ティラン・ロ・ブラン 2 [中世文学]
「ティラン・ロ・ブラン 2」 J・マルトゥレイ作 田澤耕訳 (岩波文庫)
騎士ティラン・ロ・ブランの愛と冒険を、写実的かつ現実的に描いた長編小説です。
2016年に岩波文庫から全四巻で出ました。そのうちの第2巻です。
コンスタンチノーブルからシチリア王に、ティランの助力を請う手紙が来ました。
皇帝じきじきの依頼にティランは喜んで承諾し、さっそく帝国に赴きました。
コンスタンチノーブルに着くと、皇帝はその場でティランに元帥の杖を渡しました。
「そちに帝国全体を任せ、そちを軍と司法を統率する元帥に任命しようぞ」
元帥となったティランは、寝台に寝ていた皇女カルマジーナ姫に一目惚れしました。
「恋をしているんだ」と言って、目からぽろぽろ涙を流し始めるティラン・・・
今までにない展開です。そして、ティランと姫の会話がぐだぐだ入ります。
喜んだり、悲しんだり、怒ったり、謝ったり。茶番はやめて、とっとと出陣しろ!
戦場では、味方であるマケドニア公爵に、妨害されたり、命を狙われたりします。
卑劣で強欲でずる賢いサイテーな公爵。だが、こういう人物が物語を面白くする。
早く死んでくれ、早く死んでくれ、と思うのですが、マケドニア公爵はしぶとい。
しかし、いなくなってしまうと寂しい。こういう悪役は、物語には必要なのですね。
一方、敵陣のアブダラー・ソロモンとは、敵味方を超えた微妙な交流が始まります。
敵でありながら善良であっぱれな騎士。こういう人物が、物語を格段に面白くする。
アブダラー・ソロモンは、ティランらの求めに応じて、心からの助言を与えます。
彼の話は次第に熱がこもってきます。また、時にはなかなか洒落たことも言います。
「結局のところ、この世は危険と苦難が載った食卓のようなものだ、ということを
悟ることが大事です。その食卓に軽々しく着いてはなりません。」(P209)
ところで、第二巻における名場面(迷場面)の第一は、皇女の肌着の場面でしょう。
ティランいわく、あなたの肌着をいただきたい、この手で脱がせていただきたいと。
与える皇女も皇女です。ティランはその肌着を、鎧の上からまとってしまう(!)。
皇帝は、ティランの姿を見て、「我が元帥よ、その陣羽織はいったい何だ?」・・・
なお、第二巻の最後で、なぜかアーサー王が、ちらっと登場します。
ここだけ幻想的で異質な場面でした。アーサー王の登場にはどんな意味があるのか?
さて、第三巻では、後半から全く新しい展開となり、ぐっと面白くなると言います。
ちょっと楽しみです。
さいごに。(「おら」は誰のせい?)
最近自分のことを「おら」と言ってしまうことが多くて、不思議に思っていました。
謎が解けました。職場の近くの席の年配の方が、よく「おら」と言っているのです。
私が、「おら」と言ってしまうのは、あの人の口癖が移ってしまっていたのだ!
妻には「おら」禁止令を出されました。「おじさん化 ストップ運動」だとか。
騎士ティラン・ロ・ブランの愛と冒険を、写実的かつ現実的に描いた長編小説です。
2016年に岩波文庫から全四巻で出ました。そのうちの第2巻です。
コンスタンチノーブルからシチリア王に、ティランの助力を請う手紙が来ました。
皇帝じきじきの依頼にティランは喜んで承諾し、さっそく帝国に赴きました。
コンスタンチノーブルに着くと、皇帝はその場でティランに元帥の杖を渡しました。
「そちに帝国全体を任せ、そちを軍と司法を統率する元帥に任命しようぞ」
元帥となったティランは、寝台に寝ていた皇女カルマジーナ姫に一目惚れしました。
「恋をしているんだ」と言って、目からぽろぽろ涙を流し始めるティラン・・・
今までにない展開です。そして、ティランと姫の会話がぐだぐだ入ります。
喜んだり、悲しんだり、怒ったり、謝ったり。茶番はやめて、とっとと出陣しろ!
戦場では、味方であるマケドニア公爵に、妨害されたり、命を狙われたりします。
卑劣で強欲でずる賢いサイテーな公爵。だが、こういう人物が物語を面白くする。
早く死んでくれ、早く死んでくれ、と思うのですが、マケドニア公爵はしぶとい。
しかし、いなくなってしまうと寂しい。こういう悪役は、物語には必要なのですね。
一方、敵陣のアブダラー・ソロモンとは、敵味方を超えた微妙な交流が始まります。
敵でありながら善良であっぱれな騎士。こういう人物が、物語を格段に面白くする。
アブダラー・ソロモンは、ティランらの求めに応じて、心からの助言を与えます。
彼の話は次第に熱がこもってきます。また、時にはなかなか洒落たことも言います。
「結局のところ、この世は危険と苦難が載った食卓のようなものだ、ということを
悟ることが大事です。その食卓に軽々しく着いてはなりません。」(P209)
ところで、第二巻における名場面(迷場面)の第一は、皇女の肌着の場面でしょう。
ティランいわく、あなたの肌着をいただきたい、この手で脱がせていただきたいと。
与える皇女も皇女です。ティランはその肌着を、鎧の上からまとってしまう(!)。
皇帝は、ティランの姿を見て、「我が元帥よ、その陣羽織はいったい何だ?」・・・
なお、第二巻の最後で、なぜかアーサー王が、ちらっと登場します。
ここだけ幻想的で異質な場面でした。アーサー王の登場にはどんな意味があるのか?
さて、第三巻では、後半から全く新しい展開となり、ぐっと面白くなると言います。
ちょっと楽しみです。
さいごに。(「おら」は誰のせい?)
最近自分のことを「おら」と言ってしまうことが多くて、不思議に思っていました。
謎が解けました。職場の近くの席の年配の方が、よく「おら」と言っているのです。
私が、「おら」と言ってしまうのは、あの人の口癖が移ってしまっていたのだ!
妻には「おら」禁止令を出されました。「おじさん化 ストップ運動」だとか。
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