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アシェンデン [20世紀イギリス文学]

 「アシェンデン」 モーム作 中島賢二訳  (岩波文庫)


 文豪モームの書いた、スパイ小説です。
 モームの作品の中で、一番これが面白い、と言う人も多いです。

 現在、岩波文庫で読むことができます。
 中島訳は新訳で評判が良いです。表紙もカッコイイ。


アシェンデン―英国情報部員のファイル (岩波文庫)

アシェンデン―英国情報部員のファイル (岩波文庫)

  • 作者: モーム
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2008/10/16
  • メディア: 文庫



 作家アシェンデンは、あるパーティーで、「R」に引き合わされます。
 彼は、イギリス諜報部の人間でした。
 アシェンデンは、危険を承知で、スパイ活動を引き受けます… 

 モームが、イギリスのスパイだったことは、有名です。
 第一次大戦や、ロシア革命で、活動していました。
 作家という職業は、隠れ蓑として最適なのですね。

 もちろんこの話は、自身のスパイ活動をもとに、描かれています。
 アシェンデンは、モームの分身です。

 ただし、スパイと言っても、007を想像してはいけません。
 殺人シーンや、戦闘シーンはありません。

 また、何か大きな作戦に、取り組むわけではありません。
 むしろ、組織の中の歯車として、地味に活動しています。
 それでいて、なかなか読ませるのは、文章がうまいからでしょう。

 構成は、16の短篇の連作という形を、とっています。
 特に私が好きな話は、「家宅捜査」と「ギリシア人」です。

 どちらも、とても短い話です。
 事件そのものよりも、登場人物のやりとりに、味わいがあります。

 ここでは、人間関係の機微や、人生の皮肉を、味わえます。
 そういう意味で言えば、「シャーロックホームズ」に、似ています。

 ところで、私はこの作品を、数年前にちくま文庫で読みました。
 当時は、「ちくまモームコレクション」というシリーズがあったのです。

 ちくま文庫は、このようなファン垂涎の企画を、立ててくれます。
 とてもありがたい。でも、とても気まぐれなのが、玉に瑕です。
 すぐに品切れになったり、絶版になったりするのです。

 今、「モームコレクション」で読めるのは、「コスモポリタン」のみ。
 なんと中途半端な!

 ついでに言えば、かつては、ディケンズ作品も充実させていました。
 「ピクウィック・クラブ」も、「骨董屋」も、「リトル・ドリット」もありました。
 それなのに、今は… ああ、ちくま文庫さん!

 さいごに。

 娘は昨年まで、バレンタインデーもホワイトデーも知りませんでした。
 しかし今年は、「ホワイトデーはまだ?」、「その日に何をもらえる?」
 と、うるさい、うるさい。

 結局、土曜日に、家族全員で、洋菓子屋に行くことになりました。
 みんなで、自分がもらいたいお菓子を、勝手に選ぶと言うのです。
 もちろん私は、自分用のも、買いますよ。

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