機械が支配するメトロポリスが、労働者の反乱によって崩壊し、再生する物語です。
1927年にドイツで映像化されました。最初のSF映画として有名です。
巨大都市メトロポリスは、機械が人々を常に働かせることで成り立っていました。
そして、一握りの支配階級が人々を支配し、安楽な生活を送っていました。
ある日フレーダーは、メトロポリスの支配者である父フレーデルセンを訪ねました。
父の支配体制に疑問を持つ彼は、人を大事にするよう訴えますが、全く通じません。
「人間が機械に使われ、またたく間に消費してしまうからといって、機械がどん欲だ
というのは筋違いだ。むしろ人間という資源が不完全である証だ。」(P45)
フレーダーは父の元を離れ、一労働者として働き、地下墓地の集会に参加しました。
その集会で、彼は美しいマリアの声を聴きました。彼女は労働者たちの希望でした。
「頭脳と手には仲立ちをしてくれる人が必要です。
頭脳と手の仲介者、それは心でなければなりません」(P105)
フレーダーとマリアはお互いを認め、すぐに恋に落ちました。
そしてフレーダーは、自分が手(労働者)と頭脳(父)の仲介者だと自覚しました。
一方、父は計略のため、発明家ロートヴァングにアンドロイドの製作を依頼し・・・
一方、ロートヴァングもまた違う計略のため、アンドロイドを製作し・・・
さて、名画「メトロポリス」では、まっキンキンのアンドロイドが印象に残ります。
私は映画を見ていませんが、あのアンドロイドだけはどこかで見て知っていました。
特に、アンドロイドがマリアの姿へ変わっていく場面は、あまりにも有名です。
そして、スターウォーズに出てくるC-3POが、これとそっくりなのです。
最初私は、この小説をアンドロイドが暴走する姿を描いた物語だと思っていました。
実際は、フレーダーが主役です。テーマは、頭脳と手を心が結ぶ、というものです。
しかも読んでいくうちに、全ての裏には父フレーデルセンがいることに気付きます。
フレーデルセンが息子のために全てを仕組んだようなことさえ、書いてありました。
あらすじで読んだ映画とは、だいぶ狙いが違うようで、とても戸惑いました。
作者ハルボウが書きたかったことは、いったいどういうことだったのでしょうか?
ちなみに作者ハルボウは、もともと映画化を考えて、この小説を書いたようです。
映画にしたのは、夫であるラング。当時二人は結婚していました。
そういえばこの小説は、場面はころころ変わるし展開も早いし、戯曲のようでした。
登場人物の人間関係(特に父と子)もころころ変わり、よく理解できませんでした。
そういう意味で、1927年の映画「メトロポリス」を見てみたいと思いました。
現在、ハルボウの意図を反映した「完全復元版」というのが出ているそうなので。
ところで、訳者の酒寄は、「メトロポリス」に現代的な意味を見出しています。
確かに、次のような文章を読むと、「今も同じじゃん」と思ってしまいます。
「メトロポリスの呼び出しに応じて、自分と同じ番号の家から仕事に向かい、
十時間働いて、死ぬほど疲れて帰宅するだけの人生。」(P66)
さいごに。(ナゴヤドーム駐車場事情)
娘をナゴヤドームのコンサートに連れて行きました。
周辺の駐車場が満車になると困るので、1日2000円の場所を予約して行きました。
ところが、駐車場は周辺に、意外とたくさんありました。
朝10時半の時点で、多くの場所で「1日1000円」で呼び込んでいた。ヤラレタ!
ルーマニア日記 [20世紀ドイツ文学]
「ルーマニア日記」 カロッサ作 高橋健二訳 (岩波文庫)
軍医として従軍したカロッサが、第一次大戦時の日記をもとにして書いた小説です。
昨年2018年に復刊されましたが、旧字体で実に読みにくいです。初版は1953年!
私たちの部隊は、行先も告げられず、汽車に乗せられ、移動を始めました。
やがてルーマニアに入り、戦線に近い場所で、「私」が見たものは・・・
私の望遠鏡がとらえたのは、塹壕でくつろぐルーマニアの兵士たちの姿。
上官に報告しようとして、なぜか私にはそれができませんでした。
報告しなければ、いつか彼らによって、味方が危うくなるかもしれない。
しかし、安心しきっている彼らの命を奪う権利が、私にあるのだろうか?
ここに描かれているのは、まさに極限状況における人間の姿です。
薄い本ですが、次から次に強烈な描写が展開され、読んでいて疲れました。
ネズミの死骸が入っていたジャムを、老少佐は淡々とパンに塗って食べ・・・
森で私のマントを突然つかんだのは、内臓の飛び出した瀕死の敵兵で・・・
手榴弾を見つけて、奪い合っていた子供たちは、偶然ひもを引き抜いて・・・
増えすぎた子猫を、小僧が壁にたたきつけていたが、1匹だけ生き残り・・・
しかし、時々挿入される美しい話に、ほっとします。
冒頭の歩兵ヴィンマーと砲手ヴィンマーの父子の対面は、実に感動的でした。
私はこの本をなんとか読み通しましたが、理解できない箇所が多かったです。
そういう部分は読み飛ばしてしまいました。分かりやすい新訳がほしいです。
さいごに。(ボリューム・コントローラーで、音が劇的に良くなった)
これまでパソコン内の曲を聴くとき、イヤホンジャックからアナログアンプに、
ケーブルをつないで、スピーカー(25年前の)から音を出していました。
このたびfostexのボリューム・コントローラーを買い、USB でつないだところ、
音が劇的に良くなっていました。こういう技を、もっと早く知っていたかった。
軍医として従軍したカロッサが、第一次大戦時の日記をもとにして書いた小説です。
昨年2018年に復刊されましたが、旧字体で実に読みにくいです。初版は1953年!
