ティラン・ロ・ブラン 4 [中世文学]
「ティラン・ロ・ブラン 4」 J・マルトゥレイ作 田澤耕訳 (岩波文庫)
騎士ティラン・ロ・ブランの愛と冒険を、写実的かつ現実的に描いた長編小説です。
2016年に岩波文庫から全四巻で出ました。その最終巻の第4巻です。
ティランは、北アフリカのモーロ人たちの間で、めきめきと頭角を現していきます。
アスカリアヌ王と友情を結び、計略をもってモーロ人の国々を征服していきました。
敵が穴を掘って城内に侵入するのを、ティランはどのように防いだか?
さまよう牛の群れを、ティランはどのようにして味方にしたか?
少ない味方を多く見せるため、ティランは女たちをどのように使ったか?
北アフリカのモーロ人を、ほとんど支配下に加えたあと、再会した意外な人物は?
第三巻のもやもやした展開から一転し、イケイケムードの展開で実に面白いです。
しかし、ギリシャ帝国に帰り、何もかもうまく運んだと思ったそのとき・・・
「今日、この素晴らしい大将殿が命を落とされるようなことがあったら、一体誰が
世界の騎士道を代表する者となるのだ!」(P52)
この言葉が第四巻を象徴しています。ティランの代わりなんていません。
甥のイポリトが後を継ぎますが、彼はただ老いた皇后と結婚しただけですよ。
ティランはまさに「騎士道を支えてきた騎士」です。4巻の帯にはこうあります。
「この騎士が死んでしまえば、この世の騎士道も死滅するであろう」
解説によるとティランのモデルは、14世紀の傭兵隊長ルジェ・ダ・フローとのこと。
「アルムガバルス」という傭兵隊を率いて、オスマントルコに抵抗したと言います。
この傭兵隊もめちゃくちゃ強くて、ギリシア帝国をトルコの脅威から救いました。
ところが、利用されるだけ利用されたあと、皇帝によってだまし討ちに遭ったとか。
さて、「ティラン・ロ・ブラン」が書かれたのは、1490年とのことです。
1453年にはコンスタンチノープルは陥落し、ギリシア帝国が滅亡していました。
オスマントルコの全盛期だったからこそ、このような小説が求められたのでしょう。
当時の読者は、物語の中に、古き良き騎士の時代を、虚しく夢見ていたのでしょう。
さいごに。(トルコ至宝展)
先日の家族旅行では、乃木坂の国立新美術館の「トルコ至宝展」に立ち寄りました。
吊るし飾りには、どでかいエメラルドが三つ。豪華さのスケールが違いました。
また、バラ水を入れる装飾付きの瓶など、騎士道小説でおなじみの物もありました。
バラ水は気付け薬で、物語では人が倒れるたびに、バラ水の瓶が持ち出されました。
騎士ティラン・ロ・ブランの愛と冒険を、写実的かつ現実的に描いた長編小説です。
2016年に岩波文庫から全四巻で出ました。その最終巻の第4巻です。
ティランは、北アフリカのモーロ人たちの間で、めきめきと頭角を現していきます。
アスカリアヌ王と友情を結び、計略をもってモーロ人の国々を征服していきました。
敵が穴を掘って城内に侵入するのを、ティランはどのように防いだか?
さまよう牛の群れを、ティランはどのようにして味方にしたか?
少ない味方を多く見せるため、ティランは女たちをどのように使ったか?
北アフリカのモーロ人を、ほとんど支配下に加えたあと、再会した意外な人物は?
第三巻のもやもやした展開から一転し、イケイケムードの展開で実に面白いです。
しかし、ギリシャ帝国に帰り、何もかもうまく運んだと思ったそのとき・・・
「今日、この素晴らしい大将殿が命を落とされるようなことがあったら、一体誰が
世界の騎士道を代表する者となるのだ!」(P52)
この言葉が第四巻を象徴しています。ティランの代わりなんていません。
甥のイポリトが後を継ぎますが、彼はただ老いた皇后と結婚しただけですよ。
ティランはまさに「騎士道を支えてきた騎士」です。4巻の帯にはこうあります。
「この騎士が死んでしまえば、この世の騎士道も死滅するであろう」
解説によるとティランのモデルは、14世紀の傭兵隊長ルジェ・ダ・フローとのこと。
「アルムガバルス」という傭兵隊を率いて、オスマントルコに抵抗したと言います。
この傭兵隊もめちゃくちゃ強くて、ギリシア帝国をトルコの脅威から救いました。
ところが、利用されるだけ利用されたあと、皇帝によってだまし討ちに遭ったとか。
さて、「ティラン・ロ・ブラン」が書かれたのは、1490年とのことです。
1453年にはコンスタンチノープルは陥落し、ギリシア帝国が滅亡していました。
オスマントルコの全盛期だったからこそ、このような小説が求められたのでしょう。
当時の読者は、物語の中に、古き良き騎士の時代を、虚しく夢見ていたのでしょう。
さいごに。(トルコ至宝展)
先日の家族旅行では、乃木坂の国立新美術館の「トルコ至宝展」に立ち寄りました。
吊るし飾りには、どでかいエメラルドが三つ。豪華さのスケールが違いました。
また、バラ水を入れる装飾付きの瓶など、騎士道小説でおなじみの物もありました。
バラ水は気付け薬で、物語では人が倒れるたびに、バラ水の瓶が持ち出されました。
ティラン・ロ・ブラン 3 [中世文学]
「ティラン・ロ・ブラン 3」 J・マルトゥレイ作 田澤耕訳 (岩波文庫)
騎士ティラン・ロ・ブランの愛と冒険を、写実的かつ現実的に描いた長編小説です。
2016年に岩波文庫から全四巻で出ました。そのうちの第3巻です。
前半は、ギリシア帝国の皇女とティランの、少しもやもやするラブ・ロマンスです。
侍女のプラエールの手引きで、ティランは皇女の寝室に入り込みましたが・・・
後半は一転して、出陣したティランの船が大嵐に遭って、難破してしまう展開です。
北アフリカに着いたティランはモーロ人に仕え・・・プラエールも流されて・・・
第4巻ではプラエールの存在が光ります。ティランの皇女への恋を煽る言葉がいい。
「まず罪を犯し、それから悔い改めればいいのだということをご存知ないのですか?」
皇女のもとにはピウダ・ラプザダという悪女がいて、ティランの陰口をたたきます。
皇女は、彼女のえげつない嘘を平気で信じてしまいますが、14歳だから仕方ないか。
ところがティランもまた、ピウダ・ラプザダの小賢しい計略にはまってしまいます。
そりゃないでしょう。この巻のティランはカッコ悪すぎです。出陣前に足を折るし。
一方、「想いを遂げるためなら悪魔に魂を奪われてもかまいはしない。」とピウダ。
ピウダは、気持ちが良いくらい悪を貫徹させていて、闇の魅力を放っています。
第三巻の大半は、宮廷内のどうでもいいおしゃべりがえんえんと続き、退屈します。
当時の読者は、皇帝・皇后・皇女・騎士らを身近に感じて、楽しめたのでしょうか。
しかし後半、というより終盤、ティランが出陣してから、劇的に展開が変わります。
舞台が北アフリカに移ってから、ティランも物語も本来の輝きを取り戻しました。
第四巻は、いよいよ最終巻です。
このあと、怒涛の展開だと聞いています。楽しみです。
さいごに。(またムキになってしまった)
娘に、「嵐のメンバーは誰か」と言われたのですが、4人しか言えませんでした。
そこで「嵐のメンバーぐらい、全員言えないと恥ずかしいよ。」と言われました。
「それならドリフを全員言ってみろ。これは教養問題だぞ。」と言ってやると、
うちの娘は、志村とカトちゃんしか知らないので、その一言で黙りました。(笑)
騎士ティラン・ロ・ブランの愛と冒険を、写実的かつ現実的に描いた長編小説です。
2016年に岩波文庫から全四巻で出ました。そのうちの第3巻です。
前半は、ギリシア帝国の皇女とティランの、少しもやもやするラブ・ロマンスです。
