われら [20世紀ロシア文学]
「われら」 ザミャーチン作 川端香男里訳 (岩波文庫)
全ての国民が統制されている「単一国」を描いた、アンチ・ユートピア小説です。
「もっとも悪質な反ソ宣伝の書」と言われ、作者は亡命を余儀なくされました。
岩波文庫から、昨年11月に復刊され、読むことができるようになりました。
川端訳はテンポ良く訳されていて、原文の緊張感をうまく伝えています。
舞台は、数世紀後の世界です。
D-503号と呼ばれる数学者の、覚え書という体裁をとっています。
「単一国」では、何百万人の人々が、時間立法表に従って、同じ生活をしています。
個人はナンバーで呼ばれ、自由時間は、日に2回の個人時間のみ。
しかも、住居はガラス張りで、守護者と呼ばれる人々に、常に監視されています。
例えば、恋人と夜の時間を過ごすには…
性規制局によって決められたセックス・デーに、恋人をあらかじめ予約しておき、
当局からピンク・クーポンを受け取り、ブラインドを降ろす許可をもらうのです!
そして、こういう束縛された生活を、D-503号は褒めたたえているのです。
そこが、実に面白い。例えば、54ページ。
「飛行機の速度=0なら、飛行機は動かない。
人間の自由=0なら、人間は罪を犯さない。それは明白である。
人間を犯罪から救い出す唯一の手段は、人間を自由から救い出してやることである。」
完全に統制されたこの世界に、魂という語はすでにありません。
「われ」という個人はなく、人々は「われら」という一まとまりでくくられています。
しかし、D-503号は、あるとき、I-330号という魅力的な女性に出会います。
そして、少しずつ「われら」から外れていって…
さて、覚え書には、時々飛躍があったり、幻想が錯綜していたりします。
正直に言って、「覚え書34」の内容は、よく分かりませんでした。
それでも、最後までいっきに読ませます。名作です。
この本を、今後二度と、品切れにしてはいけませんよ。
さいごに。(デザートタイム)
夕食後のデザートタイムで、お年賀でもらったお菓子を、少しずつ食べています。
お菓子は、夕食を食べ終わってから、出すことになっています。
しかし、私は昨日、娘の食事が終わらないうちに、お菓子を出してしまいました。
そのお菓子が、とてもおいしそうだったので、娘は興奮して味噌汁をひっくり返し…
妻は怒るし、娘は泣くし…
全ての国民が統制されている「単一国」を描いた、アンチ・ユートピア小説です。
「もっとも悪質な反ソ宣伝の書」と言われ、作者は亡命を余儀なくされました。
岩波文庫から、昨年11月に復刊され、読むことができるようになりました。
川端訳はテンポ良く訳されていて、原文の緊張感をうまく伝えています。
舞台は、数世紀後の世界です。
D-503号と呼ばれる数学者の、覚え書という体裁をとっています。
「単一国」では、何百万人の人々が、時間立法表に従って、同じ生活をしています。
個人はナンバーで呼ばれ、自由時間は、日に2回の個人時間のみ。
しかも、住居はガラス張りで、守護者と呼ばれる人々に、常に監視されています。
例えば、恋人と夜の時間を過ごすには…
性規制局によって決められたセックス・デーに、恋人をあらかじめ予約しておき、
当局からピンク・クーポンを受け取り、ブラインドを降ろす許可をもらうのです!
そして、こういう束縛された生活を、D-503号は褒めたたえているのです。
そこが、実に面白い。例えば、54ページ。
「飛行機の速度=0なら、飛行機は動かない。
人間の自由=0なら、人間は罪を犯さない。それは明白である。
人間を犯罪から救い出す唯一の手段は、人間を自由から救い出してやることである。」
完全に統制されたこの世界に、魂という語はすでにありません。
「われ」という個人はなく、人々は「われら」という一まとまりでくくられています。
しかし、D-503号は、あるとき、I-330号という魅力的な女性に出会います。
そして、少しずつ「われら」から外れていって…
さて、覚え書には、時々飛躍があったり、幻想が錯綜していたりします。
正直に言って、「覚え書34」の内容は、よく分かりませんでした。
それでも、最後までいっきに読ませます。名作です。
この本を、今後二度と、品切れにしてはいけませんよ。
さいごに。(デザートタイム)
夕食後のデザートタイムで、お年賀でもらったお菓子を、少しずつ食べています。
お菓子は、夕食を食べ終わってから、出すことになっています。
しかし、私は昨日、娘の食事が終わらないうちに、お菓子を出してしまいました。
そのお菓子が、とてもおいしそうだったので、娘は興奮して味噌汁をひっくり返し…
妻は怒るし、娘は泣くし…
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