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レ・ミゼラブル縮約版 [19世紀フランス文学]

 「レ・ミゼラブル(縮約版)」 (角川文庫)など


 ユゴーの名作「レ・ミゼラブル」の縮約版です。
 「レ・ミゼラブル」 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2010-03-02

 角川文庫版は、2012年の年末に出たばかりです。
 2500ページほどの本文を、850ページほどに、縮約しています。


レ・ミゼラブル (上) (角川文庫)

レ・ミゼラブル (上) (角川文庫)

  • 作者: ヴィクトル・ユゴー
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/12/18
  • メディア: 文庫



 ストーリーに関係ない部分が省かれているので、読みやすいです。
 しかし一方で、脱線の面白さがなくなってしまったことも、確かです。

 例えば、冒頭の2行のあと、約3ページがいきなり省かれています。
 この間本当は、ミリエル司教の半生が語られているのですが。
 ナポレオンによって司教に任命されたエピソードも、もちろん省略。

 この点を、どう評価するかは、難しいところです。
 よく割り切った、と評価するか。原作が台無しだよ、と批判するか。

 これは、この本に限らず、全ての縮約版の本に言えることです。
 私としては、ストーリーの分かりやすさを、それなりに評価したい。

 しかし角川文庫版には、気になることが、いくつかあります。
 例えば、有名な脱獄のシーンが、抜け落ちている。
 コゼットを取り返しに来たテナルディを、追い返すシーンも、無い。

 これらは名場面。外せないでしょう。
 そう考えると、岩波少年少女文庫の豊島訳版の方が、オススメかも。


レ・ミゼラブル〈上〉 (岩波少年文庫)

レ・ミゼラブル〈上〉 (岩波少年文庫)

  • 作者: ヴィクトル ユーゴー
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2001/01/18
  • メディア: 単行本



 岩波少年文庫版(2分冊)は、角川文庫版以上に、削っています。
 それなのに、名場面は外していません。上記の二場面はもちろんあります。
 また、初版の魅力的な挿絵も、挿入されています。

 文章は古いのですが、角川文庫版より、分かりやすかったです。
 ただし、文庫本ではない。文庫本ファンの私にとって、それは致命的。

 偕成社文庫(3分冊)の縮約版を、勧める人も多いです。
 文章が断然分かりやすいと言われていますが、これも文庫本ではない。


レ・ミゼラブル〈上〉 (偕成社文庫)

レ・ミゼラブル〈上〉 (偕成社文庫)

  • 作者: ヴィクトル ユーゴー
  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 1993/03
  • メディア: 単行本



 「レ・ミゼラブル」は、文庫本で5冊にわたる長大な小説です。
 その導入として、縮約版(2冊)を読むので、都合7冊になります。

 読後に、「レ・ミゼラブル百六景」も読みたいので、 合計8冊です。
 「レ・ミゼラブル百六景」 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2012-11-21


「レ・ミゼラブル」百六景〈新装版〉 (文春文庫)

「レ・ミゼラブル」百六景〈新装版〉 (文春文庫)

  • 作者: 鹿島 茂
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2012/11/09
  • メディア: 文庫



 また、最近ちくま文庫から、西永氏による新訳が刊行中です。
 全巻出たら読んでみたいです。


レ・ミゼラブル1 (ちくま文庫)

レ・ミゼラブル1 (ちくま文庫)

  • 作者: ヴィクトール ユゴー
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2012/11/07
  • メディア: 文庫



 さいごに。(46歳)

 先日46歳になりました。
 いつもなら、ケーキで祝うのですが、娘が病み上がりなので、おあずけです。

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