山椒魚 [日本の近代文学]
「山椒魚(さんしょううお)」 井伏鱒二 (新潮文庫)
岩屋から出られなくなってしまった山椒魚を、ユーモラスに描いた短篇です。
中学校の頃、国語の教科書に載っていたように思います。
現在、新潮文庫、岩波文庫、小学館文庫などで読むことができます。
私の本棚には、新潮文庫版が並んでいます。
新潮文庫は、昨年改版されて、活字が読みやすくなりました。
カバーもオシャレになっていたので、旧版を持っているのに、また買ってしまいました。
頭が大きくなりすぎて、すみかである岩屋から、出ることができなくなった山椒魚。
彼は、岩屋の出入り口から、外の世界を眺めるしかありません。
ところがあるとき、その岩屋に、一匹の蛙が迷い込んできて…
ユーモラスに描かれていますが、なんとも言えない悲哀を感じる作品です。
最後の蛙の言葉は、妙に悲しい。
「今でもべつにお前のことをおこってはいないんだ」
おそらく蛙は、山椒魚のことを、ずっと怒ってはいなかったのでしょう。
二匹は、ちょっとこじれただけだったのです。それなのに、意地を張り通して。
それを悟ったのは、死ぬ間際だった。ばからしく、また悲しい物語です。
新潮文庫版には、合計12編の短篇が収録されています。
中には、「屋根の上のサワン」も名作で、これもいつだったか、教科書で読みました。
自分の気持ちを伝えられないうちに、サワンが旅立ってしまうのが、悲しかったです。
ほか「女人来訪」「寒山拾得(かんざんじっとく)」「夜ふけと梅の花」等は捨てがたい。
しかし、私にとってのベストは、「へんろう宿」です。
「へんろう宿」はわずか9ページ。しかし、限りない哀感が込められています。
舞台は土佐。それにしても、変わった宿があったものです。旅に出たくなる一編です。
岩波文庫の短編集では、新潮文庫版では読めない名作が、収録されています。
タイトルの「遙拝隊長」などは外せません。
重複する作品がありますが、ぜひ、岩波文庫版も読みたい。
しかし、かつては新潮文庫から、「遥拝隊長・本日休診」が出ていたのです。
私は買いそびれました。ぜひ、改版を出してほしい。
ところで、「山椒魚戦争」というSF小説があります。
アンチ・ユートピア小説の、古典的名作なのだそうです。ちょっと気になります。
さいごに。(45歳)
先日、誕生日を迎えて、また一つ年をとりました。45歳です。
気持ちだけは35歳のつもりで、と思うのですが…
岩屋から出られなくなってしまった山椒魚を、ユーモラスに描いた短篇です。
中学校の頃、国語の教科書に載っていたように思います。
現在、新潮文庫、岩波文庫、小学館文庫などで読むことができます。
私の本棚には、新潮文庫版が並んでいます。
新潮文庫は、昨年改版されて、活字が読みやすくなりました。
カバーもオシャレになっていたので、旧版を持っているのに、また買ってしまいました。
頭が大きくなりすぎて、すみかである岩屋から、出ることができなくなった山椒魚。
彼は、岩屋の出入り口から、外の世界を眺めるしかありません。
ところがあるとき、その岩屋に、一匹の蛙が迷い込んできて…
ユーモラスに描かれていますが、なんとも言えない悲哀を感じる作品です。
最後の蛙の言葉は、妙に悲しい。
「今でもべつにお前のことをおこってはいないんだ」
おそらく蛙は、山椒魚のことを、ずっと怒ってはいなかったのでしょう。
二匹は、ちょっとこじれただけだったのです。それなのに、意地を張り通して。
それを悟ったのは、死ぬ間際だった。ばからしく、また悲しい物語です。
新潮文庫版には、合計12編の短篇が収録されています。
中には、「屋根の上のサワン」も名作で、これもいつだったか、教科書で読みました。
自分の気持ちを伝えられないうちに、サワンが旅立ってしまうのが、悲しかったです。
ほか「女人来訪」「寒山拾得(かんざんじっとく)」「夜ふけと梅の花」等は捨てがたい。
しかし、私にとってのベストは、「へんろう宿」です。
「へんろう宿」はわずか9ページ。しかし、限りない哀感が込められています。
舞台は土佐。それにしても、変わった宿があったものです。旅に出たくなる一編です。
岩波文庫の短編集では、新潮文庫版では読めない名作が、収録されています。
タイトルの「遙拝隊長」などは外せません。
重複する作品がありますが、ぜひ、岩波文庫版も読みたい。
しかし、かつては新潮文庫から、「遥拝隊長・本日休診」が出ていたのです。
私は買いそびれました。ぜひ、改版を出してほしい。
ところで、「山椒魚戦争」というSF小説があります。
アンチ・ユートピア小説の、古典的名作なのだそうです。ちょっと気になります。
さいごに。(45歳)
先日、誕生日を迎えて、また一つ年をとりました。45歳です。
気持ちだけは35歳のつもりで、と思うのですが…
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