SSブログ
理系本 ブログトップ

学研まんが 恐竜のひみつ [理系本]

 「学研まんが 恐竜のひみつ」 川崎てつお漫画 (学習研究社・単行本)


 恐竜の知識を、漫画のストーリーを通して、分かりやすく解説した児童書です。
 初版は1972年。私が小学一年生のときに読んで、読書の楽しさを知った本です。

 表紙の恐竜が、ゴジラのように立ち上がっている姿は、今では間違いとされます。
 当時の最新の知識も、今では古くなって絶版。内容を一新した新版が出ています。


恐竜のひみつ (学研まんがひみつシリーズ 2)

恐竜のひみつ (学研まんがひみつシリーズ 2)

  • 出版社/メーカー: 学研プラス
  • 発売日: 2023/02/10
  • メディア: ペーパーバック



 よしぼうと、兄のだいすけ、そしてルミ子は、恐竜について興味を持っています。
 神田はかせは、自分で作ったタイムマシンで、彼らを恐竜の世界へ案内します。

 2億5000万年前のペルム紀では、エリオプスなどの両生類が栄えていました。
 恐竜はまだ初期の段階で、エダフォサウルスなどの哺乳類型爬虫類がいました。

 1億3000万年前のジュラ紀はすでに恐竜の時代で、多くの種類が繁栄していました。
 アロサウルス、ステゴサウルス、シソチョウ、ブラキオサウルスなどがいました。

 1億年前の白亜紀では進化が進み、多くの特徴のある恐竜たちが登場しました。
 ティラノザウルス、つの竜のトリケラトプス、カモノハシ竜のトラコドンなどです。

 そしておよそ7000万年前には、火山活動や気候変動により、環境が変わりました。
 植生が変わり、餌が減り、恐竜たちはその変化に対応することができずに・・・

 というように、恐竜についての多くの知識を得ることができますが、少し古いです。
 たとえば、恐竜絶滅の原因で最有力仮説である隕石衝突説が、紹介されていません。

 それでも50年前の7歳の自分には、とてつもなく面白くて、何度も読み直しました。
 学校の図書室で借りて、返却期限がきても返さなかったので、先生に叱られました。

 特に面白かったのが、前半の、子どもたちが恐竜の世界を探検する場面です。
 ロボットのエースマンが、よしぼうを危機一髪で助ける場面は、印象に残りました。

 後半の博士の講義も、恐竜時代のどこかでやってもらえれば、さらに良かったです。
 また、中盤にある恐竜たちの紹介も、ストーリーの中でおこなってほしかったです。

 さて、この本は私の大事な思い出の本なので、以前から古本屋等で探していました。
 アマゾンで以前見たときは、たしか1万円以上していたので、手が出ませんでした。

 しかし今回、送料を入れて1000円以内だったので、ようやく手に入れられました。
 しかも、日焼けはしているものの、充分納得のいく状態だったのでありがたいです。

 この本が絶版となった後、1993年に新板が出ました。こちらも、読んでみたいです。
 ヴァーチャル・リアリティで恐竜の世界を訪れる、という設定のようで、楽しそう。


恐竜世界のひみつ (学研まんが 新・ひみつシリーズ)

恐竜世界のひみつ (学研まんが 新・ひみつシリーズ)

  • 出版社/メーカー: 学研プラス
  • 発売日: 2003/07/23
  • メディア: 単行本



 さいごに。(品位が欠けるのはどちらか)

 毎日新聞のオフレコ報道での、首相秘書官の発言は、確かに品がなかったと思います。
 「あんな不愉快な話は、聞きたくなかった。」と、私の知人も言っていました。

 それにしても、あんなひどい発言は、黙殺するというのが品のある対応だと思います。
 あれをわざわざ言いふらした毎日新聞も、負けず劣らず品がないと、私は思います。

nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:

そんなバカな! [理系本]

 「そんなバカな! 遺伝子と神について」 竹内久美子 (文春文庫)


 動物または人間の身近な話題を通して、利己的遺伝子について解説した著書です。
 1991年に出てベストセラーとなり、竹内久美子を一躍有名人にした著書です。


遺伝子と神について そんなバカな! (文春文庫)