私たちの部隊は、行先も告げられず、汽車に乗せられ、移動を始めました。
やがてルーマニアに入り、戦線に近い場所で、「私」が見たものは・・・
私の望遠鏡がとらえたのは、塹壕でくつろぐルーマニアの兵士たちの姿。
上官に報告しようとして、なぜか私にはそれができませんでした。
報告しなければ、いつか彼らによって、味方が危うくなるかもしれない。
しかし、安心しきっている彼らの命を奪う権利が、私にあるのだろうか?
ここに描かれているのは、まさに極限状況における人間の姿です。
薄い本ですが、次から次に強烈な描写が展開され、読んでいて疲れました。
ネズミの死骸が入っていたジャムを、老少佐は淡々とパンに塗って食べ・・・
森で私のマントを突然つかんだのは、内臓の飛び出した瀕死の敵兵で・・・
手榴弾を見つけて、奪い合っていた子供たちは、偶然ひもを引き抜いて・・・
増えすぎた子猫を、小僧が壁にたたきつけていたが、1匹だけ生き残り・・・
しかし、時々挿入される美しい話に、ほっとします。
冒頭の歩兵ヴィンマーと砲手ヴィンマーの父子の対面は、実に感動的でした。
私はこの本をなんとか読み通しましたが、理解できない箇所が多かったです。
そういう部分は読み飛ばしてしまいました。分かりやすい新訳がほしいです。
さいごに。(ボリューム・コントローラーで、音が劇的に良くなった)
これまでパソコン内の曲を聴くとき、イヤホンジャックからアナログアンプに、
ケーブルをつないで、スピーカー(25年前の)から音を出していました。
このたびfostexのボリューム・コントローラーを買い、USB でつないだところ、
音が劇的に良くなっていました。こういう技を、もっと早く知っていたかった。
聖なる酔っぱらいの伝説 [20世紀ドイツ文学]
「聖なる酔っぱらいの伝説」 ロート作 池内紀訳 (岩波文庫)
タイトル作は、ある紳士に200フラン恵まれた酔っぱらいの、不思議な物語です。
デビュー作「蜘蛛の巣」から遺作のタイトル作まで、全5編収録の作品集です。
以前白水Uブックスから出ていましたが、現在は岩波文庫に入っています。
池内紀氏の訳は、軽やかなリズムがあって分かりやすく、読みやすかったです。
タイトル作「聖なる酔っぱらいの伝説」は、ロートが死ぬ直前に書いた短編です。
セーヌ川の橋の下に住むアンドレアスは、ある日金持ちの紳士に出会いました。
「二百フランを受け取ってもらえないものだろうか。」
はからずも大金を手に入れたアンドレアスは、この時から急にツキはじめました。
安酒場では割のいい仕事をもらい、買った財布にはお金が入っていて・・・
昔の女に会い、旧友に会い、美しい踊り子に会い、そしてテレーズに会って・・・
「願わくは、かくも軽やかな、かくも美しい死をめぐみたまえ!」
という言葉で作品を締めくくってから間もなく、ロート自身も天に召されました。
軽やかなのに、しみじみしていて、楽しいのに、もの悲しい、独特の味わいです。
パリに行きたくなります。この本をもってセーヌ河畔を歩いてみたいです。
といっても、パリなんかには行けないので、せめて映画だけでも見てみたい。
1988年のイタリア映画「聖なる酔っぱらいの伝説」は、評判が良いようです。
他の三つの短編もみな、しみじみとした味わいがある、叙情豊かな作品です。
中でも「皇帝の胸像」では、作者のオーストリアに対する郷愁が伝わってきます。
「まことの祖国、つまり、『祖国喪失者』にも祖国であるような、唯一ありうる
祖国、他民族国家のオーストリア君主国は、まさしくそのような国だった。」
常にはみ出し者のユダヤ人にとって、そこは安心できる国だったようです。
ロートは生涯、崩壊したオーストリアを、懐かしく思い出していたそうです。
「蜘蛛の巣」はデビュー作で、過激な民族主義に走る青年を描いた中編です。
ナチスの台頭とヒトラーの独裁を先取りして描いた異色の作品です。
「ナチ党は熱気をはらんでいた。興奮につつまれていた。つぎつぎと人びとが
馳せ参じる。」「ヒトラーは一つの『危険』そのものだった。」(P87~P88)
これが書かれたのは1923年。ヒトラーが頭角をあらわすかなり前のことです。
のちにこの作品を読み返した人々は、その予見的な内容に驚いたといいます。
さて、代表作「ラデツキー行進曲」は、岩波文庫から上下二分冊で出ています。
