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われら [20世紀ロシア文学]

 「われら」 ザミャーチン作 川端香男里訳 (岩波文庫)


 全ての国民が統制されている「単一国」を描いた、アンチ・ユートピア小説です。
 「もっとも悪質な反ソ宣伝の書」と言われ、作者は亡命を余儀なくされました。

 岩波文庫から、昨年11月に復刊され、読むことができるようになりました。
 川端訳はテンポ良く訳されていて、原文の緊張感をうまく伝えています。


われら (岩波文庫)

われら (岩波文庫)

  • 作者: ザミャーチン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1992/01/16
  • メディア: 文庫



 舞台は、数世紀後の世界です。
 D-503号と呼ばれる数学者の、覚え書という体裁をとっています。

 「単一国」では、何百万人の人々が、時間立法表に従って、同じ生活をしています。
 個人はナンバーで呼ばれ、自由時間は、日に2回の個人時間のみ。
 しかも、住居はガラス張りで、守護者と呼ばれる人々に、常に監視されています。

 例えば、恋人と夜の時間を過ごすには…
 性規制局によって決められたセックス・デーに、恋人をあらかじめ予約しておき、
 当局からピンク・クーポンを受け取り、ブラインドを降ろす許可をもらうのです!

 そして、こういう束縛された生活を、D-503号は褒めたたえているのです。
 そこが、実に面白い。例えば、54ページ。

 「飛行機の速度=0なら、飛行機は動かない。
  人間の自由=0なら、人間は罪を犯さない。それは明白である。
  人間を犯罪から救い出す唯一の手段は、人間を自由から救い出してやることである。」

 完全に統制されたこの世界に、魂という語はすでにありません。
 「われ」という個人はなく、人々は「われら」という一まとまりでくくられています。

 しかし、D-503号は、あるとき、I-330号という魅力的な女性に出会います。
 そして、少しずつ「われら」から外れていって…

 さて、覚え書には、時々飛躍があったり、幻想が錯綜していたりします。
 正直に言って、「覚え書34」の内容は、よく分かりませんでした。

 それでも、最後までいっきに読ませます。名作です。
 この本を、今後二度と、品切れにしてはいけませんよ。

 さいごに。(デザートタイム)

 夕食後のデザートタイムで、お年賀でもらったお菓子を、少しずつ食べています。
 お菓子は、夕食を食べ終わってから、出すことになっています。
 しかし、私は昨日、娘の食事が終わらないうちに、お菓子を出してしまいました。

 そのお菓子が、とてもおいしそうだったので、娘は興奮して味噌汁をひっくり返し…
 妻は怒るし、娘は泣くし…

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