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水晶 [19世紀ドイツ北欧文学]

 「水晶」 シュティフター作 手塚富雄訳 (岩波文庫)


 幼い兄妹が雪山で遭難し、救出されるまでを描いた物語です。
 短編集「石さまざま」の中の一編です。

 現在、岩波文庫から出ています。
 1993年に出た改版で、活字は読みやすく、訳は分かりやすいです。


水晶 他三篇―石さまざま (岩波文庫)

水晶 他三篇―石さまざま (岩波文庫)

  • 作者: シュティフター
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1993/11/16
  • メディア: 文庫



 小さな兄妹が、クリスマスの前日、峠を越えて祖母の家を訪れました。
 その帰りに雪が降り始めたので、二人は喜びながら歩いて行きました。

 しかし、道標が倒れていたために、二人は山の奥に迷い込んでしまいます。
 雪はどんどん降り積もり、兄妹は「白い闇」の中をさまよって…

 二人を包む雪山が、恐いほど美しいです。
 自然の恐ろしさだけでなく、自然の雄大さと神秘が、伝わってきます。

 特に、夜の景色はすばらしい。
 雪がやんで星が現れると、空は、今まで見たことのないような星空です。
 星明かりが積もった雪に反射して、地面は、キラキラ輝いています。

 主人公の二人は、とても理想的な兄妹で、読んでいて癒やされます。
 兄は優しく、妹のことを気遣い、妹は素直で、兄をとても信頼しています。

 さて、他の3作「みかげ石」「石灰石」「石乳」も、人々の協調がテーマです。
 どれもシュティフターらしい作品です。

 シュティフターは、19世紀半ばに活躍した、オーストリアの作家です。
 ドイツでは大家ですが、私は「ドイツ文学案内」を読むまで知りませんでした。

 もとは風景画家として活躍していて、個人美術館まであるのだそうです。
 なるほど、作中の美しい自然描写は、画家の目を通した表現だったのですね。
 岩波の「ブリギッタ」や「森の小道」のカバーには、自身の絵が使われています。


ブリギッタ・森の泉 他1篇 (岩波文庫)

ブリギッタ・森の泉 他1篇 (岩波文庫)

  • 作者: シュティフター
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2011/03/17
  • メディア: 文庫



森の小道・二人の姉妹 (岩波文庫)

森の小道・二人の姉妹 (岩波文庫)

  • 作者: シュティフター
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2003/02/14
  • メディア: 文庫



 また、彼の代表作「晩夏」が、ちくま文庫で読めるようです。ありがたい。
 ただし、上下二巻で2800円ほどになります。


晩夏 上 (ちくま文庫)

晩夏 上 (ちくま文庫)

  • 作者: アーダルベルト・シュティフター
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2004/03/12
  • メディア: 文庫



 さいごに。(嘔吐下痢症2)

 娘は下痢がおさまらず、結局6日間苦しんでいました。
 しかし、ようやく今日から、小学校へ行けそうです。

 昨日、医者から登校許可が出ました。
 我々はほっとしましたが、娘は少しがっかりしていました。

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