いつ絶版になるか分からない(?)ので、機会があればぜひ読んでおきたいです。
さいごに。(セブンブリッジ)
娘にセブンブリッジを教えてもらいました。娘は学校の先生に教わったとのこと。
休み時間に先生も含めてやっているとか。娘はかなり強い方なのだそうです。
タイトル作は、ある紳士に200フラン恵まれた酔っぱらいの、不思議な物語です。
デビュー作「蜘蛛の巣」から遺作のタイトル作まで、全5編収録の作品集です。
以前白水Uブックスから出ていましたが、現在は岩波文庫に入っています。
池内紀氏の訳は、軽やかなリズムがあって分かりやすく、読みやすかったです。
タイトル作「聖なる酔っぱらいの伝説」は、ロートが死ぬ直前に書いた短編です。
セーヌ川の橋の下に住むアンドレアスは、ある日金持ちの紳士に出会いました。
「二百フランを受け取ってもらえないものだろうか。」
はからずも大金を手に入れたアンドレアスは、この時から急にツキはじめました。
安酒場では割のいい仕事をもらい、買った財布にはお金が入っていて・・・
昔の女に会い、旧友に会い、美しい踊り子に会い、そしてテレーズに会って・・・
「願わくは、かくも軽やかな、かくも美しい死をめぐみたまえ!」
という言葉で作品を締めくくってから間もなく、ロート自身も天に召されました。
軽やかなのに、しみじみしていて、楽しいのに、もの悲しい、独特の味わいです。
パリに行きたくなります。この本をもってセーヌ河畔を歩いてみたいです。
といっても、パリなんかには行けないので、せめて映画だけでも見てみたい。
1988年のイタリア映画「聖なる酔っぱらいの伝説」は、評判が良いようです。
他の三つの短編もみな、しみじみとした味わいがある、叙情豊かな作品です。
中でも「皇帝の胸像」では、作者のオーストリアに対する郷愁が伝わってきます。
「まことの祖国、つまり、『祖国喪失者』にも祖国であるような、唯一ありうる
祖国、他民族国家のオーストリア君主国は、まさしくそのような国だった。」
常にはみ出し者のユダヤ人にとって、そこは安心できる国だったようです。
ロートは生涯、崩壊したオーストリアを、懐かしく思い出していたそうです。
「蜘蛛の巣」はデビュー作で、過激な民族主義に走る青年を描いた中編です。
ナチスの台頭とヒトラーの独裁を先取りして描いた異色の作品です。
「ナチ党は熱気をはらんでいた。興奮につつまれていた。つぎつぎと人びとが
馳せ参じる。」「ヒトラーは一つの『危険』そのものだった。」(P87~P88)
これが書かれたのは1923年。ヒトラーが頭角をあらわすかなり前のことです。
のちにこの作品を読み返した人々は、その予見的な内容に驚いたといいます。
さて、代表作「ラデツキー行進曲」は、岩波文庫から上下二分冊で出ています。
いつ絶版になるか分からない(?)ので、機会があればぜひ読んでおきたいです。
さいごに。(セブンブリッジ)
娘にセブンブリッジを教えてもらいました。娘は学校の先生に教わったとのこと。
休み時間に先生も含めてやっているとか。娘はかなり強い方なのだそうです。
マリー・アントワネット2 [20世紀ドイツ文学]
「マリー・アントワネット」 ツヴァイク作 中野京子訳 (角川文庫)
フランス革命で、断頭台の露と消えた王妃アントワネットの生涯を描いています。
ツヴァイクの代表作であり、伝記文学の傑作として知られている作品です。
角川文庫、岩波文庫、河出文庫などから出ています。
私が読んだ角川文庫の中野京子訳は新訳で、三つの中で最も分かりやすい訳です。
下巻の冒頭は「彼はそうだったか、そうではなかったか?」という魅力的な章です。
フェルゼンが、王妃の恋人だったのか、そうではなかったのか、を考察しています。
もちろん、「彼はそうだった」。今では周知の事実です。
しかし、1世紀もの間、フェルゼンが歴史から忘れられていたとは、意外でした。
王妃とフェルゼンは、一時期、二人で政治上の困難な問題を決裁していたようです。
このたいへんな時期こそ、二人にとって、最も幸福なときだったでしょう。
そして、二人で企てたヴァレンヌ逃亡事件が、二人の人生のクライマックスでした。
フェルゼンはもちろん、何から何まで、献身的に働きました。
しかしパリを脱出した所で、どういうわけか王が、フェルゼンを帰してしまいます。
これまで何でも丸投げしていた王が! 今こそフェルゼンに丸投げするべきなのに!
