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星と祭 [日本の近代文学]

 「星と祭」 井上靖 (角川文庫)


 琵琶湖で娘を亡くした男が、湖北の十一面観音を巡り、心の平安を得る物語です。
 この作品で、湖北の十一面観音たちは、全国的に知られるようになりました。

 以前は角川文庫から出ていましたが、現在は絶版。私は20年ほど前に読みました。
 解説は、角川文庫の発刊者である故・角川源義。ぜひこの本を復刊してほしい。


星と祭 (角川文庫 い 5-4)

星と祭 (角川文庫 い 5-4)

  • 作者: 井上 靖
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 1975/03
  • メディア: 文庫



 貿易会社社長の架山は、七年前に先妻との間にできた娘を亡くしていました。
 娘のみはるは、琵琶湖でボート遊びをしていて、転覆事故に遭ったのです。

 みはるも、同乗していた年上の青年も、亡きがらは湖面に上がりませんでした。
 架山は悲嘆にくれ、青年の父親である大三浦に対して、憤りを感じていました。

 7年後、事故後初めて琵琶湖を訪れた架山は、偶然大三浦と再会しました。
 大三浦に連れられて、琵琶湖周辺の十一面観音を巡ってみると・・・

 この本を紹介してくれたのは、前の職場にいた、仏像仲間の同僚でした。
 彼は、奈良と京都ばかりを訪れてきた自分に、湖北の魅力を教えてくれました。

 この本を持って、渡岸寺や石道寺などを巡ったのは、20年近く前のことです。
 もちろん独身時代のことです。あのような贅沢はもう二度とできないでしょう。

 さて、小説の最初では、娘の死によって苦悩する架山の様子が描かれています。
 みはるの死を、古代の殯(もがり=仮葬)と見なすところは、さすが井上靖。

 みはるが生者でも死者でもないことに、意味を求めようとする・・・
 古代の人が挽歌を歌ったように、架山はみはると心の中で言葉を交わし・・・

 手元の角川文庫版202ぺージの「宝冠」の章から、琵琶湖古寺巡りが始まります。
 ここから、十一面観音巡礼がスタートします。仏像ファンにはたまらない!

 この小説の中で、主人公の架山が拝んだ十一面観音は、以下の13体だと思います。
 私が拝んだのは、その中で三体か四体です。いつか全て拝みたいです。

 渡岸寺、石道寺、福林寺、赤後寺、盛安寺、宗正寺、充満寺、医王寺、善隆寺、
 蓮長寺、円満寺、鶏足寺、長命寺。

 小説の最後で、架山と大三浦が、出会った十一面観音を一体一体現前させます。
 そして、長かった仮葬の期間は終わります。とても印象に残る場面でした。

 「つらなる星のように、十一面観音は湖を取り巻いて置かれ、一人の若者と
 一人の少女の霊は祀られたのである。」(P601)

渡岸寺十一面観音頭部左.jpg

 湖北を旅した時、「湖北 佛めぐり」という文庫サイズの写真集も携えました。
 序文を井上靖が書いています。モノクロですが、美しい仏像写真集です。


湖北 佛めぐり (京都書院アーツコレクション)

湖北 佛めぐり (京都書院アーツコレクション)

  • 作者: 駒澤 〓道
  • 出版社/メーカー: 京都書院
  • 発売日: 1999/11
  • メディア: 文庫



 さいごに。(スタバのチョコプリン)

 スタバに行って、新作のプリンを食べようとしましたが、売り切れていました。
 そのお店に聞いたところ、開店と同時に売り切れてしまうのだそうです。

 ちなみに、開店と同時に行ったとしても、買えないらしい。
 開店前から並んでいる人が、買い占めてしまうという。そこまでしなくても!

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