侍女のプラエールの手引きで、ティランは皇女の寝室に入り込みましたが・・・
後半は一転して、出陣したティランの船が大嵐に遭って、難破してしまう展開です。
北アフリカに着いたティランはモーロ人に仕え・・・プラエールも流されて・・・
第4巻ではプラエールの存在が光ります。ティランの皇女への恋を煽る言葉がいい。
「まず罪を犯し、それから悔い改めればいいのだということをご存知ないのですか?」
皇女のもとにはピウダ・ラプザダという悪女がいて、ティランの陰口をたたきます。
皇女は、彼女のえげつない嘘を平気で信じてしまいますが、14歳だから仕方ないか。
ところがティランもまた、ピウダ・ラプザダの小賢しい計略にはまってしまいます。
そりゃないでしょう。この巻のティランはカッコ悪すぎです。出陣前に足を折るし。
一方、「想いを遂げるためなら悪魔に魂を奪われてもかまいはしない。」とピウダ。
ピウダは、気持ちが良いくらい悪を貫徹させていて、闇の魅力を放っています。
第三巻の大半は、宮廷内のどうでもいいおしゃべりがえんえんと続き、退屈します。
当時の読者は、皇帝・皇后・皇女・騎士らを身近に感じて、楽しめたのでしょうか。
しかし後半、というより終盤、ティランが出陣してから、劇的に展開が変わります。
舞台が北アフリカに移ってから、ティランも物語も本来の輝きを取り戻しました。
第四巻は、いよいよ最終巻です。
このあと、怒涛の展開だと聞いています。楽しみです。
さいごに。(またムキになってしまった)
娘に、「嵐のメンバーは誰か」と言われたのですが、4人しか言えませんでした。
そこで「嵐のメンバーぐらい、全員言えないと恥ずかしいよ。」と言われました。
「それならドリフを全員言ってみろ。これは教養問題だぞ。」と言ってやると、
うちの娘は、志村とカトちゃんしか知らないので、その一言で黙りました。(笑)
ティラン・ロ・ブラン 2 [中世文学]
「ティラン・ロ・ブラン 2」 J・マルトゥレイ作 田澤耕訳 (岩波文庫)
騎士ティラン・ロ・ブランの愛と冒険を、写実的かつ現実的に描いた長編小説です。
2016年に岩波文庫から全四巻で出ました。そのうちの第2巻です。
コンスタンチノーブルからシチリア王に、ティランの助力を請う手紙が来ました。
皇帝じきじきの依頼にティランは喜んで承諾し、さっそく帝国に赴きました。
コンスタンチノーブルに着くと、皇帝はその場でティランに元帥の杖を渡しました。
「そちに帝国全体を任せ、そちを軍と司法を統率する元帥に任命しようぞ」
元帥となったティランは、寝台に寝ていた皇女カルマジーナ姫に一目惚れしました。
「恋をしているんだ」と言って、目からぽろぽろ涙を流し始めるティラン・・・
今までにない展開です。そして、ティランと姫の会話がぐだぐだ入ります。
喜んだり、悲しんだり、怒ったり、謝ったり。茶番はやめて、とっとと出陣しろ!
戦場では、味方であるマケドニア公爵に、妨害されたり、命を狙われたりします。
卑劣で強欲でずる賢いサイテーな公爵。だが、こういう人物が物語を面白くする。
早く死んでくれ、早く死んでくれ、と思うのですが、マケドニア公爵はしぶとい。
しかし、いなくなってしまうと寂しい。こういう悪役は、物語には必要なのですね。
一方、敵陣のアブダラー・ソロモンとは、敵味方を超えた微妙な交流が始まります。
敵でありながら善良であっぱれな騎士。こういう人物が、物語を格段に面白くする。
アブダラー・ソロモンは、ティランらの求めに応じて、心からの助言を与えます。
彼の話は次第に熱がこもってきます。また、時にはなかなか洒落たことも言います。
「結局のところ、この世は危険と苦難が載った食卓のようなものだ、ということを
悟ることが大事です。その食卓に軽々しく着いてはなりません。」(P209)
ところで、第二巻における名場面(迷場面)の第一は、皇女の肌着の場面でしょう。
ティランいわく、あなたの肌着をいただきたい、この手で脱がせていただきたいと。
与える皇女も皇女です。ティランはその肌着を、鎧の上からまとってしまう(!)。
皇帝は、ティランの姿を見て、「我が元帥よ、その陣羽織はいったい何だ?」・・・
なお、第二巻の最後で、なぜかアーサー王が、ちらっと登場します。
ここだけ幻想的で異質な場面でした。アーサー王の登場にはどんな意味があるのか?
さて、第三巻では、後半から全く新しい展開となり、ぐっと面白くなると言います。
ちょっと楽しみです。
さいごに。(「おら」は誰のせい?)
最近自分のことを「おら」と言ってしまうことが多くて、不思議に思っていました。
謎が解けました。職場の近くの席の年配の方が、よく「おら」と言っているのです。
私が、「おら」と言ってしまうのは、あの人の口癖が移ってしまっていたのだ!
妻には「おら」禁止令を出されました。「おじさん化 ストップ運動」だとか。
騎士ティラン・ロ・ブランの愛と冒険を、写実的かつ現実的に描いた長編小説です。
2016年に岩波文庫から全四巻で出ました。そのうちの第2巻です。
コンスタンチノーブルからシチリア王に、ティランの助力を請う手紙が来ました。
皇帝じきじきの依頼にティランは喜んで承諾し、さっそく帝国に赴きました。
コンスタンチノーブルに着くと、皇帝はその場でティランに元帥の杖を渡しました。
「そちに帝国全体を任せ、そちを軍と司法を統率する元帥に任命しようぞ」
元帥となったティランは、寝台に寝ていた皇女カルマジーナ姫に一目惚れしました。
「恋をしているんだ」と言って、目からぽろぽろ涙を流し始めるティラン・・・
今までにない展開です。そして、ティランと姫の会話がぐだぐだ入ります。
喜んだり、悲しんだり、怒ったり、謝ったり。茶番はやめて、とっとと出陣しろ!
戦場では、味方であるマケドニア公爵に、妨害されたり、命を狙われたりします。
卑劣で強欲でずる賢いサイテーな公爵。だが、こういう人物が物語を面白くする。
早く死んでくれ、早く死んでくれ、と思うのですが、マケドニア公爵はしぶとい。
しかし、いなくなってしまうと寂しい。こういう悪役は、物語には必要なのですね。
一方、敵陣のアブダラー・ソロモンとは、敵味方を超えた微妙な交流が始まります。
敵でありながら善良であっぱれな騎士。こういう人物が、物語を格段に面白くする。
アブダラー・ソロモンは、ティランらの求めに応じて、心からの助言を与えます。
彼の話は次第に熱がこもってきます。また、時にはなかなか洒落たことも言います。
「結局のところ、この世は危険と苦難が載った食卓のようなものだ、ということを
悟ることが大事です。その食卓に軽々しく着いてはなりません。」(P209)
ところで、第二巻における名場面(迷場面)の第一は、皇女の肌着の場面でしょう。
ティランいわく、あなたの肌着をいただきたい、この手で脱がせていただきたいと。
与える皇女も皇女です。ティランはその肌着を、鎧の上からまとってしまう(!)。
皇帝は、ティランの姿を見て、「我が元帥よ、その陣羽織はいったい何だ?」・・・
なお、第二巻の最後で、なぜかアーサー王が、ちらっと登場します。
ここだけ幻想的で異質な場面でした。アーサー王の登場にはどんな意味があるのか?
さて、第三巻では、後半から全く新しい展開となり、ぐっと面白くなると言います。
ちょっと楽しみです。
さいごに。(「おら」は誰のせい?)
最近自分のことを「おら」と言ってしまうことが多くて、不思議に思っていました。
謎が解けました。職場の近くの席の年配の方が、よく「おら」と言っているのです。
私が、「おら」と言ってしまうのは、あの人の口癖が移ってしまっていたのだ!