遺伝子と神について そんなバカな! (文春文庫)

  • 作者: 竹内 久美子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1994/03/10
  • メディア: 文庫



 私たちひとりひとりの体は、遺伝子が自らを乗せるために作り上げた乗り物なのです。
 遺伝子は、悠久の時間を旅するという目的のため、私たちの体を利用しているのです。

 私たち個体は、いくつもの遺伝子が偶然乗り合わせているだけのうたかたの存在です。
 私たち個体の死は命の終わりではなく、主体である遺伝子はいつまでも生き続けます。

 私たちの行動は、この遺伝子によって、都合よく操られているのです。
 その行動を決めるのは、種の繫栄でもなく個体の利益でもなく、遺伝子の利己性です。

 なぜ人間のメスだけは、いつ排卵するのか自分でも分からないのか?
 なぜ小児ぜんそくは、ある程度成長すると自然に治るのか?

 姑の嫁に対する意地悪な行動の、真の目的は何か?
 親が子を叱る行動の、真の目的は何か?・・・
 
 さまざまな動物行動学的な謎を、利己的遺伝子の戦略という視点から説明しています。
 どれも面白いのですが、印象的だったのは「遺伝子が神をつくった」という指摘です。

 どの宗教でも、礼拝では、頭を垂れたり、身をかがめたり、ひれ伏したりしています。
 それはまるで、劣位のサルが優位のサルに対して、振舞っているように見えるのです。

 しかし人間がサルと決定的に違うのは、神という架空の存在を対象にしている点です。
 神は、遺伝子によって長年にわたって作り上げられてきた概念なのであり・・・

 さて、ほかにもちょっとしたエピソードの中に、面白いネタがたくさんありました。
 たとえば、「専門家の穴」の話(P69)。なるほどなあ、と思いました。

 この本は、竹内久美子入門として、まず最初に手に取るべき一冊かと思います。
 妻もこの本が好きで、浮気の竹内的解釈などについては、よく話のネタにしました。

 竹内久美子には、ほかにも多くの多くの著書があります。
 「男と女の進化論」「遺伝子が解く!男の指のひみつ」なども面白いと評判です。


男と女の進化論―すべては勘違いから始まった (新潮文庫)

男と女の進化論―すべては勘違いから始まった (新潮文庫)

  • 作者: 久美子, 竹内
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1994/03/01
  • メディア: 文庫



遺伝子が解く! 男の指のひみつ (文春文庫 た 33-7 私が、答えます 1)

遺伝子が解く! 男の指のひみつ (文春文庫 た 33-7 私が、答えます 1)

  • 作者: 竹内 久美子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2004/07/09
  • メディア: 文庫



 さいごに。(数学がピンチだが)

 娘は高校に入って、すでに数学が分からなくなってきて、少しピンチです。
 しかし、別につらいわけではないと言っています。

 というのも授業中、生徒同士で教え合う時間に、隣の男子生徒に教えてもらえるため。
 中学生の時は、こういうときにいつも教える側にいたので、新鮮で嬉しいのだとか。

nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:

話を聞かない男、地図が読めない女 [理系本]

 「話を聞かない男、地図が読めない女 男脳・女脳が謎を解く」
 アラン・ピーズ&バーバラ・ピーズ著 藤井留美訳 (主婦の友社文庫)