その後、ちょっとした行き違いが重なり、取り返しがつかない事態になります。
1791年6月20日、ヴァレンヌ逃亡失敗のこの日が、王家にとって運命の日でした。
この事件後、王と王妃は、坂道を転がるように、没落に向かって落ちていき・・・
チュイルリー宮からタンプル塔へ、さらに監獄へ、そして断頭台へ・・・
それにしても、後半のアントワネットの変貌ぶりはすごいです。
王妃でなくなってから、彼女は真の王妃らしくなりました。しかし、遅すぎました。
6月20日は、フェルゼンにとっても、決して忘れられない、運命の日でした。
「なぜわたしは彼女のために死ななかったのだろう、あの六月二十日に?」
遠い祖国で、アントワネットの死を知り、死んだように生き続けるフェルゼン。
その最期もまた6月20日、実に痛ましい死に方で・・・
さて、マリー・アントワネットはファンが多く、たくさんの関連本があります。
訳者中野京子の「ヴァレンヌ逃亡」も、なかなか興味深い本です。
中野京子は、「怖い絵」で評判になりました。
この本には、ダヴィッドの描いた、王妃の最期の肖像が取り上げられています。
さいごに。(持久走大会35位)
今年は昨年と変わり、男女混合で、速い組と遅い組に分けて行われました。
うちの娘は速い組の35位。女子では7位ぐらいなので、上出来でしょう。
順位はもちろん、一生懸命に真剣に走っていたことが、嬉しかったです。
夕食は、しゃぶしゃぶで娘のお疲れさん会をしました。食べすぎました。
フランス革命で、断頭台の露と消えた王妃アントワネットの生涯を描いています。
ツヴァイクの代表作であり、伝記文学の傑作として知られている作品です。
角川文庫、岩波文庫、河出文庫などから出ています。
私が読んだ角川文庫の中野京子訳は新訳で、三つの中で最も分かりやすい訳です。
下巻の冒頭は「彼はそうだったか、そうではなかったか?」という魅力的な章です。
フェルゼンが、王妃の恋人だったのか、そうではなかったのか、を考察しています。
もちろん、「彼はそうだった」。今では周知の事実です。
しかし、1世紀もの間、フェルゼンが歴史から忘れられていたとは、意外でした。
王妃とフェルゼンは、一時期、二人で政治上の困難な問題を決裁していたようです。
このたいへんな時期こそ、二人にとって、最も幸福なときだったでしょう。
そして、二人で企てたヴァレンヌ逃亡事件が、二人の人生のクライマックスでした。
フェルゼンはもちろん、何から何まで、献身的に働きました。
しかしパリを脱出した所で、どういうわけか王が、フェルゼンを帰してしまいます。
これまで何でも丸投げしていた王が! 今こそフェルゼンに丸投げするべきなのに!
その後、ちょっとした行き違いが重なり、取り返しがつかない事態になります。
1791年6月20日、ヴァレンヌ逃亡失敗のこの日が、王家にとって運命の日でした。
この事件後、王と王妃は、坂道を転がるように、没落に向かって落ちていき・・・
チュイルリー宮からタンプル塔へ、さらに監獄へ、そして断頭台へ・・・
それにしても、後半のアントワネットの変貌ぶりはすごいです。
王妃でなくなってから、彼女は真の王妃らしくなりました。しかし、遅すぎました。
6月20日は、フェルゼンにとっても、決して忘れられない、運命の日でした。
「なぜわたしは彼女のために死ななかったのだろう、あの六月二十日に?」
遠い祖国で、アントワネットの死を知り、死んだように生き続けるフェルゼン。
その最期もまた6月20日、実に痛ましい死に方で・・・
さて、マリー・アントワネットはファンが多く、たくさんの関連本があります。
訳者中野京子の「ヴァレンヌ逃亡」も、なかなか興味深い本です。
ヴァレンヌ逃亡 マリー・アントワネット 運命の24時間 (文春文庫)
- 作者: 中野 京子
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2014/08/06
- メディア: 文庫
中野京子は、「怖い絵」で評判になりました。
この本には、ダヴィッドの描いた、王妃の最期の肖像が取り上げられています。
さいごに。(持久走大会35位)
今年は昨年と変わり、男女混合で、速い組と遅い組に分けて行われました。
うちの娘は速い組の35位。女子では7位ぐらいなので、上出来でしょう。
順位はもちろん、一生懸命に真剣に走っていたことが、嬉しかったです。
夕食は、しゃぶしゃぶで娘のお疲れさん会をしました。食べすぎました。
マリー・アントワネット [20世紀ドイツ文学]
「マリー・アントワネット 上」 ツヴァイク作 中野京子訳 (角川文庫)
フランス革命で、断頭台の露と消えた王妃アントワネットの生涯を描いています。
ツヴァイクの代表作であり、伝記文学の傑作として知られている作品です。
角川文庫、岩波文庫、河出文庫などから出ています。
私は角川文庫の中野京子訳で読みました。新訳で、最も分かりやすい訳です。
岩波文庫は、「ジョゼフ・フーシェ」と同じく高橋・秋山訳です。
格調が高くて、味わい深い訳です。この訳のファンも多いです。
河出文庫の関訳も、捨てがたいです。
格調高くて美しい訳です。ただし、現在品切れらしいです。
マリー・アントワネットは、オーストリアの女帝マリア・テレジアの末娘でした。
1770年、彼女が14歳の時、フランスの王太子ルイとの結婚が成立しました。
ハプスブルク家とブルボン家を結びつけ、ヨーロッパに平和をもたらすため。
そう言えば聞こえはいいが、要するに幼い少女が政略結婚に使われたのです。
母は娘の将来を心配し、信頼するメルシ伯爵を、その近くに仕えさせました。
しかしアントワネットは、世間を知るにはあまりにもあどけなくて・・・
不幸な結婚生活、その反動による派手な気晴らし。宮廷での確執、様々な陰謀。
首飾り事件、その裁判。時代の急変、革命の始まり、そして、真の友人の登場。
現在、上巻を読み終わったところですが、本当に面白いです。
特に、首飾り事件の辺りから、物語は急展開して、なかなか本を放せません。
作者ツヴァイクは、アントワネットに対して、同情と愛情を込めて描いています。
それゆえ、彼女にとっての救いの神フェルゼンに対しても、とても好意的です。
彼は、アントワネットの栄華の時は、その名誉を守るためにひっそりと身を引き、
彼女が排斥された時に、決然とその傍にやってきて、命をかけて寄り添いました。
フェルゼンは男の中の男。訳者の中野京子曰く。「フェルゼンに愛された――
この一点においてアントワネットの価値は決まったような気がする。」(P362)
いいぞ、フェルゼン! がんばれ、アントワネット!
