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聊斎志異2 [17世紀文学]

 「聊斎志異(下)」 蒲松齢作 立間祥介編訳 (岩波文庫)


 清代に世間で口伝されていた、神仙・幽鬼・妖怪の怪異譚を小説化したものです。
 岩波文庫から抄訳が二分冊で出ています。文章は分かりやすく挿絵もあります。


聊斎志異〈下〉 (岩波文庫)

聊斎志異〈下〉 (岩波文庫)

  • 作者: 蒲 松齢
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1997/02/17
  • メディア: 文庫



 「巻五の八 酒の精」は、酒虫(しゅちゅう)という興味深い妖精?の話です。
 酒飲みの男が、思わず喉から吐き出したものは、三寸ばかりの赤い虫で・・・

 「巻五の二十七 冥土の殺人」は、幽鬼の女とあの世に出かけた男の物語です。
 事の成り行きで、あの世の役人を殺してしまい、この世に逃れていたが・・・

 「巻六の四十四 すっぽん大王」もまた、とても興味深い話です。
 馮という男が、すっぽん大王に酒をおごり、お礼として与えられたものは・・・

 「口からひとりの一寸あまりのこびとを吐き出すと、きゅっと馮の腕をつねった。
 (中略)急いでそのこびとをそこへ押しつけた。手を離すとこびとはすでに皮の
 中にはいっていた・・・」(P163) それ以後、馮には特別な力が宿り・・・

 「巻七の二十九 甄(しん)夫人と劉楨(りゅうてい)」もまた、面白いです。
 劉楨は若いころ頭が弱かったが、あるとき仙女が現れて、意外なことを言います。

 「わたくしが一度瑶地の宴に行ってきたあいだに、あなたは何度も生まれ変わっ
 て、あのすばらしいおつむもすっかり使い果たしてしまわれたのですね」(P194)

 そのほか下巻も、「月下老人」「天上の宮」「痣の下の美玉」と佳作ぞろいです。
 中でも、我々本好きにとって最も興味深いのは、「巻十一の三 書中の美女」。

 玉柱の家は書物で溢れていましたが、彼はそれをとても大事に扱っていました。
 というのも玉柱は、書物の中には本物の家や食べ物があると考えていたからです。

 玉柱は妻をめとらず、書物から麗人が現れるのをひたすら待ち望んでいました。
 ある日、書物を眺めていると、紙面からひとりの美人が、急に起き上がりました。

 以後、玉柱の妻となり、彼が科挙に受かるため、さまざまな支援をしますが・・・ 
 そういう幽鬼だったら、ぜひ会ってみたいものです。

 さて、岩波文庫版「聊斎志異」は、全490編のうち、92編をセレクトしています。
 訳は分かりやすくて良かったです。また、挿し絵は味わい深いものでした。

 ところが、ツウの間では、一昔前の柴田天馬訳が、高い評価を得ているようです。
 作品の雰囲気が出ていてすばらしいと言うが、角川文庫の完訳版は絶版でした。

 ちくま学芸文庫から、柴田の抄訳版が出ていましたが、こちらも絶版のようです。
 キンドルで復刻版が出ましたが、それだけ根強いファンがいる証拠ですね。


聊斎志異〈第1巻〉―完訳 (1955年) (角川文庫)

聊斎志異〈第1巻〉―完訳 (1955年) (角川文庫)

  • 作者: 蒲 松齢
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1955/02/10
  • メディア: 文庫



【復刻版】柴田天馬「完訳 聊斎志異」第1巻(蒲松齢著) (響林社文庫)

【復刻版】柴田天馬「完訳 聊斎志異」第1巻(蒲松齢著) (響林社文庫)

  • 出版社/メーカー: 響林社
  • 発売日: 2017/01/07
  • メディア: Kindle版



和訳 聊斎志異 (ちくま学芸文庫)

和訳 聊斎志異 (ちくま学芸文庫)

  • 作者: 蒲 松齢
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2012/05/01
  • メディア: 文庫



 さいごに。(町内の運動会)

 今年わが町内会は、総合2位でした。惜しかった!
 途中経過では、わずか数点差ながら首位だったので。

 今年うちの娘は6年生。いっしょに運動会に出るのは、最後かもしれません。
 娘といっしょに出た、ゴルフ・リレーと町内対抗リレーは、良い思い出です。

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