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ドルジェル伯の舞踏会 [20世紀フランス文学]

 「ドルジェル伯の舞踏会」 ラディゲ作 生島遼一訳 (新潮文庫)


 夫への貞節と、夫の友人への愛の間で、苦悩する伯爵夫人の物語です。

 ドルジェル伯夫人マオと、夫の伯爵アンヌと、その友人フランソワの、
 三者三様の心の変化が、緻密で端麗な筆致で描かれています。

 心理描写について、ラディゲは、「クレーヴの奥方」を参考にしました。
 筋も似ていて、ドルジェル夫人は、不倫感情を、夫に相談したりします。

 さて、「ドルジェル伯の舞踏会」は、新潮文庫で読むことができます。

ドルジェル伯の舞踏会 (新潮文庫)
 3年ほど前に改版が出て、
 かわいらしい表紙になりました。
 しかし、ラディゲっぽくないです。

 つい最近購入して、3度目を読みました。
 訳は少し古いですが、違和感はありません。
 

 表現が硬くて、心理分析が細かいので、読むのに時間がかかりました。
 私はもともと読むのが遅くて、1時間に40~50ページしか読めません。
 この作品を読むスピードは、時速30ページほどでした。

 おそらくラディゲ自身も、じっくり時間をかけて書いたのだと思います。
 20歳とは思えないような、少し無理をしているような文章ですから。

 そして、この文章表現こそが、この小説の魅力なのです。
 一文一文がぶつかって、カチンと硬い光を発するような感じです。

 以下は、最後に近い部分です。
 夫に相談した夫人が、その反応に失望して固まってしまう場面です。

 「マオは、別の世界に坐して、夫を眺めていた。
 伯爵は、自分の遊星にいて、起こった変化にはまるで気がつかなかった。
 そして、狂熱的な女のかわりに今では一つの彫像に
 話しかけているのだった。」(P217)

 「別の世界に坐して」、「自分の遊星にいて」・・・
 こういうことって、うちにもあります!
 たいてい、私が妻の話を聞き流すことによって、突然こうなります。

 ところで、ラディゲは、この作品完成後すぐに、腸チフスで亡くなります。
 彼に代わって出版したのは、八面六臂の活躍をしていたコクトーです。

 コクトーはその序文で、ラディゲの才能を讃えています。
 20歳で死んだラディゲは、生涯に2冊しか、小説を残していません。
 しかしその2冊で、文学史に燦然と輝いています。

 さて、私はこの小説で、「句読点収集家」というものを知りました。
 それは、例えばダンテのある本の、句読点の数を調べることです。
 総計は一度も同じにならない、とのことです。(笑)(P55)

 さいごに。

 昨日は、近くで「しまじろうコンサート」をやったので、家族で行きました。
 そこで私は、「いつでもどこでも寝られる特技」を、発揮してしまいました。

 時々娘に起こされて、周りを見ると、父親のほとんどが寝ていました。
 しかし、娘はとても満足していたようなので、良かったです。

 まだ新婚の頃、妻と一緒に、バレエを見に行ったことがあります。
 一番前の席を取ったのに、私は堂々と寝てしまって・・・

 それ以後妻は、バレエを見る時は、実家の母親を誘うようになりました。
 それが、お互いのためになっています。
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