悲劇的な結末は知っているのに、二人の幸せな結末を期待してしまいます。
ところで、最も興味深かったのは、第二章「ベッドの秘密」です。
臆病な王と奔放な王妃の、それぞれの性向は、夫婦のベッドで形成された?
あの奇怪な首飾り事件については、非常に詳細に謎解きされていました。
時々ツヴァイク自身の見解が示されたりして、とても面白かったです
さて、下巻ではいよいよフランス革命がいっきに進行します。
楽しみでもあり、(後の悲劇を思うと)悲しくもあります。
さいごに。(将棋)
娘が、学校の放課後の活動で、将棋を覚えてきました。
さっそく将棋盤を買ってきて、時々対戦しています。
将棋のセットは子供用で、駒に進む矢印が書いてあって便利です。
うちは本屋で3456円で買いました。アマゾンでは2109円。ショック!
フランス革命で、断頭台の露と消えた王妃アントワネットの生涯を描いています。
ツヴァイクの代表作であり、伝記文学の傑作として知られている作品です。
角川文庫、岩波文庫、河出文庫などから出ています。
私は角川文庫の中野京子訳で読みました。新訳で、最も分かりやすい訳です。
岩波文庫は、「ジョゼフ・フーシェ」と同じく高橋・秋山訳です。
格調が高くて、味わい深い訳です。この訳のファンも多いです。
河出文庫の関訳も、捨てがたいです。
格調高くて美しい訳です。ただし、現在品切れらしいです。
マリー・アントワネットは、オーストリアの女帝マリア・テレジアの末娘でした。
1770年、彼女が14歳の時、フランスの王太子ルイとの結婚が成立しました。
ハプスブルク家とブルボン家を結びつけ、ヨーロッパに平和をもたらすため。
そう言えば聞こえはいいが、要するに幼い少女が政略結婚に使われたのです。
母は娘の将来を心配し、信頼するメルシ伯爵を、その近くに仕えさせました。
しかしアントワネットは、世間を知るにはあまりにもあどけなくて・・・
不幸な結婚生活、その反動による派手な気晴らし。宮廷での確執、様々な陰謀。
首飾り事件、その裁判。時代の急変、革命の始まり、そして、真の友人の登場。
現在、上巻を読み終わったところですが、本当に面白いです。
特に、首飾り事件の辺りから、物語は急展開して、なかなか本を放せません。
作者ツヴァイクは、アントワネットに対して、同情と愛情を込めて描いています。
それゆえ、彼女にとっての救いの神フェルゼンに対しても、とても好意的です。
彼は、アントワネットの栄華の時は、その名誉を守るためにひっそりと身を引き、
彼女が排斥された時に、決然とその傍にやってきて、命をかけて寄り添いました。
フェルゼンは男の中の男。訳者の中野京子曰く。「フェルゼンに愛された――
この一点においてアントワネットの価値は決まったような気がする。」(P362)
いいぞ、フェルゼン! がんばれ、アントワネット!
悲劇的な結末は知っているのに、二人の幸せな結末を期待してしまいます。
ところで、最も興味深かったのは、第二章「ベッドの秘密」です。
臆病な王と奔放な王妃の、それぞれの性向は、夫婦のベッドで形成された?
あの奇怪な首飾り事件については、非常に詳細に謎解きされていました。
時々ツヴァイク自身の見解が示されたりして、とても面白かったです
さて、下巻ではいよいよフランス革命がいっきに進行します。
楽しみでもあり、(後の悲劇を思うと)悲しくもあります。
さいごに。(将棋)
娘が、学校の放課後の活動で、将棋を覚えてきました。
さっそく将棋盤を買ってきて、時々対戦しています。
将棋のセットは子供用で、駒に進む矢印が書いてあって便利です。
うちは本屋で3456円で買いました。アマゾンでは2109円。ショック!
