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ギルガメシュ叙事詩 [古代文学]

 「ギルガメシュ叙事詩」 矢島文夫 (ちくま学芸文庫)


 古代都市ウルクの王ギルガメシュの、波乱万丈の物語です。
 何千年も前の話で、粘土板に楔形文字で記されています。

 格闘の末、かえって強い友情で結ばれた、ギルガメシュとエンキドゥ。
 エンキドゥが病のため亡くなると、ギルガメシュは、不死を求める旅に出ます。
 死すべき存在である人間の、生き方を考えさせられる物語です。

 現在、「ギルガメシュ叙事詩」は、ちくま学芸文庫で読むことができます。

ギルガメシュ叙事詩 (ちくま学芸文庫) 40年以上前の訳ですが、
 分かりやすいです。
 粘土板に添っているので、
 一行が短くて読みやすいです。
 ただし、粘土板の欠損部分では、
 話が大きく飛んでしまいます。



 アッシリア語版を主要テキストとしています。
 粘土板の欠損部分は、バビロニア語版やヒッタイト語版で、補っています。
 たいへん根気のいる作業です。この労作が900円とは、絶対安いです。

 ただし、学術的な解説はいりませんでした。
 解説や付録を省略すると、ページ数は半分になります。
 ついでに値段も半額になったら、申し分の無い本になったのですが。

 「ギルガメシュ」の魅力は、なんと言っても、「生命」の探求にあります。

 フンババ退治に出る時点では、ギルガメシュは死を怖れていませんでした。
 人は死すべき存在だからこそ、危険を冒してまで、名を残そうとします。

 しかし、友であるエンキドゥの死に遭うと、一転して、死を怖れ始めました。
 自分もいつか死ぬのだと考えて、不死を求める旅に出ていきます。

 様々な苦難を乗り越えて、とうとう、不死を得た人間に会います。
 そして、ようやく生命の草を手にしますが・・・

 ギルガメシュは、古代シュメールに生きた、実在の王と言われています。
 3分の2が神であったギルガメシュも、やはり死すべき存在でした。
 しかし、彼の名は粘土板に刻まれて、現在も残っています。

 書店で最近目立つのは、「不老」とか、「長寿」とか、「アンチエイジング」。
 しかし、我々は死すべき存在です。
 「大事なことは、いかに生きるかだ」と、ギルガメシュに言われそうです。

 さて、この叙事詩の終盤には、洪水神話が語られています。
 旧約聖書「創世紀」のノアの洪水と、ほぼ同じ内容で、興味深いです。

 「ギルガメシュ叙事詩」を知ったきっかけは、ルドミラ・ゼーマンの絵本でした。

ギルガメシュ王ものがたり (大型絵本) ギルガメシュとエンキドゥが、
 友情で結ばれるまでの話です。
 娘には少し難しかったのですが、
 すぐに夢中になりました。
 壁画のような絵が、すばらしい。



 「ギルガメシュ王のたたかい」、「ギルガメシュ王さいごの旅」と、3部作です。
 もちろん、文庫本ではありません。私は3部とも、図書館で借りて読みました。

 さいごに。

 先日、海の近くのオートキャンプ場に、1泊しました。
 磯遊びや虫捕りなどができる所で、プールや遊具もありました。

 しかし、1日目はあまりにも暑かったので、ママさんの体調が悪くなって…
 結局、車を30分飛ばして、大型ショッピングモールへ、涼みに行きました!

 娘は、店内のキッズランド(?)で遊んで、大喜びでしたが。
 ある意味、思い出に残るキャンプでした。
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コメント 2

あきえもん

すごく気になります!
ギルガメシュ叙事詩・・世界史で耳にしたことがあるようなないような。
古代のお話でも、読み物として興味深いですね。

私も、不死にはあまり魅力を感じません。
まさに、死すべき存在であるからこそ、生き方を問われるのでしょうね。
by あきえもん (2010-08-31 21:12) 

ike-pyon

コメントありがとうございます。
そういえば、高校時代に、世界史で覚えさせられました。
でも、読んだのは、この夏が初めてです。
by ike-pyon (2010-09-01 04:11) 

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