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キリマンジャロの雪 [20世紀アメリカ文学]

 「キリマンジャロの雪」 ヘミングウェイ作 高見浩訳 (新潮文庫)


 アフリカで、脚の壊疽(えそ)によって死にかけている男の物語です。
 アメリカ短編小説の最高峰のひとつです。

 新潮文庫の「ヘミングウェイ全短編2」に収められています。
 訳は1996年のもので、比較的新しいため、分かりやすいです。


勝者に報酬はない・キリマンジャロの雪―ヘミングウェイ全短編〈2〉 (新潮文庫)

勝者に報酬はない・キリマンジャロの雪―ヘミングウェイ全短編〈2〉 (新潮文庫)

  • 作者: アーネスト ヘミングウェイ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1996/06/28
  • メディア: 文庫



 「彼」は、右足の壊疽のため、アフリカの大地で死にかかっています。
 空にはハゲタカが舞い、丘にはハイエナが歩いています。

 彼を救出するはずの飛行機は、なかなかやってきません。
 妻が看病して励ましますが、彼は自分に死が近づきつつあるのを感じ・・・

 本当によくできた短編小説です。これまでに、何度も読み返しました。
 特に、無造作に吐き捨てられるような文体が、たまらないです。

 「なるほど、こうしてすべてが終るわけか、と彼は思った。
 こうして人生をまっとうする機会は永遠に失われるわけだ。」(P325)

 「なるほどじゃないだろ!」と突っ込みたくなります。
 「あんたの死だろ、あんたの人生だろ!」と。

 死を目の前にして、懐かしい思い出がとぎれとぎれによみがえり・・・
 結末は、ビアスの「アウルクリーク橋の出来事」を思い出させます。
 「アウルクリーク橋の出来事」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2014-04-13

 さて、この短編集は、フロリダのキーウェスト時代の産物が中心です。
 ほかにも印象的な作品が多数あります。

 例えば、「最前線」「父と子」「フランシス・マカンバー」など。
 どれも、ヘミングウェイらしい魅力にあふれた作品です。

 「ヘミングウェイ全短編」は、全3巻。
 カバーがカッコイイので、3冊揃えて本棚に並べてあります。

 さいごに。 (ひとりでも寝られる)

 娘を寝かせるのは、ずっと私の役目でした。
 しかし最近、娘はひとりで寝られるようになってきました。

 とても眠くてすぐに寝られるときに限られていますが、大きな進歩です。
 うれしいような、さびしいような。


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