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神々は渇く [20世紀フランス文学]

 「神々は渇く」 アナトール・フランス作 大塚幸男訳 (岩波文庫)


 共和国のために陪審員として働く青年が、時代の渦に巻き込まれ破滅する物語です。
 アナトール・フランスの晩年の作品で、代表作の一つです。

 岩波文庫から出ていますが、現在は品切れです。私は2010年に買いました。
 訳は1976年のもので、充分分かりやすく、活字も読みやすいです。


神々は渇く (岩波文庫 赤 543-3)

神々は渇く (岩波文庫 赤 543-3)

  • 作者: アナトール・フランス
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1977/05/16
  • メディア: 文庫



 舞台は、フランス革命期の恐怖政治時代のパリです。
 主人公のエヴァリスト・ガムランは、貧しくてあまりぱっとしない画家でした。

 ところが、ある夫人のつてによって、革命裁判所の陪審員に任命されたのです。
 名誉ある地位と、立派な収入に、ガムランの母は喜びます。

 使命感に燃え、革命の推進に取り組むガムランでしたが・・・
 やがて時代のうねりは、容赦なく一個人をも巻き込んで・・・

 ミシュレの「フランス革命史」を読んでいたので、理解しやすかったです。
 この作品では、革命裁判所の陪審員の立場から、革命を見ることができました。

 次から次に、情け容赦なく、被告を断頭台に送り続ける革命裁判所。
 彼らは純粋で、正義感を持ち、使命感に燃えているので、余計にしまつが悪い。

 あのおぞましい時代を成り立たせていたのは、こういう平凡な善人たちでした。
 ここに、人民による革命の恐ろしさがあります。

 さて、私のお気に入りの登場人物は、ガムランの隣人のブロト老人です。
 もと貴族で、時代の趨勢を冷静に見抜いていて、時々予言的な言葉を吐きます。

 「わたしは考えれば考えるほど、共和国を救うために打ち建てられたこの裁判所が、
 却って共和国を破滅させるだろうと思うのです。」(P165)

 アナトール・フランスには、他に「シルヴェストル・ボナールの罪」があります。
 以前買いましたが、積ん読しているうちに、ほこりまみれになってしまいました。


シルヴェストル・ボナールの罪 (岩波文庫)

シルヴェストル・ボナールの罪 (岩波文庫)

  • 作者: アナトール フランス
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1975/07/16
  • メディア: 文庫



 さいごに。(持久走練習)

 娘の小学校では、11月に持久走大会があります。
 今年は3年生に上がるので、700mから1100mになります。

 夜、町内を1キロほど、娘と一緒に走っています。
 一昨年は10位。昨年は12位。今年はまた10位以内を狙っています。

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サンフランシスコ人

サンフランシスコのフランス人によると、フランスの学校でフランス革命について詳しく勉強したみたいです....私は大学で欧州史を取りませんでした....
by サンフランシスコ人 (2018-06-06 07:35) 

ike-pyon

サンフランシスコ人さん、過去の記事まで読んでいただきありがとうございます。私のフランス革命の基礎知識は、高校時代の「世界史」で教わったことだけです。
by ike-pyon (2018-06-11 06:48) 

サンフランシスコ人

サンフランシスコは、フランス文化と日本文化の交差点なので、多く
の事柄に気が付きます....
by サンフランシスコ人 (2018-06-12 03:12) 

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