大転落 [20世紀イギリス文学]
「大転落」 イーヴリン・ウォー作 富山太佳夫訳 (岩波文庫)
不運によって退学処分になった青年の、転落していく多難な人生の物語です。
ウォーのデビュー作で、20世紀イギリスを代表するユーモア小説です。
岩波文庫から出ていましたが、現在は品切れ。アマゾンで1円です。
初版は1991年。訳は分かりやすかったです。
主人公のポール・ペニーフェザーは、極めてまじめな大学生でした。
しかし、他の生徒の乱痴気騒ぎに巻き込まれて、退学処分になりました。
最後に門番が言うことには「あなたも先生におなりになるんでしょうな。
素行不良でここを退学になる学生さんは、大半がどうですから」(P15)
聖職志望から教員へ、人生の「大転落」!
「あなたにうってつけ」と勧められて、赴任したその学校は・・・
第一章で1回目の転落があり、学校を舞台にのんびり進みます。
第二章で2回目の転落があり、急に冒険小説っぽくなって激しく展開します。
人生がどんなに激しく吹き荒れても、淡々としているポールは退屈な男です。
むしろこの小説の面白さは主人公ポールではなく、その取り巻きにあります。
義足のグライムズ 、かつらのプレンダーガスト、詐欺師のフィルブリック。
それから、悪女マーゴット、さすらいの建築教授ジレーヌス。
みんなひとクセもふたクセもあり、良い味を出しています。
彼らに振り回されながらも、ポールが人生を学ぶところが、物語の醍醐味です。
さて、ウォーの作品には、光文社古典新訳文庫の「ご遺体」もあります。
岩波文庫の「愛されたもの」も同じ小説らしい。買わなくて良かった。
詩人のデニスは、映画会社との契約が更新されず、ペット葬儀屋で働いています。
ところがある日、部屋に帰ると、寄宿先の主人フランクが首をつっていたのです。
デニスは葬儀屋を訪れ、そこで出会ったコスメ係りのエイメに一目ぼれし・・・
と、ここまでは理解できます。このあと、普通なら次のように展開するはずです。
二人は結婚し、協力しながら仲良く暮らし、ささやかな幸せをつかむ。
その仲を取り持ったのは、友人フランクの「ご遺体」であった、と。
しかし、私のありふれた予想を裏切り、物語はあらぬ方向へ迷走していきます。
なんじゃこの展開は? ウォーが日本で受け入れられない理由が分かります。
イーヴリン・ウォーの代表作は、青春回想ものの「回想のブライズヘッド」。
岩波文庫から上下二分冊で出ています。絶版になる前に購入だけはしておこう。
さいごに。(転勤は無かったが)
転勤は無かったのですが、仕事内容が少しだけ変わりました。
2年間運営から外れてのんびりしていましたが、再び忙しくなります。
不運によって退学処分になった青年の、転落していく多難な人生の物語です。
ウォーのデビュー作で、20世紀イギリスを代表するユーモア小説です。
岩波文庫から出ていましたが、現在は品切れ。アマゾンで1円です。
初版は1991年。訳は分かりやすかったです。
主人公のポール・ペニーフェザーは、極めてまじめな大学生でした。
しかし、他の生徒の乱痴気騒ぎに巻き込まれて、退学処分になりました。
最後に門番が言うことには「あなたも先生におなりになるんでしょうな。
素行不良でここを退学になる学生さんは、大半がどうですから」(P15)
聖職志望から教員へ、人生の「大転落」!
「あなたにうってつけ」と勧められて、赴任したその学校は・・・
第一章で1回目の転落があり、学校を舞台にのんびり進みます。
第二章で2回目の転落があり、急に冒険小説っぽくなって激しく展開します。
人生がどんなに激しく吹き荒れても、淡々としているポールは退屈な男です。
むしろこの小説の面白さは主人公ポールではなく、その取り巻きにあります。
義足のグライムズ 、かつらのプレンダーガスト、詐欺師のフィルブリック。
それから、悪女マーゴット、さすらいの建築教授ジレーヌス。
みんなひとクセもふたクセもあり、良い味を出しています。
彼らに振り回されながらも、ポールが人生を学ぶところが、物語の醍醐味です。
さて、ウォーの作品には、光文社古典新訳文庫の「ご遺体」もあります。
岩波文庫の「愛されたもの」も同じ小説らしい。買わなくて良かった。
詩人のデニスは、映画会社との契約が更新されず、ペット葬儀屋で働いています。
ところがある日、部屋に帰ると、寄宿先の主人フランクが首をつっていたのです。
デニスは葬儀屋を訪れ、そこで出会ったコスメ係りのエイメに一目ぼれし・・・
と、ここまでは理解できます。このあと、普通なら次のように展開するはずです。
二人は結婚し、協力しながら仲良く暮らし、ささやかな幸せをつかむ。
その仲を取り持ったのは、友人フランクの「ご遺体」であった、と。
しかし、私のありふれた予想を裏切り、物語はあらぬ方向へ迷走していきます。
なんじゃこの展開は? ウォーが日本で受け入れられない理由が分かります。
イーヴリン・ウォーの代表作は、青春回想ものの「回想のブライズヘッド」。
岩波文庫から上下二分冊で出ています。絶版になる前に購入だけはしておこう。
さいごに。(転勤は無かったが)
転勤は無かったのですが、仕事内容が少しだけ変わりました。
2年間運営から外れてのんびりしていましたが、再び忙しくなります。
2016-03-27 04:00
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