 男と女の違いを、誰もが思い当たる日常的行動を例に分かりやすく解説した本です。
 2000年に出た単行本が多くのマスコミに取り上げられ、一大ブームとなりました。


文庫版 話を聞かない男、地図が読めない女

文庫版 話を聞かない男、地図が読めない女

  • 出版社/メーカー: 主婦の友社
  • 発売日: 2002/11/01
  • メディア: 文庫



 男は女にイライラしています。
 運転が下手、地図を逆さまにする、方向音痴、突然怒る、無駄なおしゃべり・・・

 女は男にイライラしています。
 鈍感、のんき、人の話を聞かない、他人の気持ちが分からない、話をしない・・・

 そのようなすれ違いを、男脳と女脳の違いから易しく解説したのがこの本です。
 脳の配線と全身を巡るホルモン。この二つが行動と思考を支配していると言います。

 男性から見ると女性はまるでレーダー探知機です。不思議なほど感覚が鋭いのです。
 私自身、妻の観察力に驚かされます。「お菓子食べたでしょ」とすぐ見抜かれます。

 子供を育て、家を守る立場上、周りの変化にすぐ気付く必要があるからだそうです。
 そして実際、女性の方が網膜にある細胞の種類が多く、周辺視野が広いと言います。

 女性は視野が広がるよう進化し、捕食者から身を守れるようになりました。
 逆に、狩猟者としての男性は、獲物を逃さないよう前方が見えるよう進化しました。

 だから例えば、私が帰宅しても妻の髪型の変化に気付かず、食卓で対面して「美容院
 に行った?」と聞く頃には、妻はプリプリしているということが起こるわけですね。

 この本を読みながら、私は何度も「なるほど!」と膝を打ちました。
 中でも最も大きな「気づき」は、「女性の沈黙は相手への罰である」ということです。

 「沈黙の罰を与えられた男が、そのことに気づくのに平均9分かかる。それまでは、
 女の沈黙をありがたいボーナスだと勘違いして、『静かなひととき』を楽しむのだ。」
 (P120)

 9分で気づく人はいいです。私はまったく気づきませんでした。
 そしていつも、静かな時間をたっぷり満喫していました!(汗)

 それでも私にとって幸いだったのは、この本と結婚後早い段階で出会ったことです。
 3月の終わりに結婚して、11月にこの文庫本を読んで、多くを学びました。

 女はなぜ直感が働くのか? なぜ嘘を見破るのか? なぜ電話が長いのか?
 なぜ理屈ではなく感情に訴えるのか? なぜすぐ共感を求めるのか? なぜ・・・

 あれから20年経ちました。そろそろ読み返す時期かもしれません。
 熟年離婚とかは嫌ですから。読めばきっとまた、多くの気づきがあると思います。

 さいごに。(結婚20周年)

 もうすぐ結婚20周年です。それにしても、よく今までお互いに我慢してきました!
 素直に相手の寛容さに感謝したいところです。(笑)

 そこで、ささやかながら、記念の旅行をしようと話していました。
 しかし、新たな変異株が出てきて計画は頓挫。しばらくは無理でしょうか。

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:

宇宙像の変遷 [理系本]

 「宇宙像の変遷」 村上陽一郎 (講談社学術文庫)


 神話的・宗教的・哲学的な宇宙像から現代の宇宙像へ、その変遷をたどっています。
 1992年に著者がおこなった、放送大学の第二次講義のテキストをもとにしています。


宇宙像の変遷 (講談社学術文庫)

宇宙像の変遷 (講談社学術文庫)

  • 作者: 村上 陽一郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1996/06
  • メディア: 文庫



 古代ギリシャにおいて、古代の神話的宇宙像は、理性によって哲学へと昇華しました。
 プラトン主義、のちに大きな影響を与えるアリストテレス主義などが形成されました。

 そしてユダヤ・キリスト教においては、宇宙像は非常にユニークな形を取りました。
 これまで自然に生じたとされた宇宙が、神によって創造されたものとなったのです。

 中世に入ると、ギリシャ学問は、イスラム文化と接触するまで、忘れられていました。
 12世紀ルネサンスにおいて、アリストテレスの著作はようやく再発見されたのです。

 そして、キリスト教的宇宙像は、アリストテレス的宇宙像と融合していき・・・
 コペルニクス、ケプラー、ガリレオ、ニュートンらの登場によって・・・

 ルネサンス期から近代天文学が成立する過程が、本書の中心的なテーマのようです。
 しかし、その時代については、他の科学史の本でも多く取り上げられています。

 むしろ私には、ギリシャを再発見した人々が宇宙像を変えていく過程が面白かった。
 長い間ずっと、西洋人はキリスト教的宇宙像にとらわれていたのですね。 

 さて、私はこの本を2006年に読みました。当時、宇宙像に興味を持っていました。
 放送大学のテキストとして使われていただけあって、内容は分かりやすかったです。

 しかし、当然ながら記述が教科書的なので、若干物足りなかったです。
 齋藤孝が勧める名著「近代科学を超えて」を、機会を見つけてぜひ読みたいです。


近代科学を超えて (講談社学術文庫)

