十八史略2 [中世文学]
「十八史略3・4・5」 曾先之著 丸山松幸・西野広祥訳 (徳間文庫)
伝説時代から南宋までの18の史書を、簡潔にまとめた中国歴史の入門書です。
14世紀前半に曾先之によって作られ、明の陳殷によって注釈が施されました。
第一巻と第二巻については、すでに紹介しました。
「十八史略1」→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2018-05-27
第三巻は、後漢滅亡から、三国鼎立を経て、晋統一ののち、再び混乱の時代へ。
世が混乱してくると、目まぐるしく社会が変わるため、頭の中も混乱してきます。
さて、王莽については、王朝の簒奪者として、否定的なイメージが強かったです。
しかし実際は、ひたすら徳行を積み学問に励む、とてもまじめな人だったのです。
ところが、そういうまじめすぎる人ほど、おかしな間違いをしてしまうものです。
「祭器の威力で、反乱軍をおさえつけることができる」と、信じてしまうとは。
第三巻における読みどころは、やはり三国志の時代でしょう。
曹操、孫権、劉備、そして諸葛亮。「三国志演義」を早く読みたくなりました。
続く第四巻では、隋の統一から唐の安定期を経て、再び混乱の時代へ移ります。
この時代も、個性的で魅力的な英雄たちが続々と登場します。中国は人材が豊富。
中国を久々に統一した隋の楊堅。やりたい放題やって国を滅ぼした二代目の煬帝。
名君の誉れ高い唐の李世民。その後、一時的に国を簒奪した女傑、則天武后。
名君なのか迷君なのか判断に迷う玄宗。国を乱した、楊貴妃と、安禄山。
讒言に倒れた名宰相・大将軍たち。誅殺された宦官たち・・・
この時代の中国は、遣隋使と遣唐使によって、日本に大きな影響を与えました。
そのためかこの巻は、読んでいてとても身近に感じました。
第五巻は、宋の統一から、金による侵略、元の興隆、南宋の滅亡までです。
社会が目まぐるしく変わっていくありさまが、よく分かります。
宋王朝三百年の基礎を作った、太祖趙匡胤(ちょうきょいん)と太宗趙匡義。
宋代の士風を作り出した士大夫階級。改革派の王安石、保守派の司馬光。
講和派の秦檜(しんかい)と抗戦派の岳飛。
金を建国したアクダ、元を建国したチンギス・ハーン。
そして、国の衰亡時に必ず現れる乱臣、利権政治の賈似道(かじどう)。
一方で、傾く国を最後まで守り続けた忠臣、張世傑と文天祥。
「十八史略」の最後を飾る南宋滅亡の場面は、平家物語に似て涙を誘います。
特に、最後まで義を貫いた文天祥! 著者の筆にも力が入っています。
「人と生まれ、むかしから死ななかった者があろうか
一片の誠心をこの世にとどめ、歴史にかすかな灯をともしたい」(P362)
さいごに。(修学旅行コース)
娘の小学校の修学旅行は、それはないだろうと言いたくなるようなコースです。
特に1日目は、国会議事堂、最高裁判所、キッザニア、狂言鑑賞(!)・・・
昨年は東京ドームシティがあり、一昨年はディズニーランドがあったのですが。
修学旅行が近づいても、うちの子は全くテンションが上がってきません。
伝説時代から南宋までの18の史書を、簡潔にまとめた中国歴史の入門書です。
14世紀前半に曾先之によって作られ、明の陳殷によって注釈が施されました。
第一巻と第二巻については、すでに紹介しました。
「十八史略1」→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2018-05-27
第三巻は、後漢滅亡から、三国鼎立を経て、晋統一ののち、再び混乱の時代へ。
世が混乱してくると、目まぐるしく社会が変わるため、頭の中も混乱してきます。
さて、王莽については、王朝の簒奪者として、否定的なイメージが強かったです。
しかし実際は、ひたすら徳行を積み学問に励む、とてもまじめな人だったのです。
ところが、そういうまじめすぎる人ほど、おかしな間違いをしてしまうものです。
「祭器の威力で、反乱軍をおさえつけることができる」と、信じてしまうとは。
第三巻における読みどころは、やはり三国志の時代でしょう。
曹操、孫権、劉備、そして諸葛亮。「三国志演義」を早く読みたくなりました。
続く第四巻では、隋の統一から唐の安定期を経て、再び混乱の時代へ移ります。
この時代も、個性的で魅力的な英雄たちが続々と登場します。中国は人材が豊富。
中国を久々に統一した隋の楊堅。やりたい放題やって国を滅ぼした二代目の煬帝。
名君の誉れ高い唐の李世民。その後、一時的に国を簒奪した女傑、則天武后。
名君なのか迷君なのか判断に迷う玄宗。国を乱した、楊貴妃と、安禄山。
讒言に倒れた名宰相・大将軍たち。誅殺された宦官たち・・・
この時代の中国は、遣隋使と遣唐使によって、日本に大きな影響を与えました。
そのためかこの巻は、読んでいてとても身近に感じました。
第五巻は、宋の統一から、金による侵略、元の興隆、南宋の滅亡までです。
社会が目まぐるしく変わっていくありさまが、よく分かります。
宋王朝三百年の基礎を作った、太祖趙匡胤(ちょうきょいん)と太宗趙匡義。
宋代の士風を作り出した士大夫階級。改革派の王安石、保守派の司馬光。
講和派の秦檜(しんかい)と抗戦派の岳飛。
金を建国したアクダ、元を建国したチンギス・ハーン。
そして、国の衰亡時に必ず現れる乱臣、利権政治の賈似道(かじどう)。
一方で、傾く国を最後まで守り続けた忠臣、張世傑と文天祥。
「十八史略」の最後を飾る南宋滅亡の場面は、平家物語に似て涙を誘います。
特に、最後まで義を貫いた文天祥! 著者の筆にも力が入っています。
「人と生まれ、むかしから死ななかった者があろうか
一片の誠心をこの世にとどめ、歴史にかすかな灯をともしたい」(P362)
さいごに。(修学旅行コース)
娘の小学校の修学旅行は、それはないだろうと言いたくなるようなコースです。
特に1日目は、国会議事堂、最高裁判所、キッザニア、狂言鑑賞(!)・・・
昨年は東京ドームシティがあり、一昨年はディズニーランドがあったのですが。
修学旅行が近づいても、うちの子は全くテンションが上がってきません。
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