SSブログ

三国志演義2 [中世文学]

 「三国志演義(二)」 羅貫中 井波律子訳 (講談社学術文庫)


 魏呉蜀の三国時代を舞台にした講談を、明時代にまとめて成立した歴史小説です。
 ここでは、最も新しい講談社学術文庫(全4巻)の井波律子訳を紹介します。


三国志演義 (二) (講談社学術文庫)

三国志演義 (二) (講談社学術文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/10/11
  • メディア: 文庫



 講談社学術文庫版(二)には、第三十一回から第六十回までが収められています。
 三顧の礼、天下三分の計、赤壁の戦い、荊州四郡の獲得、潼関の戦い、そして入蜀。

 この巻で圧倒的な存在感を示すのは、なんといっても諸葛孔明です。さすが伏龍!
 特に赤壁の戦いでは、一夜で10万本の矢を得、三日で東風を呼び起こしました。

 ところが、物語を彩るこれらのエピソードは、どちらも虚構なのだそうです。
 かつて読んだ吉川英治版では、これらの場面がとても印象的だったのですが。

 ところで、年をとったせいか、今回読み直してみると孔明の計略が鼻につきました。
 荊州に居座って言を左右し、魯粛を振り回す場面は、あまり紳士とは言えません。

 諸葛孔明は、魯粛の善良さに付け入ったとしか思えません。実に身勝手ですよ。
 劉備がグズだから、軍師として仕方なくやったことなのかもしれませんが・・・

 その一方で非常に好感が持てたのが、お人好しと言っていいほど善良な魯粛でした。
 魯粛は呉に忠義を尽くすのはもちろん、ライバルの劉備にも誠実に振る舞います。

 周瑜と孔明の間を、右往左往するところは、善良すぎてまるで道化のようです。
 しかし決して笑えません。こんな良い人を苦しめる孔明に違和感を覚えました。

 さて、孔明に次いで印象的な人物が、周瑜です。彼こそ、呉の国の大黒柱でしょう。
 赤壁の戦いの勝利は、なんといっても周瑜の苦肉の計と水軍があったからこそです。

 蔣幹にわざと手紙を盗ませる(演義の虚構だというが)場面など、実に周瑜らしい。
 呉の天下統一のための壮大な計画を抱いていた点でも、並みの人物ではありません。

 卑怯な手段で孔明の命を狙っていたのも、誠心誠意呉のためを思っていたからこそ。
 36歳で病死してしまったのがもったいないです。もっと活躍してほしかったです。

 第60回で、「三国志演義」はちょうど半分。今ようやく、劉備が蜀に入りました。
 これで、三国鼎立の基礎ができつつあります。後半も楽しみです。

 さいごに。(修学旅行に出発)

 今朝、娘は、小学校最大のイベントである修学旅行に出発します。
 昨夜、持ち物の最終チェックを、何度も何度もしていました。

 行き先の不満はあるようですが、それでもやはりとてもワクワクしているようです。
 楽しい思い出をたくさん作って帰ってきてほしいです。

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。