近代科学を超えて (講談社学術文庫)

  • 作者: 村上 陽一郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1986/11/05
  • メディア: 文庫



 2007年には、「新版 天文学史」(桜井邦明・ちくま学芸文庫)を読んでいました。
 古代の天文学から記されていますが、大半は20世紀の天文学発展の記述です。

 まさに天文学の教科書です。しかも、400ページ以上もあるではないか。
 当時私は40になったばかり。こういう本を読み通すだけの気力が、まだあったのだ!


新版 天文学史 (ちくま学芸文庫)

新版 天文学史 (ちくま学芸文庫)

  • 作者: 桜井 邦朋
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2007/06
  • メディア: 文庫



 さいごに。(家族へのお土産)

 歴女である妻へ、大浦天主堂の金平糖を。当時の宣教師のレシピだと言う。
 娘には、ハウステンボスのレインボー・テディベアを。

yjimage.jpg
05060026_572b6620ebbc2.jpg

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:

文系のための理系読書術 [理系本]

 「文系のための理系読書術」 齋藤孝 (集英社文庫)


 文系にオススメの理系本を、入門書から専門書まで50冊ほどを紹介したものです。
 生物、人体、科学者、数学、化学・物理、活用法の6章で、構成されています。


文系のための理系読書術 (集英社文庫)

文系のための理系読書術 (集英社文庫)

  • 作者: 齋藤 孝
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2017/08/22
  • メディア: 文庫



 大学で文系の生徒に教えている著者は、理系の本をもっと読むように勧めています。
 「今もっとも知的好奇心を沸き立たせてくれるのは、科学の分野だからです。」と。

 専門家でないので、広く浅く、「理系知識の潮干狩り」くらいがいいと言います。
 本書でも、本が幅広く紹介されているので、読みたい本がたくさんできてしまった。

 最も気になった本が、永沢哲の「瞑想する脳科学」(講談社選書メチエ)です。
 「瞑想をして悟りを開いた状態の脳は、どうなっているか」が書かれています。

 齋藤孝は10代の頃から「瞑想によって悟りを開く」ことに興味があったと言います。
 メンタルタフネスの強化法を探す中で、呼吸法やヨガや瞑想に行き着いたとのこと。

 「瞑想というのは、今まで人間が培ってきた文化的に最高の意識状態。これが、今の
 脳科学の研究でどうなっているかがわかる本です。」(P79)と言います。 

 ほか、「ミトコンドリアのちから」(瀬名秀明&太田成男・新潮文庫)も面白そう。
 この本は、「生命とは何か」を、ミトコンドリアの観点から考えているそうです。

 また、「ワンダフル・ライフ」(SJグールド・ハヤカワ文庫)も読んでみたい。
 バージェス頁岩の化石から、生物がどのように進化したかを追求していると言う。

 「新しい生物学の教科書」(池田清彦・新潮文庫)も、とても気になる本です。
 私のように「生物」を履修していなかった者にも、普通に読んで分かるそうです。

 「星界の報告」(ガリレイ・岩波文庫)も、この際ぜひ読まなければと思いました。
 「科学者のありかたとして、憧れを超えて、感動の域にまで達する話」だと言う。

 名著「近代科学を超えて」(村上陽一郎・講談社学術文庫)も、ぜひ読まなければ。
 ちょうど私が大学に入るころ流行っていた本ですが、今では文庫で手に入ります。

 と、挙げていけばきりがありません。「化学の歴史」「量子論がみるみるわかる本」
 「宇宙はなぜこんなにうまくできているのか」「マンガでわかる微分積分」・・・

 著者齋藤孝による理系本の活用法も、とても参考になりました。
 二割理解できれば十分、海鮮丼方式で読めばいい、思考様式に慣れればわかる・・・

 また、齋藤孝がモノサシとする、信頼できる著者についても、参考になりました。
 生物学は池田清彦、脳科学は池谷裕二、量子論は佐藤勝彦、宇宙論は村上斉・・・

 さいごに。(夕暮れのハウステンボス)