妻には「おら」禁止令を出されました。「おじさん化 ストップ運動」だとか。
ティラン・ロ・ブラン 1 [中世文学]
「ティラン・ロ・ブラン 1」 J・マルトゥレイ作 田澤耕訳 (岩波文庫)
騎士ティラン・ロ・ブランの愛と冒険を、写実的かつ現実的に描いた長編小説です。
「ドン・キホーテが読みふけり正気を失う原因となった世界一の騎士道小説」です。
2016年に岩波文庫から刊行されました。1冊1200円前後なので4巻で4800円です。
かつて広辞苑のような分厚いで、17280円で出ていたことを考えるとお買い得です。
イングランド王とフランス王女との婚約が決まり、武術試合の開催が決まりました。
ティラン・ロ・ブラン一行は、宮廷に行く途中、隠者から様々なことを学びました。
婚礼の祝宴からの帰途、再び隠者を訪れた一行は、ティランの活躍を語ります。
ティランはいかに戦い、いかに勝ったか。いかにして、最高の騎士の称号を得たか。
世界中にその名を鳴り響かせたティランは、その後ロードス島の救援に向かいます。
モーロ人の包囲網を突破し、奇策を用いてモーロ人を撤退させ・・・
イングランドへ、シチリア島へ、ロードス島へ、フランスへ・・・
さすが、ドン・キホーテを狂わせた物語。ティランの八面六臂の活躍はありえない。
ところがこの物語は、当時の騎士道物語に比べては、とても現実的なのだそうです。
そう言われると、確かに「アーサー王」と違って、魔法使いや妖怪は出てきません。
そして、宮廷生活や武術試合などの描写が、細かすぎるぐらい細かくてリアルです。
このリアルさは作品の価値を高めていますが、同時に物語を退屈にもしています。
婚礼の祝宴の様子をえんえんと語ったり、宮廷の食事の場面をいちいち述べたり。
物語の展開上、必要でしょうか? 当時の資料としては、重要かもしれませんが。
また、会話文が多いのも特徴です。おしゃべりが長くて、なかなか先に進みません。
ごちゃごちゃ言ってないでさっさと戦えと、何度か叱りつけたくなりました。
ところで、第一巻で最も面白かったのは、冒頭の「隠者王」の活躍の部分でした。
ウォーウィック伯ウィリアムは、いかにしてイングランドを救ったか・・・
勝手ながら私は、隠者がティランの父親だと思い、劇的な展開を予想していました。
しかしティランと血筋の関係はなく、途中で退場してしまうので、少し驚きました。
さて第二巻では、ティランが恋に落ち、いよいよ恋愛ロマンスが始まると言います。
恋の相手は、なんとコンスタンチノーブルの皇帝の娘?!・・・楽しみです。
さいごに。(アイスティーしか飲まなくなった理由)
仕事が早く終わってカフェに寄るとき、最近はアイスティーしか飲みません。
その理由は、私の場合、コーヒーを飲むと眠くなって、本が読めなくなるからです。
ブラックで飲めなくて、砂糖をたっぷり入れてしまうのが、悪いのかもしれません。
アイスティーはシロップを入れないで飲むためか、本を読んでも眠くならないです。
騎士ティラン・ロ・ブランの愛と冒険を、写実的かつ現実的に描いた長編小説です。
「ドン・キホーテが読みふけり正気を失う原因となった世界一の騎士道小説」です。
2016年に岩波文庫から刊行されました。1冊1200円前後なので4巻で4800円です。
かつて広辞苑のような分厚いで、17280円で出ていたことを考えるとお買い得です。
イングランド王とフランス王女との婚約が決まり、武術試合の開催が決まりました。
ティラン・ロ・ブラン一行は、宮廷に行く途中、隠者から様々なことを学びました。
婚礼の祝宴からの帰途、再び隠者を訪れた一行は、ティランの活躍を語ります。
ティランはいかに戦い、いかに勝ったか。いかにして、最高の騎士の称号を得たか。
世界中にその名を鳴り響かせたティランは、その後ロードス島の救援に向かいます。
モーロ人の包囲網を突破し、奇策を用いてモーロ人を撤退させ・・・
イングランドへ、シチリア島へ、ロードス島へ、フランスへ・・・
さすが、ドン・キホーテを狂わせた物語。ティランの八面六臂の活躍はありえない。
ところがこの物語は、当時の騎士道物語に比べては、とても現実的なのだそうです。
そう言われると、確かに「アーサー王」と違って、魔法使いや妖怪は出てきません。
そして、宮廷生活や武術試合などの描写が、細かすぎるぐらい細かくてリアルです。
このリアルさは作品の価値を高めていますが、同時に物語を退屈にもしています。
婚礼の祝宴の様子をえんえんと語ったり、宮廷の食事の場面をいちいち述べたり。
物語の展開上、必要でしょうか? 当時の資料としては、重要かもしれませんが。
また、会話文が多いのも特徴です。おしゃべりが長くて、なかなか先に進みません。
ごちゃごちゃ言ってないでさっさと戦えと、何度か叱りつけたくなりました。
ところで、第一巻で最も面白かったのは、冒頭の「隠者王」の活躍の部分でした。
ウォーウィック伯ウィリアムは、いかにしてイングランドを救ったか・・・
勝手ながら私は、隠者がティランの父親だと思い、劇的な展開を予想していました。
しかしティランと血筋の関係はなく、途中で退場してしまうので、少し驚きました。
さて第二巻では、ティランが恋に落ち、いよいよ恋愛ロマンスが始まると言います。
恋の相手は、なんとコンスタンチノーブルの皇帝の娘?!・・・楽しみです。
さいごに。(アイスティーしか飲まなくなった理由)
仕事が早く終わってカフェに寄るとき、最近はアイスティーしか飲みません。
その理由は、私の場合、コーヒーを飲むと眠くなって、本が読めなくなるからです。
ブラックで飲めなくて、砂糖をたっぷり入れてしまうのが、悪いのかもしれません。
アイスティーはシロップを入れないで飲むためか、本を読んでも眠くならないです。
中世文学のベスト20を選びました2018 [中世文学]
「文学全集 第Ⅷ集 中世編」
私のライフワークは、文庫本で自分だけの文学全集をそろえることです。
その「文学全集」の第Ⅰ集から第Ⅵ集は、以下のように完成しています。
第Ⅰ集「19世紀フランス編」(20作)・2010年
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2010-10-23
第Ⅱ集「19世紀イギリス編」(20作)・2011年
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-08-04
第Ⅲ集「19世紀ロシア編」(20作)・・2012年
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2012-12-22
第Ⅳ集「19世紀ドイツ北欧編」(20作)2013年
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-11-09
第Ⅴ集「19世紀アメリカ編」(10作)・2014年
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2014-08-06-1
第Ⅵ集「18世紀編」(10作)・・・・・2015年
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2015-09-25-2
第Ⅶ集「古代編」(20作)・・・・・・・2016年
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2016-12-27
昨年2017年と今年2018年の2年間は、第Ⅷ集「中世編」選出の年でした。
昨年暫定的に決めた、中世編の西洋文学の収録候補は以下のとおりです。
「アラビアン・ナイト(選集)」「ベーオウルフ」「ローランの歌」
「ニーベルンゲンの歌」「エル・シードの歌」「神曲」「デカメロン」
「カンタベリー物語」「アーサー王の死(選集)」
「ガルガンチュア」と「パンタグリュエル」「エルサレム解放」
選出の経緯については、以下のページを参照してください。
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-12-26
→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-12-28・
以上、西洋の作品に、東洋の中世文学を加えて、決定版を作ります。
今年2018年までに紹介した、東洋の中世文学は、以下のとおりです。
「遊仙窟」「西遊記」「金瓶梅」「水滸伝」「捜神記」「唐詩」「封神演義」
「十八史略」「三国志演義」「源氏物語」「とりかえばや物語」「落窪物語」
「日本書紀」「古事記」「竹取物語」「万葉集」「伊勢物語」「徒然草」
「西行物語」「かげろふ日記」「枕草子」「方丈記」「今物語」「平家物語」
中国四大奇書「西遊記」「金瓶梅」「水滸伝」「三国志演義」は外せません。
史書の集大成的な作品である「十八史略」も、個人的には絶対入れたいです。
また、8世紀においてすでに洗練の極みに達した「唐詩」も入れたいです。
以上で、中国文学から6作。「捜神記」等は収録できそうにありません。
日本の古典では、「源氏物語」と「平家物語」は絶対に外せないでしょう。
まだ紹介していませんが、物語集の集大成である「今昔物語集」も入れたい。
以上で、ちょうど中世文学は20作になります。日本文学からは3作。
「伊勢物語」「徒然草」「枕草子」等は収録できそうにありません。
しばし待て。騎士道小説の傑作「ティラン・ロ・ブラン」が入っていない!