西部戦線異状なし [20世紀ドイツ文学]
「西部戦線異状なし」 レマルク作 秦(はた)豊吉訳 (新潮文庫)
第一次大戦の西部戦線において、ドイツ青年兵が戦死するまでを描いた作品です。
1929年に出て世界的ベストセラーとなり、翌年映画化されて評判になりました。
現在、新潮文庫で読むことができます。初版は1955年で、訳はもう少し古いもの。
古いわりに、分かりやすい訳です。2007年に改版されて、活字は読みやすいです。
ある日学校の先生に引率されて、ボイメルは多くの仲間と一緒に志願兵となりました。
彼らは青春の入り口で、いきなり戦場へ投げ込まれてしまったのです。
「僕らは十八歳であった。この世界と生活とを愛しはじめていた。
しかるに僕らはその世界と生活とに向って鉄砲を射たなければならなかった。
その第一発として射ちこんだ爆弾は、実は僕らの心臓に当たっているのだ。」(P127)
塹壕戦に投入された青年たちが見た激しい戦闘。砲弾、戦車、飛行機、毒ガス、疾病。
そして、ひとりひとりと減っていく仲間たち。
当たり前のように、人が次々と死んでいく。戦線では異常なことばかり。
しかし、司令部の報告は、「西部戦線異状なし、報告すべき件なし」・・・
作者レマルクもまた、教師の熱弁に従って、18歳の時旧友と一緒に志願したのです。
そして、西部戦線の塹壕戦における激戦を体験し、負傷してしまいました。
主人公ボイメルと違うのは、レマルクが生きて帰って、この小説を発表したこと。
そして、この小説で戦闘の実態をおおやけにし、戦争の愚劣さと虚しさを訴えたこと。
「僕らがここで習ったことは、四巻のショーペンハウエルよりも、よく光らしたボタン
一個のほうが大事だということである。」(P35)
という具合に、文体はとてもさめています。戦争が青年を、年寄りにしてしまった。
ボイメルが言うように、この戦争を防げないとしたら、過去千年の文化は無価値です。
ところで、「西部戦線異状なし」は、「武器よさらば」と比べられることが多いです。
どちらも、第一次大戦を扱い、戦争に翻弄される青年を描きました。
そして、どちらの小説も、アメリカで映画化されました。
映画作品においては、明らかに「西部戦線」の方に、軍配が上がるのだとか。
ところで、レマルクとヘミングウェイの、不思議な因縁を教えてくれたのは妻です。
それは、森瑤子の「美女たちの神話」(講談社文庫・品切れ)に書かれています。
「嘆きの天使」の女優マレーネ・ディートリッヒは、ヘミングウェイの女神でした。
「海流のなかの島々」には、ヘミングウェイが彼女を口説く場面が描かれています。
彼女(マレーネ)は彼(ヘミングウェイ)に、「良い人」がいるからと言って、拒みます。
その「良い人」とは、レマルクのことらしいのです。
そしてレマルクもまた、「凱旋門」の中で、マレーネらしい人を描いているそうです。
名作「凱旋門」もまた、品切れで読めません。(映画も有名ですよね)
文庫での新訳を、強く強く望んでいます。
さいごに。(花見)
桜が満開です。家族で、近所の桜並木を歩きました。
第一次大戦の西部戦線において、ドイツ青年兵が戦死するまでを描いた作品です。
1929年に出て世界的ベストセラーとなり、翌年映画化されて評判になりました。
現在、新潮文庫で読むことができます。初版は1955年で、訳はもう少し古いもの。
古いわりに、分かりやすい訳です。2007年に改版されて、活字は読みやすいです。
ある日学校の先生に引率されて、ボイメルは多くの仲間と一緒に志願兵となりました。
彼らは青春の入り口で、いきなり戦場へ投げ込まれてしまったのです。
「僕らは十八歳であった。この世界と生活とを愛しはじめていた。
しかるに僕らはその世界と生活とに向って鉄砲を射たなければならなかった。
その第一発として射ちこんだ爆弾は、実は僕らの心臓に当たっているのだ。」(P127)
塹壕戦に投入された青年たちが見た激しい戦闘。砲弾、戦車、飛行機、毒ガス、疾病。
そして、ひとりひとりと減っていく仲間たち。
当たり前のように、人が次々と死んでいく。戦線では異常なことばかり。
しかし、司令部の報告は、「西部戦線異状なし、報告すべき件なし」・・・
作者レマルクもまた、教師の熱弁に従って、18歳の時旧友と一緒に志願したのです。
そして、西部戦線の塹壕戦における激戦を体験し、負傷してしまいました。
主人公ボイメルと違うのは、レマルクが生きて帰って、この小説を発表したこと。
そして、この小説で戦闘の実態をおおやけにし、戦争の愚劣さと虚しさを訴えたこと。
「僕らがここで習ったことは、四巻のショーペンハウエルよりも、よく光らしたボタン
一個のほうが大事だということである。」(P35)
という具合に、文体はとてもさめています。戦争が青年を、年寄りにしてしまった。
ボイメルが言うように、この戦争を防げないとしたら、過去千年の文化は無価値です。
ところで、「西部戦線異状なし」は、「武器よさらば」と比べられることが多いです。
どちらも、第一次大戦を扱い、戦争に翻弄される青年を描きました。