 ハウステンボスは、夕暮れの景色がいいと聞いていましたが、その通りでした。
 ただし、帰る時間が決まっていたので、景色を走りながら眺めました。

DSCF9152-2.png
DSCF9160-2.png

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:

138億年宇宙の旅2 [理系本]

 「138億年宇宙の旅(下)」 ガルファール著 塩原通緒訳 (ハヤカワ文庫)


 138億年の宇宙を自在に旅しながら、宇宙論の基本を学べるユニークな本の下巻です。
 文庫の帯の言葉は「ホーキング博士の直弟子によるスリリングな宇宙論入門」です。


138億年宇宙の旅(下) (ハヤカワ文庫NF)

138億年宇宙の旅(下) (ハヤカワ文庫NF)

  • 作者: クリストフ・ガルファール
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2019/06/06
  • メディア: 文庫



 著者が学んだケンブリッジ大学には、当時スティーブン・ホーキング博士がいました。
 博士に誘われて、ブラックホールと宇宙の起源について、研究することになりました。

 この本は、ホーキング博士との研究の成果が、分かりやすい言葉で解説されています。
 ところが下巻に入ると、いっきに数段階も難しくなりました。

 特に分かりにくいのが、量子論が関わる部分です。粒子はあらゆる経路をとる?
 宇宙には無はなく、量子場がある? そこでは仮想粒子が出たり消えたりしている?

 反電子? 反粒子? 反物質? すべてが反物質でできている反世界がある?
 量子の世界では、起こりうることはすべて起こるんだって?

 ハイゼンベルクの不確定性原理。そして有名なシュレーディンガーの猫。
 猫は死んでいると同時に死んでいない。死んでいながら、生きている・・・

 何度読んでも分からないのですが、とにかく気にしないで読み進めました。
 後半は読むペースがガクンと落ちながらも、どうにか最後までたどり着きました。

 下巻では、ブラックホールの中に突入する場面が圧巻でした。
 ロボットの裏切り(?)によって、事象の地平面を越えた「あなた」は・・・

 「あなた」は、そこでどのような光景を目にするのか?
 「あなた」は、いかにしてブラックホールから脱出したのか?

 うまく想像できない場面もありましたが、とてもスリリングな体験ができました。
 目で見えない場面を、「ヨガモード」を使って感じ取るところが、面白いですね。

 この本は数式をほとんど使わず、宇宙を分かりやすく解説してくれました。
 といっても、私が分かったのは半分くらいでしょうか・・・

 10年前に新潮文庫から出た「宇宙創成」は、上巻の半分まで読んで挫折しました。
 この機会に、今一度挑戦してみようか。

 さいごに。(infobar xv 不具合)

 infobar xv に、またもや不具合が生じました。
 常に「圏外」で電話もメールもつながらないという、非常に深刻な問題です。

 一時間奮闘したが、解決せず。しかし、友人に勧められて、再起動してみたら・・・
 なんと、あっけなく解決しました。これを、「困ったときの再起動」と言うらしい。

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:

138億年宇宙の旅1 [理系本]

 「138億年宇宙の旅」 クリストフ・ガルファール著 塩原通緒訳 (ハヤカワ文庫)


 138億年の宇宙を自在に旅しながら、宇宙論の基本を学べるユニークな本です。
 文庫の帯の言葉は「ホーキング博士の直弟子によるスリリングな宇宙論入門」です。


138億年宇宙の旅(上) (ハヤカワ文庫NF)

138億年宇宙の旅(上) (ハヤカワ文庫NF)

  • 作者: クリストフ・ガルファール
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2019/06/06
  • メディア: 文庫



