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月と六ペンス [20世紀イギリス文学]

 「月と六ペンス」 モーム作 中野好夫訳 (新潮文庫)


 「モームといえばこの本だろ」という人も多いはずです。
 ゴーギャンの伝記に暗示を受けて、書かれた物語として有名です。

 現在、新潮文庫、岩波文庫、古典新訳文庫などから出ています。
 私の本棚には、例によって、新潮文庫版。中野好夫氏の名訳です。


月と六ペンス (新潮文庫)

月と六ペンス (新潮文庫)

  • 作者: サマセット・モーム
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1959/09
  • メディア: 文庫



 岩波文庫の行方氏の訳は新訳です。読みやすくて、評判が良いです。


月と六ペンス (岩波文庫)

月と六ペンス (岩波文庫)

  • 作者: モーム
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2010/07/15
  • メディア: 文庫



 古典新訳文庫の土屋氏の訳は、最も新しい訳です。評判が良いです。
 でも、表紙は相変わらず。この虫みたいな絵は、何なのでしょうか。


月と六ペンス (光文社古典新訳文庫)

月と六ペンス (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: ウィリアム・サマセット モーム
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2008/06/12
  • メディア: 文庫



 この小説はゴーギャンをモデルにしている、と説明されます。
 だから、ゴーギャンとストリックランドを、同一視してしまいがちです。

 しかし、実際はだいぶ違います。
 ストリックランドは、本当に悪いやつです。

 長年連れ添った妻を、突然離縁して、勝手にパリで暮らし始める。
 借金しまくり、命の恩人から奥さんを奪い、飽きると捨ててしまう。
 冷酷で身勝手。自分に対する批判には、軽蔑でこたえる。 

 ムカムカしますが、ムカムカしながらも、ひかれてしまいます。
 それが天才の魅力なのでしょうか。
 ストリックランドには、野生的な生命力があります。

 45~58章のタヒチでの話は、とても興味深いです。
 絵にのめりこんだ男の、天才と狂気! 
 特に、ストリックランドの最期は、壮絶です。

 タイトルの「月」は理想、「六ペンス」は現実を表すのだそうです。
 ストリックランドは、なりふりかまわず、月を追いかけた男か。
 この小説には、すごみがあって、モームらしい作品だと思います。

 ところで、私は大学時代、一時期ゴーギャンにはまりました。
 彼がタヒチで描いた絵に、とても感動したからです。

 「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」
 これは、死を決意したゴーギャンが、遺書代わりに描いた絵です。
 しかし、ゴーギャンの自殺は、未遂に終わりました。
 
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Woher_kommen_wir_Wer_sind_wir_Wohin_gehen_wir.jpg
 個人的には、左側にある仏像のようなものが、気になります。

 この文庫本を購入したのは、実は大学4年の時です。(1989年)
 しかし、卒業論文に追われるようになって、そのまま放置。
 読んだのは、なんと15年後でした。(2004年)

 さいごに。

 娘の最近のブームは、ハートです。
 お絵かきでは、ハートマークを、無意味にたくさん書き加えます。

 そして、嬉しいのは、私が出勤する時。
 「ハート」と言って、両手でハートマークを作って、見せてくれます。
 おかげで、なごやかな気分で、出勤できます。

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