そして、どちらの小説も、アメリカで映画化されました。
映画作品においては、明らかに「西部戦線」の方に、軍配が上がるのだとか。
ところで、レマルクとヘミングウェイの、不思議な因縁を教えてくれたのは妻です。
それは、森瑤子の「美女たちの神話」(講談社文庫・品切れ)に書かれています。
「嘆きの天使」の女優マレーネ・ディートリッヒは、ヘミングウェイの女神でした。
「海流のなかの島々」には、ヘミングウェイが彼女を口説く場面が描かれています。
彼女(マレーネ)は彼(ヘミングウェイ)に、「良い人」がいるからと言って、拒みます。
その「良い人」とは、レマルクのことらしいのです。
そしてレマルクもまた、「凱旋門」の中で、マレーネらしい人を描いているそうです。
名作「凱旋門」もまた、品切れで読めません。(映画も有名ですよね)
文庫での新訳を、強く強く望んでいます。
さいごに。(花見)
桜が満開です。家族で、近所の桜並木を歩きました。
訴訟 [20世紀ドイツ文学]
「訴訟」 カフカ作 丘沢静也訳 (古典新訳文庫)
突然逮捕され、理由が分からないまま裁かれる、銀行員ヨーゼフ・Kの物語です。
カフカの死後に公刊された、未完の傑作です。
岩波文庫や新潮文庫からは、「審判」というタイトルで出ていました。
私が読んだ古典新訳文庫は、「訴訟」というタイトルです。
訳者は「テルレス」と同じ丘沢氏。軽快で、とても分かりやすい訳です。
ある朝、銀行員のヨーゼフ・Kの部屋に、男たちがやってきて彼を逮捕しました。
誰が訴えたのか? どんな罪なのか? Kには全く知らされません。
この日から、Kの二重生活が始まります。
普段は優秀な銀行員ですが、やっかいな訴訟に巻き込まれた被告でもあります。
まるで、日常世界に突然ぽっかりあいた穴。
わけが分からないうちに、穴の中に引きずりこまれ、からめとられていくK・・・
不気味で深刻な物語が、まるで冗談のように、軽快なリズムに乗って進行します。
悲劇的な物語が、喜劇的に展開します。
訳者解説によると、この結末は、Kの夢だったという解釈があるとか。
なるほど。全てはKが見た幻覚であってほしい。
例によって、いろいろと考えさせられました。
ラスト近くで、「掟の門」が挿入されているところもまた、意味深です。
それにしても、カフカの41歳の死は早すぎました。あまりにも惜しい。
そして、この小説が未完に終わったことも、実に実に惜しい。
カフカには、ほかに「城」という長編もありますが、こちらも未完。
ということで、やはり、カフカといえば、「変身」でしょうか。
「変身」 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2010-06-29
さいごに。(バレエの発表会)
昨日の日曜日は、娘のバレエの発表会でした。
出番はわずか2~3分ですが、この日のためにずっとがんばってきました。
娘は、とても緊張していて、まじめで真剣でした。
何でも一生懸命にやっている姿は、見ていて気持ちがいいものです。
突然逮捕され、理由が分からないまま裁かれる、銀行員ヨーゼフ・Kの物語です。
カフカの死後に公刊された、未完の傑作です。
岩波文庫や新潮文庫からは、「審判」というタイトルで出ていました。
私が読んだ古典新訳文庫は、「訴訟」というタイトルです。
訳者は「テルレス」と同じ丘沢氏。軽快で、とても分かりやすい訳です。
ある朝、銀行員のヨーゼフ・Kの部屋に、男たちがやってきて彼を逮捕しました。
誰が訴えたのか? どんな罪なのか? Kには全く知らされません。
この日から、Kの二重生活が始まります。
普段は優秀な銀行員ですが、やっかいな訴訟に巻き込まれた被告でもあります。
まるで、日常世界に突然ぽっかりあいた穴。
わけが分からないうちに、穴の中に引きずりこまれ、からめとられていくK・・・
不気味で深刻な物語が、まるで冗談のように、軽快なリズムに乗って進行します。
悲劇的な物語が、喜劇的に展開します。
訳者解説によると、この結末は、Kの夢だったという解釈があるとか。
なるほど。全てはKが見た幻覚であってほしい。
例によって、いろいろと考えさせられました。
ラスト近くで、「掟の門」が挿入されているところもまた、意味深です。
それにしても、カフカの41歳の死は早すぎました。あまりにも惜しい。
そして、この小説が未完に終わったことも、実に実に惜しい。
カフカには、ほかに「城」という長編もありますが、こちらも未完。
ということで、やはり、カフカといえば、「変身」でしょうか。
「変身」 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2010-06-29
さいごに。(バレエの発表会)
昨日の日曜日は、娘のバレエの発表会でした。
出番はわずか2~3分ですが、この日のためにずっとがんばってきました。
娘は、とても緊張していて、まじめで真剣でした。
何でも一生懸命にやっている姿は、見ていて気持ちがいいものです。