 この本では、これまで読んだどの旅行ガイドよりも、壮大な旅を疑似体験できます。
 太陽系、銀河系はもちろん、宇宙の果てや、50億年後の世界にまで移動するのです。

 あるとき「私」の意識は、太陽の中心部へ飛び込み、熱核融合反応を間近に見ます。
 あるとき「私」は、銀河の中心部で、ブラックホールに飲み込まれそうになります。

 あるとき「私」は、高速で宇宙を飛び、相対性理論の不思議な世界を体感します。
 あるとき「私」は、限りなく小さくなって、量子力学の奇妙な世界を垣間見ます。

 わくわくしたりハラハラしたりしながら、宇宙論の基本的なことを学んでいきます。
 下手なSF小説を読むより、はるかに面白い読書体験ができると思います。

 たとえば、量子のトンネル効果。まるで瞬間移動みたいです。
 手で粒子を捕まえたのに、いつのまにか粒子は抜け出していて・・・

 さて、この上巻はどちらかというと、宇宙論の基本知識を身につける旅でした。
 下巻は、もう少し突っ込んだ話になるようです。下巻も楽しみです。

 ところで、著者クリストフ・ガルファールは、ホーキングの直弟子だと言います。
 同じハヤカワ文庫から、理系本の名作「ホーキング宇宙を語る」も出ています。

 この本がベストセラーになった頃、私はまだ20代だったように思います。
 当時、気合を入れて読んだのですが、正直に言ってよく分かりませんでした。


ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで (ハヤカワ文庫NF)

ホーキング、宇宙を語る―ビッグバンからブラックホールまで (ハヤカワ文庫NF)

  • 作者: スティーヴン・W. ホーキング
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1995/04/01
  • メディア: 文庫



 さいごに。(娘のデビュー戦)

 先日の土曜日、中学生の娘が、陸上の走高跳で競技会に出場しました。
 来てほしくないと言われましたが、私は仕事の合間にこっそり応援に行きました。

 結果は、最初の1m20を3回落として記録なし。なるほど、来てほしくないわけだ。
 しかし、出場したことで自信が付いたようで、元気よく帰ってきました。良かった。

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:

もう牛を食べても安心か [理系本]

 「もう牛を食べても安心か」 福岡伸一 (文春新書)


 2000年代前半の狂牛病問題を分析した上で、新しい生命観を提示しています。
 福岡伸一の最初の新書であり、第1回科学ジャーナリスト賞を受賞しました。


もう牛を食べても安心か (文春新書)

もう牛を食べても安心か (文春新書)

  • 作者: 福岡 伸一
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2004/12/01
  • メディア: 新書



 私はこの本を、宮城哲弥の「新書365冊」(朝日新書)で知りました。
 「新書365冊」は新書本の宝庫ですが、最も印象に残ったのがこの本でした。

 この本は狂牛病の本ではありません。生命観を捉え直す本です!
 宮城の解説がすばらしいので、「新書365冊」から引用させてもらいます。

 心身の造りや働きを分子レヴェルに還元してはじめて、「生命が『流れ』の
 中にある」ことがみえてくる。「全く比喩ではなく」、生の営みは「流れ」
 そのものなのである。/ 狂牛病はその「流れ」に乗して広がった。

 「食べる」とは、分子以下の微視的レヴェルにおいては、私達の体を入れ換
 える行為に他ならないのだ。「私たちの身体は数日間のうちに入れ換わって
 おり、『実態』と呼べるものは何もない。そこにあるのは流れだけなのである。

 というように、生命の本質を「流れ」(!)の中でとらえています。
 そして、この生のメカニズムが「動的平衡」です。

 特に面白いのが、第二章「私たちはなぜ食べ続けるのか」、第三章「消化する
 とき何が起こっているのか」、第五章「動的平衡論から導かれること」です。

 第五章では、「自分自身の身体の所有権」も「自己決定」も危うい、と言う。
 生命が流れだとしたら身体はどこにあるのかと、恐ろしい方向に論は展開する。

 まさに、瞠目の書です。ここで描かれた生命観は、全く予想外のすごさでした。
 「生物と無生物のあいだ」で紹介した通り、この本は私にとって衝撃的でした。
 「生物と無生物のあいだ」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2018-04-27

 さて、福岡が提示する生命観は、西田幾多郎が描いたものと類似しているという。
 大学時代に哲学を専攻し、西田哲学に少しだけ接した私としては、実に興味深い。

 「福岡伸一、西田哲学を読む」は、単行本ですが、私は買って読んでいます。
 対談形式なので話が分かりやすく、内容は非常にスリリングです。


福岡伸一、西田哲学を読む――生命をめぐる思索の旅 動的平衡と絶対矛盾的自己同一

福岡伸一、西田哲学を読む――生命をめぐる思索の旅 動的平衡と絶対矛盾的自己同一

  • 作者: 池田善昭
  • 出版社/メーカー: 明石書店
  • 発売日: 2017/07/07
  • メディア: 単行本



 さいごに。(徒競走なし?)

