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バートルビー [19世紀アメリカ文学]

 「幽霊船 他一篇」 メルヴィル作 坂下昇訳 (岩波文庫)


 「幽霊船」と「バートルビー」の傑作中編二篇を収録した作品集です。
 「バートルビー」は、与えられた仕事を何もしない男を描いています。

 岩波文庫から出ていましたが品切れ。楽天オークションで手に入れました。
 初版は1979年。訳は少し古いため、読みにくい個所がありました。


幽霊船 他1篇 (岩波文庫 赤 308-5)

幽霊船 他1篇 (岩波文庫 赤 308-5)

  • 作者: ハーマン・メルヴィル
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1979/12/17
  • メディア: 文庫



 弁護士事務所の助手として、バートルビーという青年が雇われました。
 彼は、清らげなまでに青白く、哀れを誘うほど恭しい男です。

 ところが、ある仕事を命じられたとき、バートルビーは言いました。
 「ぼく、そうしない方がいいのですが」。あくまで、柔和な表情で。

 その後は何を言ってもダメ。自分の仕事さえしなくなります。
 「ぼく、そうしない方がいいのです」と、穏やかに言って・・・

 すごいです。なかなかこんな風には言えません。
 呆れるというより、感心してしまいます。

 実は、ちょっと複雑な思いを持ちながら、この作品を読みました。
 というのも、私はバートルビーそっくりな人を知っているからです。

 彼は、仕事を割り振られると、「できない」と言って逃げていきます。
 比喩ではありません。上司の前から、本当に逃げて行くのです。

 そして、忙しい同僚をしりめに、ブラブラしています。
 当然誰からも相手にされませんが、本人はまったく気にしていません。

 すごいです。その超然とした態度は、神聖ですらあります。
 私は今後、この人に敬意を表して、バートルビーと呼ぼうと思います。

 さいごに。(恒例の出張)

 恒例の夏の出張に行ってきました。今年から1日増えて3泊4日です。
 ↓ 毎年すぐ近くに泊まるのに、忙しくて一度も行っていません。
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