岩波文庫から出た時から、読まないうちに私の中では採用されている作品です。
これで21作。どの作品を外すか? 考えた末「水滸伝」を外すことにしました。
中国四大奇書の中では、個人的には最も弱い作品でした。(抄訳だったから?)
以上で、「文学全集 第Ⅷ集 中世編」が決定しました。
収録作品と採用の文庫は、以下のとおりです。
1「アラビアン・ナイト(選集)」(9世紀頃・イスラム)岩波少年文庫2冊
→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-11-04
2「ベーオウルフ」(1000年頃・英)岩波文庫
→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2014-08-20-1
3「ローランの歌」(11世紀・仏)ちくま文庫
→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-01-14
4「ニーベルンゲンの歌」(1205年頃・独)ちくま文庫2冊
→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-05-11-1
5「エル・シードの歌」(1207年頃・西)岩波文庫
→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-03-03
6「神曲」ダンテ(1308年頃・伊)河出文庫3冊
→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-08-10
https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-08-16
7「デカメロン」ボッカッチョ(1353年・伊)河出文庫3冊
→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-07-01
https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-08-04
https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-09-10
8「カンタベリー物語」チョーサー(14世紀・英)岩波文庫3冊
→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-09-22
https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-10-26
9「アーサー王の死(選集)」マロリー(15世紀後半・英)ちくま文庫
→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-02-10
10「ティラン・ロ・ブラン」J・マルトゥレイ(1490・西)岩波文庫4冊
→ 未読
11「ガルガンチュア」と「パンタグリュエル」ラブレー2冊
(1534年1532年・仏)ちくま文庫
→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-12-08
https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-12-21
12「エルサレム解放」タッソ(1581年・伊)岩波文庫
→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-08-01
13「中国名詩選(中)」(8世紀・中)岩波文庫
→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2018-05-12
14「源氏物語」紫式部(11世紀初頭・日)新潮文庫3冊
→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-02-19
15「今昔物語集(抄訳)」(12世紀)ちくま文庫
→ 未読
16「平家物語」(13世紀初頭)岩波現代文庫2冊
→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2018-12-22
17「三国志演義」羅貫中(14世紀・中)講談社学術文庫4冊
→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2018-10-16
https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2018-11-01
https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2018-11-16
https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2018-12-01
18「十八史略」曾先之(14世紀・中)徳間文庫5冊
→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2018-05-27
https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2018-09-16
19「西遊記(抄訳)」呉承恩(16世紀・中)光文社文庫2冊
→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2018-02-02
https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2018-02-08
20「金瓶梅(抄訳)」蘭陵笑笑生(16世紀末・中)ちくま文庫
→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2018-02-11
https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03
https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2018-03-18
https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2018-04-05
「ティラン・ロ・ブラン」と「今昔物語」については、来年読みたいです。
「源氏物語」は、林望の「謹訳」が全て文庫化されたら読み直したいです。
さいごに。(プレゼントがいらない理由)
娘が、クリスマスプレゼントはいらないと言ったのには、理由がありました。
今後、新しくHei! Say! JUMPの何かが出た時、それを買ってほしいからです。
突然ライブのDVD等が出たとき、「クリスマスプレゼント代わりに買って」と、
そう言うつもりらしいです。なるほど。そういうことだったのか・・・
私のライフワークは、文庫本で自分だけの文学全集をそろえることです。
その「文学全集」の第Ⅰ集から第Ⅵ集は、以下のように完成しています。
第Ⅰ集「19世紀フランス編」(20作)・2010年
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2010-10-23
第Ⅱ集「19世紀イギリス編」(20作)・2011年
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-08-04
第Ⅲ集「19世紀ロシア編」(20作)・・2012年
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2012-12-22
第Ⅳ集「19世紀ドイツ北欧編」(20作)2013年
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-11-09
第Ⅴ集「19世紀アメリカ編」(10作)・2014年
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2014-08-06-1
第Ⅵ集「18世紀編」(10作)・・・・・2015年
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2015-09-25-2
第Ⅶ集「古代編」(20作)・・・・・・・2016年
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2016-12-27
昨年2017年と今年2018年の2年間は、第Ⅷ集「中世編」選出の年でした。
昨年暫定的に決めた、中世編の西洋文学の収録候補は以下のとおりです。
「アラビアン・ナイト(選集)」「ベーオウルフ」「ローランの歌」
「ニーベルンゲンの歌」「エル・シードの歌」「神曲」「デカメロン」
「カンタベリー物語」「アーサー王の死(選集)」
「ガルガンチュア」と「パンタグリュエル」「エルサレム解放」
選出の経緯については、以下のページを参照してください。
→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-12-26
→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-12-28・
以上、西洋の作品に、東洋の中世文学を加えて、決定版を作ります。
今年2018年までに紹介した、東洋の中世文学は、以下のとおりです。
「遊仙窟」「西遊記」「金瓶梅」「水滸伝」「捜神記」「唐詩」「封神演義」
「十八史略」「三国志演義」「源氏物語」「とりかえばや物語」「落窪物語」
「日本書紀」「古事記」「竹取物語」「万葉集」「伊勢物語」「徒然草」
「西行物語」「かげろふ日記」「枕草子」「方丈記」「今物語」「平家物語」
中国四大奇書「西遊記」「金瓶梅」「水滸伝」「三国志演義」は外せません。
史書の集大成的な作品である「十八史略」も、個人的には絶対入れたいです。
また、8世紀においてすでに洗練の極みに達した「唐詩」も入れたいです。
以上で、中国文学から6作。「捜神記」等は収録できそうにありません。
日本の古典では、「源氏物語」と「平家物語」は絶対に外せないでしょう。
まだ紹介していませんが、物語集の集大成である「今昔物語集」も入れたい。
以上で、ちょうど中世文学は20作になります。日本文学からは3作。
「伊勢物語」「徒然草」「枕草子」等は収録できそうにありません。
しばし待て。騎士道小説の傑作「ティラン・ロ・ブラン」が入っていない!
岩波文庫から出た時から、読まないうちに私の中では採用されている作品です。
これで21作。どの作品を外すか? 考えた末「水滸伝」を外すことにしました。
中国四大奇書の中では、個人的には最も弱い作品でした。(抄訳だったから?)