 娘に走り方を教えたのですが、今年は徒競走が無いのだという。
 残念です! 小学校最後の運動会で、徒競走の応援ができないとは!

 しかし、その日(土曜日)、私の仕事が入ってしまいました。
 残念です! 小学校最後の運動会で、応援に行けないとは!

nice!(4)  コメント(4) 
共通テーマ:

生物と無生物のあいだ [理系本]

 「生物と無生物のあいだ」 福岡伸一 (講談社現代新書)


 分子生物学者が生命とは何かを考察しながら、動的平衡について解説しています。
 2007年に出るや大ベストセラーとなり、2008年第1回新書大賞に輝いた本です。


生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

  • 作者: 福岡 伸一
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2007/05/18
  • メディア: 新書



 本書を終始貫いているのは、「生命とは何か」という問いです。
 生物と無生物を分けているものは、いったい何なのか?

 この問いの出発点となるのが、ウィルスです。
 「ウィルスは生物と無生物のあいだをたゆたう何者かである。」(P37)

 ウィルスは確かに自己複製を行います。しかし、生命特有の律動がありません。
 ウィルスを生物ではないと判断した著者は、改めて問います。生命とは何か?

 著者はこの問いに、「動的平衡」という概念を使って答えます。
 「生命とは、動的平衡にある流れである」(P167)と・・・

 さて、本書は「動的平衡」について分かりやすく述べられているのはもちろん、
 分子生物学の歴史や、研究者の事情や裏話なども描かれていて、とても面白い。

 エイブリー、キャリー・マリス、シュレディーガー、シェーンハイマーらは、
 愛情たっぷりに生き生きと描かれていて、彼らに会いたくなってしまいます。

 また、ポスドクの仕事や、死んだ鳥症候群など、メインでない話もまた面白い。
 ロックフェラー大学の図書館は24時間開いていると知って、感動したり・・・

 しかも、文章が良い。特に比喩を使って分かり やすくイメージさせるのがうまい。
 たとえば、次のような文章で、読者をどんどん引き込ませてくれます。(P8)

 「つまり私たち生命体の身体はプラモデルのような静的なパーツから成り立って
 いる分子機械ではなく、パーツ自体のダイナミックな流れの中に成り立っている。」

 という具合で、この本全体が、読み物としてとてもよくできています。
 著者福岡伸一は、非常に文章のセンスがある方だと思いました。

 なお、本書では、シュレディーガーがとても印象的に描かれていました。
 シュレディーがーの「生命とは何か」(岩波文庫)も読みたくなりました。


生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波文庫)

生命とは何か―物理的にみた生細胞 (岩波文庫)

  • 作者: シュレーディンガー
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2008/05/16
  • メディア: 文庫



 福岡伸一の「もう牛を食べても安心か」(文春新書・絶版)もオススメです。
 私は「動的平衡」について、この本で初めて知ったので、本書以上に衝撃的でした。


もう牛を食べても安心か (文春新書)

もう牛を食べても安心か (文春新書)

  • 作者: 福岡 伸一
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2004/12/01
  • メディア: 新書



 さいごに。(ディズニーの代わりにキッザニア?)

 娘の小学校の修学旅行は、ディズニーランドの代わりにキッザニアになりました。
 職業体験施設です。子供たちは失望していると思いきや、みな歓迎している様子。

 「ディズニーは家族で行くけど、キッザニアは行かないから」という理由らしい。
 うちは、ディズニーに行かせたかったです。家族でディズニーには行かないので。

nice!(4)  コメント(2) 
共通テーマ:
理系本 ブログトップ