シルヴェストル・ボナールの罪 [19世紀フランス文学]
「シルヴェストル・ボナールの罪」 A・フランス作 伊吹武彦訳 (岩波文庫)
本に囲まれてひっそりと暮らす老学者の日常が、日記体でつづられていく物語です。
アナトール・フランス37歳の時の小説で、彼の出世作です。
岩波文庫から出ています。A・フランスの作品中、現在唯一文庫で出ている本です。
訳はだいぶ古いようですが、読みやすくて、しみじみとした味わいのある文章です。
主人公は、学士院会員のシルベストル・ボナール老人です。
パリの本に囲まれた部屋で、中世の修道院の研究を続けています。
1861年12月、54歳のとき、研究資料としてたいへん貴重な写本が発見されました。
8年後、62歳のボナールは、写本を求めてイタリアへ旅立ちましたが・・・
写本はどこへ行ったのか? 競売で値をつり上げるのは誰か?
そして、ナポリで出会ったトレポフ夫人とは、いったい誰なのか?
・・・私は正直に言って、最初はこの小説に、たいして期待していませんでした。
しかし、読んでみるととても面白くて美しい作品で、想像以上に良かったです。
この小説は二部構成です。第一部は、自分にとって大切な本にまつわる物語です。
第二部は、自分がかつて愛した女性の孫娘にまつわる物語です。
どちらも心温まるエピソードが、穏やかで品のある口調で語られています。
この小説の魅力は、愛すべき主人公老ボナールの、語り口と人間性にあります。
ところでタイトルの「罪」とは何か? 最後の最後にようやく分かりますが・・・
それが罪と呼べるものなのかどうか・・・
さて、他の登場人物では、第二部に登場するプレフェール女史が傑作でした。
悪い女ですが、滑稽で笑えます。ボナールとは違う意味で、愛すべき人物でした。
この作品の随所から、そこはかとない哀愁が漂ってきました。
例えば、部屋の本をみんな読んだのかと尋ねられたボナールは、こう答えます。
「悲しいことにみんな読みました。だからこそ何も知らないのです。
何しろどの本もほかの本と矛盾しないものは一冊もない、」(P185)
アナトール・フランスの小説集が、白水社から単行本で出ています。
新訳ではありませんが、いろんな作品があるので、文庫化を期待したいです。
さいごに。(あった! シュガーラスク味)
甘い味の「うまい棒」があることを、妻と娘は長い間信じてくれませんでした。
しかし3人で100円ショップに行った時、シュガーラスク味を見つけました。
「ほらね。パパの言ったとおりだろ!」と言ったら、
「もっとマシなことで自慢してよ。」と、2人に言われてしまいました。
本に囲まれてひっそりと暮らす老学者の日常が、日記体でつづられていく物語です。
アナトール・フランス37歳の時の小説で、彼の出世作です。
岩波文庫から出ています。A・フランスの作品中、現在唯一文庫で出ている本です。
訳はだいぶ古いようですが、読みやすくて、しみじみとした味わいのある文章です。
主人公は、学士院会員のシルベストル・ボナール老人です。
パリの本に囲まれた部屋で、中世の修道院の研究を続けています。
1861年12月、54歳のとき、研究資料としてたいへん貴重な写本が発見されました。
8年後、62歳のボナールは、写本を求めてイタリアへ旅立ちましたが・・・
写本はどこへ行ったのか? 競売で値をつり上げるのは誰か?
そして、ナポリで出会ったトレポフ夫人とは、いったい誰なのか?
・・・私は正直に言って、最初はこの小説に、たいして期待していませんでした。
しかし、読んでみるととても面白くて美しい作品で、想像以上に良かったです。
この小説は二部構成です。第一部は、自分にとって大切な本にまつわる物語です。
第二部は、自分がかつて愛した女性の孫娘にまつわる物語です。
どちらも心温まるエピソードが、穏やかで品のある口調で語られています。
この小説の魅力は、愛すべき主人公老ボナールの、語り口と人間性にあります。
ところでタイトルの「罪」とは何か? 最後の最後にようやく分かりますが・・・
それが罪と呼べるものなのかどうか・・・
さて、他の登場人物では、第二部に登場するプレフェール女史が傑作でした。
悪い女ですが、滑稽で笑えます。ボナールとは違う意味で、愛すべき人物でした。
この作品の随所から、そこはかとない哀愁が漂ってきました。
例えば、部屋の本をみんな読んだのかと尋ねられたボナールは、こう答えます。
「悲しいことにみんな読みました。だからこそ何も知らないのです。
何しろどの本もほかの本と矛盾しないものは一冊もない、」(P185)
アナトール・フランスの小説集が、白水社から単行本で出ています。
新訳ではありませんが、いろんな作品があるので、文庫化を期待したいです。
アナトール・フランス小説集〈1〉シルヴェストル・ボナールの罪
- 作者: アナトール フランス
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2001/01
- メディア: 単行本
さいごに。(あった! シュガーラスク味)
甘い味の「うまい棒」があることを、妻と娘は長い間信じてくれませんでした。
しかし3人で100円ショップに行った時、シュガーラスク味を見つけました。
「ほらね。パパの言ったとおりだろ!」と言ったら、
「もっとマシなことで自慢してよ。」と、2人に言われてしまいました。
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