以上で、「文学全集 第Ⅷ集 中世編」が決定しました。
収録作品と採用の文庫は、以下のとおりです。
1「アラビアン・ナイト(選集)」(9世紀頃・イスラム)岩波少年文庫2冊
→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-11-04
2「ベーオウルフ」(1000年頃・英)岩波文庫
→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2014-08-20-1
3「ローランの歌」(11世紀・仏)ちくま文庫
→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-01-14
4「ニーベルンゲンの歌」(1205年頃・独)ちくま文庫2冊
→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-05-11-1
5「エル・シードの歌」(1207年頃・西)岩波文庫
→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-03-03
6「神曲」ダンテ(1308年頃・伊)河出文庫3冊
→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-08-10
https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-08-16
7「デカメロン」ボッカッチョ(1353年・伊)河出文庫3冊
→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-07-01
https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-08-04
https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-09-10
8「カンタベリー物語」チョーサー(14世紀・英)岩波文庫3冊
→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-09-22
https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-10-26
9「アーサー王の死(選集)」マロリー(15世紀後半・英)ちくま文庫
→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-02-10
10「ティラン・ロ・ブラン」J・マルトゥレイ(1490・西)岩波文庫4冊
→ 未読
11「ガルガンチュア」と「パンタグリュエル」ラブレー2冊
(1534年1532年・仏)ちくま文庫
→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-12-08
https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-12-21
12「エルサレム解放」タッソ(1581年・伊)岩波文庫
→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-08-01
13「中国名詩選(中)」(8世紀・中)岩波文庫
→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2018-05-12
14「源氏物語」紫式部(11世紀初頭・日)新潮文庫3冊
→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-02-19
15「今昔物語集(抄訳)」(12世紀)ちくま文庫
→ 未読
16「平家物語」(13世紀初頭)岩波現代文庫2冊
→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2018-12-22
17「三国志演義」羅貫中(14世紀・中)講談社学術文庫4冊
→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2018-10-16
https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2018-11-01
https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2018-11-16
https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2018-12-01
18「十八史略」曾先之(14世紀・中)徳間文庫5冊
→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2018-05-27
https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2018-09-16
19「西遊記(抄訳)」呉承恩(16世紀・中)光文社文庫2冊
→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2018-02-02
https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2018-02-08
20「金瓶梅(抄訳)」蘭陵笑笑生(16世紀末・中)ちくま文庫
→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2018-02-11
https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2018-03-03
https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2018-03-18
https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2018-04-05
「ティラン・ロ・ブラン」と「今昔物語」については、来年読みたいです。
「源氏物語」は、林望の「謹訳」が全て文庫化されたら読み直したいです。
さいごに。(プレゼントがいらない理由)
娘が、クリスマスプレゼントはいらないと言ったのには、理由がありました。
今後、新しくHei! Say! JUMPの何かが出た時、それを買ってほしいからです。
突然ライブのDVD等が出たとき、「クリスマスプレゼント代わりに買って」と、
そう言うつもりらしいです。なるほど。そういうことだったのか・・・
三国志演義4 [中世文学]
「三国志演義(四)」 羅貫中 井波律子訳 (講談社学術文庫)
魏呉蜀の三国時代を舞台にした講談を、明時代にまとめて成立した歴史小説です。
ここでは、最も新しい講談社学術文庫(全4巻)の井波律子訳を紹介します。
講談社学術文庫版(四)には、第九十一回から第百二十回までが収められています。
出師の表、北伐、街亭の敗北、趙雲の死、諸葛孔明の死、司馬仲達の死、蜀滅亡・・・
この巻が最終巻です。すでに第三巻で、劉備・関羽・張飛は亡くなっていました。
だから、この巻はおまけだと思っていたけど、とんでもない! 結構面白かったです。
特に前半、蜀の諸葛孔明と魏の司馬仲達との駆け引きは、大きな読みどころでした。
孔明の反間の計、街亭の戦い、五丈原の戦い、死せる孔明生ける仲達を走らす・・・
5回にわたる北伐の中で、蜀も魏も完全に世代交代し、巻の後半は終焉に向かいます。
後半の読みどころは、姜維(きょうい)と鄧艾(とうがい)の駆け引きでしょう。
魏呉蜀が、戦いでなく、お家騒動で衰退していく過程は、なんとも寂しい限りです。
終盤でキラリと光るエピソードが、陸抗と羊祜(ようこ)の不思議な信頼関係です。
敵に贈られた酒を疑うことなく飲む羊祜。敵から贈られた薬を疑うことなく飲む陸抗。
敵味方を超えて、お互いにリスペクトし合う二人。この「男の世界」にしびれます!
さて、この巻の中で、私が最も興味深く思った人物は、裏切り者の魏延です。
忠義の将が多い蜀では、異色の存在ですが、魏延のことを考えると悲しくなります。
劉備のために働きながら、「反骨の相」ゆえに、孔明に斬られそうになりました。
蜀のために活躍しながらも、孔明からは裏切るのではないかと、疑われ続けました。
それゆえ魏延は、劉備の取り巻きになじめず、孤独を感じていたのではないか?
もしかしたら、孔明は、魏延が裏切るようにしむけてしまったのではないか?
孔明が反骨の相などにこだわらず、心から信頼していたら魏延は変わったのでは?
暖かい触れ合いがあったら、魏延は自分自身を成長させることができたのでは?
思うに、魏延は最初から見限られていたため、成長する機会を与えられなかった。
魏延を生かせなかったことが、孔明の最大の失敗だったように思えてしまいます。
ところで、三国志演義全4巻を読み通すにあたって、参考にした本があります。
三国志ナビ(新潮文庫)です。
主な戦いについて、流れが地図で示されていて、とても分かりやすいです。
できれば全120回のあらすじを入れてもらえると、さらに良かったです。
さいごに。(会話に入れない)
娘と妻でジャニーズの会話になると、時々わけのわからない言葉が飛び交います。
「セクゾ」とか「ディーディー」とか「タンオリ」とか・・・会話に入れません。
魏呉蜀の三国時代を舞台にした講談を、明時代にまとめて成立した歴史小説です。
ここでは、最も新しい講談社学術文庫(全4巻)の井波律子訳を紹介します。
講談社学術文庫版(四)には、第九十一回から第百二十回までが収められています。
出師の表、北伐、街亭の敗北、趙雲の死、諸葛孔明の死、司馬仲達の死、蜀滅亡・・・
この巻が最終巻です。すでに第三巻で、劉備・関羽・張飛は亡くなっていました。
だから、この巻はおまけだと思っていたけど、とんでもない! 結構面白かったです。
特に前半、蜀の諸葛孔明と魏の司馬仲達との駆け引きは、大きな読みどころでした。
孔明の反間の計、街亭の戦い、五丈原の戦い、死せる孔明生ける仲達を走らす・・・
5回にわたる北伐の中で、蜀も魏も完全に世代交代し、巻の後半は終焉に向かいます。
後半の読みどころは、姜維(きょうい)と鄧艾(とうがい)の駆け引きでしょう。
魏呉蜀が、戦いでなく、お家騒動で衰退していく過程は、なんとも寂しい限りです。
終盤でキラリと光るエピソードが、陸抗と羊祜(ようこ)の不思議な信頼関係です。
敵に贈られた酒を疑うことなく飲む羊祜。敵から贈られた薬を疑うことなく飲む陸抗。
敵味方を超えて、お互いにリスペクトし合う二人。この「男の世界」にしびれます!
さて、この巻の中で、私が最も興味深く思った人物は、裏切り者の魏延です。
忠義の将が多い蜀では、異色の存在ですが、魏延のことを考えると悲しくなります。
劉備のために働きながら、「反骨の相」ゆえに、孔明に斬られそうになりました。
蜀のために活躍しながらも、孔明からは裏切るのではないかと、疑われ続けました。
それゆえ魏延は、劉備の取り巻きになじめず、孤独を感じていたのではないか?
もしかしたら、孔明は、魏延が裏切るようにしむけてしまったのではないか?
孔明が反骨の相などにこだわらず、心から信頼していたら魏延は変わったのでは?
暖かい触れ合いがあったら、魏延は自分自身を成長させることができたのでは?
