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聖アントワヌの誘惑 [19世紀フランス文学]

 「聖アントワヌの誘惑」 フローベール作 渡辺一夫訳 (岩波文庫)


 3世紀の聖人アントワヌが、悪魔からの誘惑を退ける姿を描く戯曲的な作品です。
 着想から30年近くかけて完成させた、フロベールの「生涯の作品」です。

 2月に岩波文庫から復刊されました。入手困難な本なので、買うなら今です。
 初版は1940年。1957年に改版が出ていますが読みにくい。新訳化を期待します。


聖アントワヌの誘惑 (岩波文庫 赤 538-6)

聖アントワヌの誘惑 (岩波文庫 赤 538-6)

  • 作者: フローベール
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1986/07
  • メディア: 文庫



 テバイスの山の頂に、小屋を建てて断食の苦行をしていた聖アントワヌ。
 ある夜、悪魔が彼を誘惑するために幻覚を見せました。

 悪魔、死神、亡霊、異教の神々、おぞましい怪物たち・・・
 壮絶な戦いののち、聖アントワヌが朝日の中に見出したものは・・・

 岩波文庫の春の復刊で、「愉しき放浪児」とともにまっさきに買った本です。
 まっさきに読んだものの、読みにくくて大部分を読み飛ばしてしまいました。

 雰囲気はゲーテの「ファウスト第二部」に似ています。読みにくさも同じです。
 次から次にいろんなものが、これでもかこれでもかと出てきては消えて行きます。

 そのほとんどが我々には馴染みのない存在で、そこが読みにくい理由です。
 巻末には非常に多くの固有名詞の注がありますが、見ただけで頭が痛くなりそう。

 この作品は、ブリューゲルの「聖アントニウスの誘惑」を見て着想されました。
 なるほど。ごちゃごちゃして不気味なところが、その絵とそっくりです。

聖アントワーヌ2.jpg

 解説では、最後の天啓もまた悪魔による幻覚ではないか、と述べられています。
 実に面白い。そうだとしたら、結末の解釈がひっくりかえってしまいますね。

 ところでこの本は、「完璧な美しさと厳格な様式を持つ傑作」と紹介されています。
 しかし、この訳で完璧な美しさや厳格な様式を味わえというのは、少し苦しいです。

 さいごに。(東京ツアー)

 さきほど、東京から帰ってきました。初めて、スカイツリーに行きました。
 つかれたー。しかし、楽しかった。スカイツリーからの夜景は最高でした。

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