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ソクラテスの弁明 [古代文学]

 「ソクラテスの弁明・クリトン」  プラトン作 三嶋輝夫・田中享英訳 (講談社学術文庫)


 法廷で、死刑をも怖れず、自分の信念を貫き通す、ソクラテスの弁明です。
 哲学書の古典中の古典ですが、文学としても充分に楽しめます。

 紀元前399年に実際に行われた、ソクラテスの裁判の実況中継です。
 弟子であるプラトンは、師の堂々たる様子を、できるだけ忠実に再現しました。

 現在、「ソクラテスの弁明」は、講談社学術文庫、岩波文庫等で出ています。

ソクラテスの弁明・クリトン (講談社学術文庫) 私のお気に入りは講談社学術文庫版です。
 1998年に出た本で、活字が大きいです。
 他の文庫に比べて、訳が断然わかりやすいです。

 プラトンの「クリトン」のほか、
 クセノポンの「ソクラテスの弁明」も
 収録されていて、興味深いです。
 それぞれ、簡潔な解題が付いています。

ソクラテスの弁明・クリトン (岩波文庫) 私が最初に接したのは岩波文庫版です。
 大学時代に200円ほどで購入しました。

 現在出ている改訂版は、だいぶ読み易いです。
 学術文庫版に比べると、少し古さを感じますが。 

 新潮文庫や角川文庫からも出ていますが、
 学術版が出た現在、既に役目を終えたか。

 「ソクラテスの弁明」は、「人生をいかに生きるべきか」を、教えてくれます。

 もし彼が、同情を求める弁明をしていたら、無罪になったかもしれません。
 しかし弁明の場で、「無知の知」を説いた彼は、僅差で有罪判決を受けました。

 もし彼が、人々に軽い刑を懇願していたら、死刑にはならなかったでしょう。
 しかし彼は、自分への刑罰として、「迎賓館での食事」を要求しました。(!)
 そして今度は、大差で死刑になったのです。

 ソクラテスは、おのれの信念を通して、正々堂々と死刑になりました。
 その考えは、次の言葉に凝縮されています。

 「いや諸君、おそらくそれ、つまり死を免れるのが難しいのではなくて、
  卑劣さを免れることのほうがはるかに難しいのです。」(P77)

 監獄で死刑執行を待つソクラテスを、救出しようとしたのがクリトンです。
 「クリトン」には、その時のソクラテスの様子が、描かれています。

 彼は、たとえ不正をされたとしても、不正をし返してはいけないと言います。
 また、たとえ間違った命令でも、法が命じることに従うべきだとも言います。
 そして、それこそが「正義」だと、クリトンに教えます。

 クリトンの援助を拒絶して、ソクラテスは従容として、死に向かいます。
 今から2000年以上前の言葉ですが、現代の我々の胸に染み入ります。

 「いちばん大事にしなければならないことは生きることではなくて、
  よく生きることだ(中略)」(P137)

 さいごに。

 先日のオートキャンプの話には、まだ続きがあります。
 夕食の準備中、開け放した車のドアの角に、娘が頭を痛打したのです。

 3センチほど頭を切っていたので、近くの整形外科へ連れていきました。
 幸い、優しくて丁寧な先生でした。傷も思ったより深くなかったです。

 でも、そんなことがあって、メインイベントのバーベキューは中止。
 私は、これで懲りました。しばらくはキャンプをやりたくないです。
 でも妻は、「近いうちにリベンジしたい」と言っています。ああ~…
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