思うに、魏延は最初から見限られていたため、成長する機会を与えられなかった。
魏延を生かせなかったことが、孔明の最大の失敗だったように思えてしまいます。
ところで、三国志演義全4巻を読み通すにあたって、参考にした本があります。
三国志ナビ(新潮文庫)です。
主な戦いについて、流れが地図で示されていて、とても分かりやすいです。
できれば全120回のあらすじを入れてもらえると、さらに良かったです。
さいごに。(会話に入れない)
娘と妻でジャニーズの会話になると、時々わけのわからない言葉が飛び交います。
「セクゾ」とか「ディーディー」とか「タンオリ」とか・・・会話に入れません。
三国志演義3 [中世文学]
「三国志演義(三)」 羅貫中 井波律子訳 (講談社学術文庫)
魏呉蜀の三国時代を舞台にした講談を、明時代にまとめて成立した歴史小説です。
ここでは、最も新しい講談社学術文庫(全4巻)の井波律子訳を紹介します。
講談社学術文庫版(三)には、第六十一回から第九十回までが収められています。
益州と漢中支配、関羽の死、張飛の死、曹操の死、蜀建国、呉に敗北、劉備の死・・・
第三巻の前半は、劉備が益州と漢中を支配し、一大勢力となった全盛期を描きます。
しかし後半は、関羽が死に、張飛が死に、劉備も死に、いっきに衰退へ向かいます。
また、この巻では曹操も死に、これまで物語の中心人物たちが一気に退場しました。
魏では曹丕が、蜀では諸葛孔明が中心となり、物語の大きな転換点を迎えました。
さて私はこれまで、関羽は完璧な人、張飛はおっちょこちょい、と思っていました。
しかし第三巻を読んで、私の持っていた二人のイメージが、大きく覆されました。
特に張飛は、「義によって厳顔を許す」ことで、劉備の危機を救いました。
また、酔ったふりをして敵を欺くなど、並みの人物ではできない計略を用いました。
おそらく張飛は、劉備・関羽・孔明に感化され、この時期に急成長したのでしょう。
そしてこの時期、4人の歯車が一番かみ合っていたからこそ全盛期を迎えたのです。
しかしそれもつかのま、意外にも、完璧なはずの関羽から、ほころびが生じました。
関羽の慢心によって荊州は取られ、関羽は関平とともに斬られてしまいました。
桃園の誓い以来、三人は一体ですから、一人が死ねば他の二人も崩れてしまいます。
これが義兄弟で行動することの限界でしょう。張飛も劉備もすぐ後を追ってしまう。
私は、この三人が死んだ場面で、「三国志演義」は終わっても良かったと思います。
南蛮を攻略し、五丈原で戦い、蜀が滅亡する過程は、この物語のおまけですよ。
しかしあと三十回分も物語を残しています。「三国志演義」は第四巻へと続きます。
ここまで読んだのだから、もちろん最後まで読みます。
余談ですが、第三巻は転換点なので、人物が次から次に入れ替わってたいへんです。
冒頭の登場人物リストは10ページにわたっていて、眺めるだけで酔ってしまいそう。
さいごに。(超ムーの世界)
毎週日曜日の20時から、BS12で「超ムーの世界R」が放送されています。
宇宙人が人類を監視しているとか、UFOは異次元からやってくるとか・・・
毎回私が感心しながら番組を見て、娘と妻は呆れながらそんな私を見ています。
久しぶりにオカルト雑誌「ムー」を買ってみようかと思っています。
魏呉蜀の三国時代を舞台にした講談を、明時代にまとめて成立した歴史小説です。
ここでは、最も新しい講談社学術文庫(全4巻)の井波律子訳を紹介します。
講談社学術文庫版(三)には、第六十一回から第九十回までが収められています。
益州と漢中支配、関羽の死、張飛の死、曹操の死、蜀建国、呉に敗北、劉備の死・・・
第三巻の前半は、劉備が益州と漢中を支配し、一大勢力となった全盛期を描きます。
しかし後半は、関羽が死に、張飛が死に、劉備も死に、いっきに衰退へ向かいます。
また、この巻では曹操も死に、これまで物語の中心人物たちが一気に退場しました。
魏では曹丕が、蜀では諸葛孔明が中心となり、物語の大きな転換点を迎えました。
さて私はこれまで、関羽は完璧な人、張飛はおっちょこちょい、と思っていました。
しかし第三巻を読んで、私の持っていた二人のイメージが、大きく覆されました。
特に張飛は、「義によって厳顔を許す」ことで、劉備の危機を救いました。
また、酔ったふりをして敵を欺くなど、並みの人物ではできない計略を用いました。
おそらく張飛は、劉備・関羽・孔明に感化され、この時期に急成長したのでしょう。
そしてこの時期、4人の歯車が一番かみ合っていたからこそ全盛期を迎えたのです。
しかしそれもつかのま、意外にも、完璧なはずの関羽から、ほころびが生じました。
関羽の慢心によって荊州は取られ、関羽は関平とともに斬られてしまいました。
桃園の誓い以来、三人は一体ですから、一人が死ねば他の二人も崩れてしまいます。
これが義兄弟で行動することの限界でしょう。張飛も劉備もすぐ後を追ってしまう。
私は、この三人が死んだ場面で、「三国志演義」は終わっても良かったと思います。
南蛮を攻略し、五丈原で戦い、蜀が滅亡する過程は、この物語のおまけですよ。
しかしあと三十回分も物語を残しています。「三国志演義」は第四巻へと続きます。
ここまで読んだのだから、もちろん最後まで読みます。
余談ですが、第三巻は転換点なので、人物が次から次に入れ替わってたいへんです。
冒頭の登場人物リストは10ページにわたっていて、眺めるだけで酔ってしまいそう。
さいごに。(超ムーの世界)
毎週日曜日の20時から、BS12で「超ムーの世界R」が放送されています。
宇宙人が人類を監視しているとか、UFOは異次元からやってくるとか・・・
毎回私が感心しながら番組を見て、娘と妻は呆れながらそんな私を見ています。
久しぶりにオカルト雑誌「ムー」を買ってみようかと思っています。
三国志演義2 [中世文学]
「三国志演義(二)」 羅貫中 井波律子訳 (講談社学術文庫)
魏呉蜀の三国時代を舞台にした講談を、明時代にまとめて成立した歴史小説です。
ここでは、最も新しい講談社学術文庫(全4巻)の井波律子訳を紹介します。
講談社学術文庫版(二)には、第三十一回から第六十回までが収められています。
三顧の礼、天下三分の計、赤壁の戦い、荊州四郡の獲得、潼関の戦い、そして入蜀。
この巻で圧倒的な存在感を示すのは、なんといっても諸葛孔明です。さすが伏龍!
特に赤壁の戦いでは、一夜で10万本の矢を得、三日で東風を呼び起こしました。
ところが、物語を彩るこれらのエピソードは、どちらも虚構なのだそうです。
かつて読んだ吉川英治版では、これらの場面がとても印象的だったのですが。
ところで、年をとったせいか、今回読み直してみると孔明の計略が鼻につきました。
荊州に居座って言を左右し、魯粛を振り回す場面は、あまり紳士とは言えません。
諸葛孔明は、魯粛の善良さに付け入ったとしか思えません。実に身勝手ですよ。
劉備がグズだから、軍師として仕方なくやったことなのかもしれませんが・・・
その一方で非常に好感が持てたのが、お人好しと言っていいほど善良な魯粛でした。
魯粛は呉に忠義を尽くすのはもちろん、ライバルの劉備にも誠実に振る舞います。
周瑜と孔明の間を、右往左往するところは、善良すぎてまるで道化のようです。
しかし決して笑えません。こんな良い人を苦しめる孔明に違和感を覚えました。
さて、孔明に次いで印象的な人物が、周瑜です。彼こそ、呉の国の大黒柱でしょう。
赤壁の戦いの勝利は、なんといっても周瑜の苦肉の計と水軍があったからこそです。
蔣幹にわざと手紙を盗ませる(演義の虚構だというが)場面など、実に周瑜らしい。
呉の天下統一のための壮大な計画を抱いていた点でも、並みの人物ではありません。
卑怯な手段で孔明の命を狙っていたのも、誠心誠意呉のためを思っていたからこそ。
36歳で病死してしまったのがもったいないです。もっと活躍してほしかったです。
第60回で、「三国志演義」はちょうど半分。今ようやく、劉備が蜀に入りました。
これで、三国鼎立の基礎ができつつあります。後半も楽しみです。
さいごに。(修学旅行に出発)
今朝、娘は、小学校最大のイベントである修学旅行に出発します。
昨夜、持ち物の最終チェックを、何度も何度もしていました。
行き先の不満はあるようですが、それでもやはりとてもワクワクしているようです。
楽しい思い出をたくさん作って帰ってきてほしいです。
魏呉蜀の三国時代を舞台にした講談を、明時代にまとめて成立した歴史小説です。
ここでは、最も新しい講談社学術文庫(全4巻)の井波律子訳を紹介します。
講談社学術文庫版(二)には、第三十一回から第六十回までが収められています。
三顧の礼、天下三分の計、赤壁の戦い、荊州四郡の獲得、潼関の戦い、そして入蜀。
この巻で圧倒的な存在感を示すのは、なんといっても諸葛孔明です。さすが伏龍!