寄宿生テルレスの混乱 [20世紀ドイツ文学]
「寄宿生テルレスの混乱」 ムージル作 丘沢静也訳 (古典新訳文庫)
全寮制の男子校を舞台にした、思春期の少年たちのいじめと同性愛を描いた小説です。
「特性のない男」のムージルの処女作です。映画化もされました。
現在、古典新訳文庫から出ています。とても分かりやすい訳です。
ドイツの初版本にならって、章立てをしているところが良いです。
宮廷顧問官の息子テルレスは、全寮制の男子校で学んでいます。
時々自己が引き裂かれるような、思春期特有の混乱を抱えています。
あるとき、友人のひとりバニーニが、盗みを働きました。
それをネタに、バイネベルクとライティングが、バジーニをいじめ始めました。
そのいじめは陰湿で、そして性的な衝動と紙一重です。
テルレスは、彼らから一歩距離を置いていましたが、しかし、あるとき・・・
テルレスは、自分の中に起こったひずみを、絶えず意識しています。
それを克服しようとしますが、もがけばもがくほど混乱に陥ります。
そして、最後までテルレスの混乱は混乱のまま。
混乱を抱えたまま、静かに物語は終わります。
「ある種のものが存在していて、それは、いわば二重の形で、われわれの人生に
介入するよう定められています。」(P308)
「ものごとは第二の、秘密の、ひっそりとした生を生きているのだ!」(P314)
さて、訳者はこの作品を、今流行のボーイズ・ラブの古典だとも言っています。
確かにそういう要素はありますが、そういう興味で読むのはいかがなものか。
私的には、あまり再読したくない本です。
寄宿学校という閉鎖的な空間で、欲求不満の少年たちがいかに屈折することか!
とはいえ、ムージルの作品をひとつ読むのなら、これでしょう。
傑作「特性のない男」は、長いし読みにくいし未完だし。文庫化もされていないし。
映画「テルレスの青春」は、カンヌで国際批評家賞を取ったほどの名作だそうです。
が、いじめられっ子バジーニが、ジャガイモみたいなブ少年で、興をそがれるとか。
さて、ムージルは雑誌編集者だった頃、無名のカフカに寄稿を依頼したそうです。
送られた原稿は「変身」(!) しかし字数の関係で、掲載できなかったとのこと。
「変身」 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2010-06-29
さいごに。(今度は新型?)
娘の小学校では、インフルエンザの影響で、まだ学級閉鎖のクラスがあります。
娘はA型にもB型にも感染しましたが、今度は新型が出始めたとか。やれやれ。
全寮制の男子校を舞台にした、思春期の少年たちのいじめと同性愛を描いた小説です。
「特性のない男」のムージルの処女作です。映画化もされました。
現在、古典新訳文庫から出ています。とても分かりやすい訳です。
ドイツの初版本にならって、章立てをしているところが良いです。
宮廷顧問官の息子テルレスは、全寮制の男子校で学んでいます。
時々自己が引き裂かれるような、思春期特有の混乱を抱えています。
あるとき、友人のひとりバニーニが、盗みを働きました。
それをネタに、バイネベルクとライティングが、バジーニをいじめ始めました。
そのいじめは陰湿で、そして性的な衝動と紙一重です。
テルレスは、彼らから一歩距離を置いていましたが、しかし、あるとき・・・
テルレスは、自分の中に起こったひずみを、絶えず意識しています。
それを克服しようとしますが、もがけばもがくほど混乱に陥ります。
そして、最後までテルレスの混乱は混乱のまま。
混乱を抱えたまま、静かに物語は終わります。
「ある種のものが存在していて、それは、いわば二重の形で、われわれの人生に
介入するよう定められています。」(P308)
「ものごとは第二の、秘密の、ひっそりとした生を生きているのだ!」(P314)
さて、訳者はこの作品を、今流行のボーイズ・ラブの古典だとも言っています。
確かにそういう要素はありますが、そういう興味で読むのはいかがなものか。
私的には、あまり再読したくない本です。
寄宿学校という閉鎖的な空間で、欲求不満の少年たちがいかに屈折することか!
とはいえ、ムージルの作品をひとつ読むのなら、これでしょう。
傑作「特性のない男」は、長いし読みにくいし未完だし。文庫化もされていないし。
映画「テルレスの青春」は、カンヌで国際批評家賞を取ったほどの名作だそうです。
が、いじめられっ子バジーニが、ジャガイモみたいなブ少年で、興をそがれるとか。
さて、ムージルは雑誌編集者だった頃、無名のカフカに寄稿を依頼したそうです。
送られた原稿は「変身」(!) しかし字数の関係で、掲載できなかったとのこと。
「変身」 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2010-06-29
さいごに。(今度は新型?)
娘の小学校では、インフルエンザの影響で、まだ学級閉鎖のクラスがあります。
娘はA型にもB型にも感染しましたが、今度は新型が出始めたとか。やれやれ。