特に赤壁の戦いでは、一夜で10万本の矢を得、三日で東風を呼び起こしました。
ところが、物語を彩るこれらのエピソードは、どちらも虚構なのだそうです。
かつて読んだ吉川英治版では、これらの場面がとても印象的だったのですが。
ところで、年をとったせいか、今回読み直してみると孔明の計略が鼻につきました。
荊州に居座って言を左右し、魯粛を振り回す場面は、あまり紳士とは言えません。
諸葛孔明は、魯粛の善良さに付け入ったとしか思えません。実に身勝手ですよ。
劉備がグズだから、軍師として仕方なくやったことなのかもしれませんが・・・
その一方で非常に好感が持てたのが、お人好しと言っていいほど善良な魯粛でした。
魯粛は呉に忠義を尽くすのはもちろん、ライバルの劉備にも誠実に振る舞います。
周瑜と孔明の間を、右往左往するところは、善良すぎてまるで道化のようです。
しかし決して笑えません。こんな良い人を苦しめる孔明に違和感を覚えました。
さて、孔明に次いで印象的な人物が、周瑜です。彼こそ、呉の国の大黒柱でしょう。
赤壁の戦いの勝利は、なんといっても周瑜の苦肉の計と水軍があったからこそです。
蔣幹にわざと手紙を盗ませる(演義の虚構だというが)場面など、実に周瑜らしい。
呉の天下統一のための壮大な計画を抱いていた点でも、並みの人物ではありません。
卑怯な手段で孔明の命を狙っていたのも、誠心誠意呉のためを思っていたからこそ。
36歳で病死してしまったのがもったいないです。もっと活躍してほしかったです。
第60回で、「三国志演義」はちょうど半分。今ようやく、劉備が蜀に入りました。
これで、三国鼎立の基礎ができつつあります。後半も楽しみです。
さいごに。(修学旅行に出発)
今朝、娘は、小学校最大のイベントである修学旅行に出発します。
昨夜、持ち物の最終チェックを、何度も何度もしていました。
行き先の不満はあるようですが、それでもやはりとてもワクワクしているようです。
楽しい思い出をたくさん作って帰ってきてほしいです。
三国志演義1 [中世文学]
「三国志演義」 羅貫中 井波律子訳 (講談社学術文庫)
魏呉蜀の三国時代を舞台にした講談を、明時代にまとめて成立した歴史小説です。
中国四大奇書の筆頭です。日本では吉川英治の小説や横山光輝の漫画で有名です。
講談社学術文庫(全4巻)から出ている井波律子訳が、最も新しい訳です。
文章はとても分かりやすいです。魅力的な挿し絵が1回に2枚ずつ入っています。
私は大学生の頃、講談社文庫から出ていた吉川英治の「三国志」を読みました。
社会人になってすぐ、コミックで出始めた横山光輝の「三国志」を読みました。
どちらもとても面白くて、夜に読み始めると、よく徹夜になってしまいました。
だから、私にとって「三国志」といったら、吉川栄治版の「三国志」でした。
あれから30年近くたって、ようやく羅貫中の「三国志演義」を読み始めました。
原典はとっつきにくいかと思いきや、これまた、めちゃくちゃ面白いです。
「三国志演義」は、明時代に古くからある多くの講談をまとめて成立しました。
だから、ストーリーも膨大なもので、全120回となっています。
講談社学術文庫版の(一)には、第一回から第三十回までが収められています。
桃園の誓い、黄巾の乱、董卓の乱、曹操・孫策・劉備の台頭、そして官渡の戦い。
この巻で最も存在感があるのは曹操です。まさに「治世の能臣、乱世の奸雄」。
天下統一という壮大な目的のためには、「ためらわず、手段を選ばず」です。
曹操の人物を象徴する有名な逸話が、恩人呂伯奢(りょはくしゃ)の殺害です。
「私が天下の人を裏切ろうとも、天下の人に私を裏切るような真似はさせぬ」
この事件で陳宮と袂を分かちますが、曹操と陳宮との関わりが実に味わい深い。
呂布を補佐する陳宮を苦々しく思いながらも、曹操は受けた恩を忘れなかった。
曹操が陳宮を助けたいと思いながらも、泣きながら斬るところは名場面です。
こういう男気に、我々男どもはしびれてしまうのです。
また、曹操が敵将である関羽を降伏させ、自軍で大切に扱う場面も印象的です。
結局関羽は立ち去りますが、曹操が関羽との関わりで得たものは大きかった。
「貴公はわしの友人、上下関係などない」と、敵で無官の許攸を迎えました。
このような対応は、関羽との触れ合いで養われたものだと、私は考えています。
そして許攸が加わったことで、曹操は天下分け目の官渡の戦いに勝利しました。
第1回から第30回までの間に、曹操の勢力も曹操自身も本当にでっかくなった。
極めつけは第30回の最後で語られる、スパイの証拠文書を焼く場面でしょう。
よほど器が大きな人間でなければ、できることではありません。
一方で、劉備のスケールはひと回り小さい。彼はただのお人よしにすぎません。
それどころか、時々「アホか」とつっこみたくなってしまいます。
例えば、陶謙に徐州を譲られたにもかかわらず、あっさり呂布に譲ろうとする。
のちには呂布に乗っ取られる。だからこそ、関羽と張飛が引き立つのだけれど。
ところで、この本に掲載されている挿し絵は、すべてかわいらしいです。
中でも呂布は、なぜか実にかわいいです。P382の呂布なんてサイコーです。
さいごに。(声をかけないで)
先日、朝の旗振り当番がありました。娘は小6なので、おそらくこれが最後です。
娘には、「恥ずかしいから、みんなの前で声をかけないで」と言われていました。
ところが娘の集団が来たとき、嬉しくなって思わず「オッス」と言ってしまった。
それだけなのに、娘からは「すごく恥ずかしい思いをした」と言われました。
小さい頃は、「パパ!」と言って、手を振ってくれたものですが・・・
魏呉蜀の三国時代を舞台にした講談を、明時代にまとめて成立した歴史小説です。
中国四大奇書の筆頭です。日本では吉川英治の小説や横山光輝の漫画で有名です。
講談社学術文庫(全4巻)から出ている井波律子訳が、最も新しい訳です。
文章はとても分かりやすいです。魅力的な挿し絵が1回に2枚ずつ入っています。
私は大学生の頃、講談社文庫から出ていた吉川英治の「三国志」を読みました。
社会人になってすぐ、コミックで出始めた横山光輝の「三国志」を読みました。
どちらもとても面白くて、夜に読み始めると、よく徹夜になってしまいました。
だから、私にとって「三国志」といったら、吉川栄治版の「三国志」でした。
あれから30年近くたって、ようやく羅貫中の「三国志演義」を読み始めました。
原典はとっつきにくいかと思いきや、これまた、めちゃくちゃ面白いです。
「三国志演義」は、明時代に古くからある多くの講談をまとめて成立しました。
だから、ストーリーも膨大なもので、全120回となっています。
講談社学術文庫版の(一)には、第一回から第三十回までが収められています。
桃園の誓い、黄巾の乱、董卓の乱、曹操・孫策・劉備の台頭、そして官渡の戦い。
この巻で最も存在感があるのは曹操です。まさに「治世の能臣、乱世の奸雄」。
天下統一という壮大な目的のためには、「ためらわず、手段を選ばず」です。
曹操の人物を象徴する有名な逸話が、恩人呂伯奢(りょはくしゃ)の殺害です。
「私が天下の人を裏切ろうとも、天下の人に私を裏切るような真似はさせぬ」
この事件で陳宮と袂を分かちますが、曹操と陳宮との関わりが実に味わい深い。
呂布を補佐する陳宮を苦々しく思いながらも、曹操は受けた恩を忘れなかった。
曹操が陳宮を助けたいと思いながらも、泣きながら斬るところは名場面です。
こういう男気に、我々男どもはしびれてしまうのです。
また、曹操が敵将である関羽を降伏させ、自軍で大切に扱う場面も印象的です。
結局関羽は立ち去りますが、曹操が関羽との関わりで得たものは大きかった。
「貴公はわしの友人、上下関係などない」と、敵で無官の許攸を迎えました。
このような対応は、関羽との触れ合いで養われたものだと、私は考えています。
そして許攸が加わったことで、曹操は天下分け目の官渡の戦いに勝利しました。
第1回から第30回までの間に、曹操の勢力も曹操自身も本当にでっかくなった。
極めつけは第30回の最後で語られる、スパイの証拠文書を焼く場面でしょう。
よほど器が大きな人間でなければ、できることではありません。
一方で、劉備のスケールはひと回り小さい。彼はただのお人よしにすぎません。
それどころか、時々「アホか」とつっこみたくなってしまいます。
例えば、陶謙に徐州を譲られたにもかかわらず、あっさり呂布に譲ろうとする。
のちには呂布に乗っ取られる。だからこそ、関羽と張飛が引き立つのだけれど。
ところで、この本に掲載されている挿し絵は、すべてかわいらしいです。
中でも呂布は、なぜか実にかわいいです。P382の呂布なんてサイコーです。
さいごに。(声をかけないで)
先日、朝の旗振り当番がありました。娘は小6なので、おそらくこれが最後です。
娘には、「恥ずかしいから、みんなの前で声をかけないで」と言われていました。
ところが娘の集団が来たとき、嬉しくなって思わず「オッス」と言ってしまった。
それだけなのに、娘からは「すごく恥ずかしい思いをした」と言われました。
小さい頃は、「パパ!」と言って、手を振ってくれたものですが・・・
十八史略2 [中世文学]
「十八史略3・4・5」 曾先之著 丸山松幸・西野広祥訳 (徳間文庫)
伝説時代から南宋までの18の史書を、簡潔にまとめた中国歴史の入門書です。
14世紀前半に曾先之によって作られ、明の陳殷によって注釈が施されました。
第一巻と第二巻については、すでに紹介しました。
「十八史略1」→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2018-05-27
第三巻は、後漢滅亡から、三国鼎立を経て、晋統一ののち、再び混乱の時代へ。
世が混乱してくると、目まぐるしく社会が変わるため、頭の中も混乱してきます。
さて、王莽については、王朝の簒奪者として、否定的なイメージが強かったです。
しかし実際は、ひたすら徳行を積み学問に励む、とてもまじめな人だったのです。
ところが、そういうまじめすぎる人ほど、おかしな間違いをしてしまうものです。
「祭器の威力で、反乱軍をおさえつけることができる」と、信じてしまうとは。
第三巻における読みどころは、やはり三国志の時代でしょう。
曹操、孫権、劉備、そして諸葛亮。「三国志演義」を早く読みたくなりました。
続く第四巻では、隋の統一から唐の安定期を経て、再び混乱の時代へ移ります。
この時代も、個性的で魅力的な英雄たちが続々と登場します。中国は人材が豊富。
中国を久々に統一した隋の楊堅。やりたい放題やって国を滅ぼした二代目の煬帝。
名君の誉れ高い唐の李世民。その後、一時的に国を簒奪した女傑、則天武后。
名君なのか迷君なのか判断に迷う玄宗。国を乱した、楊貴妃と、安禄山。
讒言に倒れた名宰相・大将軍たち。誅殺された宦官たち・・・
この時代の中国は、遣隋使と遣唐使によって、日本に大きな影響を与えました。
そのためかこの巻は、読んでいてとても身近に感じました。
第五巻は、宋の統一から、金による侵略、元の興隆、南宋の滅亡までです。
社会が目まぐるしく変わっていくありさまが、よく分かります。
宋王朝三百年の基礎を作った、太祖趙匡胤(ちょうきょいん)と太宗趙匡義。
宋代の士風を作り出した士大夫階級。改革派の王安石、保守派の司馬光。
講和派の秦檜(しんかい)と抗戦派の岳飛。
金を建国したアクダ、元を建国したチンギス・ハーン。
そして、国の衰亡時に必ず現れる乱臣、利権政治の賈似道(かじどう)。
一方で、傾く国を最後まで守り続けた忠臣、張世傑と文天祥。
「十八史略」の最後を飾る南宋滅亡の場面は、平家物語に似て涙を誘います。
特に、最後まで義を貫いた文天祥! 著者の筆にも力が入っています。
「人と生まれ、むかしから死ななかった者があろうか
一片の誠心をこの世にとどめ、歴史にかすかな灯をともしたい」(P362)
さいごに。(修学旅行コース)
娘の小学校の修学旅行は、それはないだろうと言いたくなるようなコースです。
特に1日目は、国会議事堂、最高裁判所、キッザニア、狂言鑑賞(!)・・・
昨年は東京ドームシティがあり、一昨年はディズニーランドがあったのですが。
修学旅行が近づいても、うちの子は全くテンションが上がってきません。
伝説時代から南宋までの18の史書を、簡潔にまとめた中国歴史の入門書です。
14世紀前半に曾先之によって作られ、明の陳殷によって注釈が施されました。
第一巻と第二巻については、すでに紹介しました。
「十八史略1」→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2018-05-27
第三巻は、後漢滅亡から、三国鼎立を経て、晋統一ののち、再び混乱の時代へ。
世が混乱してくると、目まぐるしく社会が変わるため、頭の中も混乱してきます。
さて、王莽については、王朝の簒奪者として、否定的なイメージが強かったです。
しかし実際は、ひたすら徳行を積み学問に励む、とてもまじめな人だったのです。
ところが、そういうまじめすぎる人ほど、おかしな間違いをしてしまうものです。
「祭器の威力で、反乱軍をおさえつけることができる」と、信じてしまうとは。
第三巻における読みどころは、やはり三国志の時代でしょう。
曹操、孫権、劉備、そして諸葛亮。「三国志演義」を早く読みたくなりました。
続く第四巻では、隋の統一から唐の安定期を経て、再び混乱の時代へ移ります。
この時代も、個性的で魅力的な英雄たちが続々と登場します。中国は人材が豊富。
中国を久々に統一した隋の楊堅。やりたい放題やって国を滅ぼした二代目の煬帝。
名君の誉れ高い唐の李世民。その後、一時的に国を簒奪した女傑、則天武后。
名君なのか迷君なのか判断に迷う玄宗。国を乱した、楊貴妃と、安禄山。
讒言に倒れた名宰相・大将軍たち。誅殺された宦官たち・・・
この時代の中国は、遣隋使と遣唐使によって、日本に大きな影響を与えました。
そのためかこの巻は、読んでいてとても身近に感じました。
第五巻は、宋の統一から、金による侵略、元の興隆、南宋の滅亡までです。
社会が目まぐるしく変わっていくありさまが、よく分かります。
宋王朝三百年の基礎を作った、太祖趙匡胤(ちょうきょいん)と太宗趙匡義。
宋代の士風を作り出した士大夫階級。改革派の王安石、保守派の司馬光。
講和派の秦檜(しんかい)と抗戦派の岳飛。
金を建国したアクダ、元を建国したチンギス・ハーン。
そして、国の衰亡時に必ず現れる乱臣、利権政治の賈似道(かじどう)。
一方で、傾く国を最後まで守り続けた忠臣、張世傑と文天祥。
「十八史略」の最後を飾る南宋滅亡の場面は、平家物語に似て涙を誘います。
特に、最後まで義を貫いた文天祥! 著者の筆にも力が入っています。
「人と生まれ、むかしから死ななかった者があろうか
一片の誠心をこの世にとどめ、歴史にかすかな灯をともしたい」(P362)
さいごに。(修学旅行コース)
娘の小学校の修学旅行は、それはないだろうと言いたくなるようなコースです。
特に1日目は、国会議事堂、最高裁判所、キッザニア、狂言鑑賞(!)・・・
昨年は東京ドームシティがあり、一昨年はディズニーランドがあったのですが。
修学旅行が近づいても、うちの子は全くテンションが上がってきません。